この記事では、資材調達戦略について解説しています。
新年度の4月は、資材部組織の戦略・方針が更新される時期です。
今年度の調達方針は、このようになっているので、その方針に従うように。
偉い人から、このように言われる方も多いのでは無いでしょうか?
僕自身、資材部門で10年以上働いているので、毎年調達方針の説明を受けます。
でも調達方針を説明されたときの僕の感想はこんな感じです。
資材調達戦略?あっそ、ふーん(ゴミ箱行き)
僕は、偉い人が立てる資材調達戦略・方針なんてどうでも良いと思っていました。
そして、僕の周りの同僚も同じように、組織の戦略を軽視しています。
(恐らく僕の会社だけでなく、どこの会社でも似たり寄ったりでは無いでしょうか?)
でも本来は組織の方針は会社が進むべき道を示すものです。
どうして資材部員は、偉い人が立てる戦略・方針をスルーするのでしょうか?
10年以上資材部門で働いてきた著者が、
・どうして資材戦略は担当者から軽視されるのか?
・どうすれば資材戦略が意味あるものに生まれ変わるのか?
を真剣に考えます。
資材調達戦略を担当者が軽視するのは何故か?【現役購買部員が解説】
僕たち資材部員が、資材調達戦略を軽視する原因は以下の通りです。
・調達戦略・方針が変わっても実務に何の変化も無いから
・当たり前のことが書かれているから(だから何?)
・方針に全てを詰め込みすぎている(あれもこれも)
・上司も部下も実現できないと思っている(どうせ無理でしょ)
一つずつ解説していきます。
調達戦略・方針が変わっても実務に何の変化も無いから
年度や上長が変わると、方針が変わったりします。
ん、何か微妙に変わっているな
でも、実際に僕たちの日々の業務には、影響を及ぼしません。
毎日の価格交渉や納期フォローが無くなる訳ではありません。
結局は、実務をどれだけきちんとこなすかが重要ポイントです。
上司も担当者も、目の前の実務の方が何倍も重要だと理解しているので、結局何も変わらないことが多いです。
当たり前のことが書かれているから(だから何?)
良くある資材調達戦略の一例です。
・原価低減率3%の必達!
・納期遵守率の向上!
・品質管理の徹底!
・法令順守! など
皆さん、これを見てどう思いますか?
僕は、「当たり前すぎて、書く意味無いな」と思ってしまいます。
原価低減、納期や品質を重視するのは当たり前です。
1年目の新入社員なら読む価値があるかもしれませんが、2年目以降の社員が読んでも何も響きません。
「人に優しくしましょう」
みたいな道徳の標語に近いかもしれません。
方針に全てを詰め込みすぎている(あれもこれも)
僕の会社では、A4の紙にびっちりと方針が書かれています。
そこには、原価低減、納期遵守、品質向上など、ありとあらゆることが詰め込まれています。
この詰込み戦略を見て僕は、こんな風に思いました。
・文字数が多い、文字が小さくて全部読む気にならない
・結局何が言いたいのか分からない
全部大事ってことは、結局何も大事では無いということです。
エッセンシャル思考的でいう「より少なく、しかしより良く」が全然実践されていません。
書いている本人が「何が一番重要か」を明確化出来ていない状態では、部下に伝わる訳がありません。
上司も部下も実現できないと思っている(どうせ無理でしょ)
組織の調達方針を意味の無いものにしている最大の理由は、「上司も部下もこの方針を実現できない」と分かっている点です。
・市況、自社の状況を無視した原低目標(昨年度比で割り付け)
・品質不良ゼロ件
・納期遵守率100%
現実と乖離した目標設定や、根拠が無い目標が多いので、誰も本気で達成しようとしません。
実際、それが達成されなくても、大きく評価が落ちる訳ではありません。
(資材部員が評価されるのは、もっと実務的なところです)
資材調達戦略・方針で書くべき内容とは?【ポイント4点】
では、資材調達における戦略は、どのように書けば良いのでしょうか?
・戦略では、仕事の優先順位を明確化する
・戦略は、本当に大事なことだけに絞る(1つか2つ)
・具体的な内容であること
・書いた上司も、説明も受ける部下も納得する内容であること
仕事の優先順位を明確化する
原低・BCP・取引先管理など、なんでもかんでも全てに取り組もうとする人がいます。
しかし、結局そういう人は何も出来ません。
組織のリソースは有限です。
まず管理者が部下に命じすべきことは、仕事の優先順位です。
職場で何が最も優先されるのかを戦略に明記する必要があります。
納期、価格、BCP、製品品質、事務品質・・・
あなたの職場では、何が一番優先されていますか?
戦略は本当に大事なことだけに絞る(1つか2つ)
優先順位と同じように、やりたいことは絞る必要があります。
優先順位は①~⑮まであります
と言われたら萎えますよね。
沢山書かれても、部下の頭には残りません。
本当に大事な事だけに絞って書くようにしましょう。
やりたいことは1つか2つだけで十分です。
本当に重要な事に組織のリソースを集中させることで、大きな成果が生み出せます。
戦略は、具体的な内容であること
購入品の原低率5%の必達という目標は、数字になっているので具体的に見えます。
しかし、担当者にとってみると、あまりにも漠然とした目標なので、どのように取り組んで良いか分かりません。
上記内容では、結局担当は何も動きません。
上記のような具体的な目標だと、何をすれば良いのかが明確になります。
また1年後も達成できたかどうかを、判定することが出来ます。
書いた上司も、説明も受ける部下も納得する内容であること
海外メーカーを新規に導入すると目標を立てても、部下が納得しないと意味ありません。
窓口の対応も良いし、品質も安定しているし、転注する意味あるの?
部下が納得しないと、実務は絶対に進みません。
上司がどうしても進めたい内容なら、部下に必要性をきちんと説明すべきです。
それでも部下が納得しないような目標・戦略だったら、見直しが必要かもしれません。
まとめ:もっと戦略を有効活用しよう
本記事のまとめです。
・資材部門で書かれる戦略の多くは、意味が無い
・戦略は「より少なく、しかしより良く」すべき
この考えは、僕が10年間資材で働いてきて思っていることです。
ただ会社によっても考え方が違うかもしれません。
こんな考えを持っている資材部員もいるんだなと思ってもらえれば幸いです。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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