こんにちは、コロスケです。
今日はブロードコム(Broadcom)が東京エレクトロンデバイスとの代理店契約を解消することをまとめていきます。
2020年2月21日、ブロードコムが東京エレクトロンデバイスとの代理店契約を解消することを発表しました。
ブロードコムはアメリカの大手半導体メーカーです。
2016年にAVAGOと合併、2019年にセキュリティーソフト会社であるsymantecの法人事業を買収するなど、M&Aで事業を拡大している会社です。
今回は半導体の調達担当者である著者が、ブロードコムと東京エレクトロンデバイスの代理店契約解消について詳しく解説していきます。
・ブロードコムの後任の代理店はどこ?
・どうして急に代理店契約を解消したの?
これら疑問を解決していきます。
ブロードコムが東京エレクトロンデバイスとの代理店契約を解消!
今回のニュースのまとめです。
・2020年3月1日付けで両社の代理店契約が解消される
・後任の代理店は、丸文となる見込み(ブロードコム指定)
・2020年5月以降、新代理店経由での納入が必要(今後調整が必要)
半導体業界では、代理店の変更は良くある話なので、あまりびっくりはしません。
ただ今回は、20年2月末に発表⇒3月に代理店解消という期間の短さが気になりました。
後任の代理店は丸文となりそうです。
詳細を解説していきます。
プレスリリースの内容(代理店契約解消)
ブロードコム・東京エレクトロンデバイス両社のプレスリリースから、今回の代理店解消の詳細を見ていきます。
2020年3月1日付けで代理店契約が解消
東京エレクトロンデバイスのプレスリリースの内容です。
当社は、これまでブロードコム社の販売代理店として同社の各種製品を販売してまいりましたが、 今般、ブロードコム社の日本における販売代理店政策の変更に伴い、2020年3月1日付で同社との販売代理店契約を解消することといたしました。
https://www.teldevice.co.jp/ir/ir_data/ir_news/ir_200221.pdf
2月21日の発表で、3月1日解消という異例のスピード解消となっています。
後任の代理店は丸文となる見込み
現状、ブロードコムの代理店は、東京エレクトロンデバイス・丸文・マクニカの3社です。
東京エレクトロンデバイスの後任の代理店について、ブロードコムは丸文への切り替えを依頼しています。
2020年5月1日以降の納入分につきましては後任代理店の丸文株式会社殿へ発注をお願い致します。
ブロードコム 公式レター
今後、丸文への切り替え手続きが発生することになりそうです。
特に丸文との口座が無い場合は、手続きに時間がかかるので、早めに手続きを進めた方が良さそうです。
2020年4月末までは東京エレクトロンデバイス経由での納入
代理店契約は3月1日で切れるのですが、4月末までは東京エレクトロンデバイス経由での納入が可能となっています。
原則2020年4月30日の納入分までは東京エレクトロンデバイス株式会社殿が供給を継続致します。
ブロードコム 公式レター
我々客先の切り替えにかかる手続きがあるので、代理店契約解消後も4月迄は現行の商流での購入が可能となります。
解消の理由は、ブロードコムの代理店政策
切り替え理由については、「ブロードコムの代理店政策の変更」と書かれています。
外資系半導体メーカーは、頻繁に代理店の再編を行っています。
日本法人が短期的にできる売上アップの施策が「代理店政策の変更」なので、何かあると、直ぐに代理店が再編される傾向にあります。
発表から解消までの期間があまりにも短い
それにしても、発表から解消まで、たった10日程度しかありません。
半導体メーカーの代理店変更でも、ここまで短い期間は見たことがありません。
昨年2019年に発表されたTIの代理店再編では、解消までに1年間の猶予が儲けられています。
1年の猶予期間は結構長めですが、半年くらいは確保しているケースが多いと思います。
こんな短期間で解消するには、それなりの理由があると思われます。
以下は僕の予想です。
・ブロードコムと東京エレクトロンデバイスが喧嘩別れをした
・ブロードコム日本法人が、なりふり構わず変更せざるを得ない事情(売上減など)があった
もちろん単なる予想なので、全然違うかもしれません。
でも、実態は上記理由のような気がしています。
今後の流れ:まずは切り替え時期を明確にする
レターでは「4月末の納入まで」と書かれていますが、これは発注者側からすると無茶な要求です。
長納期品の場合は、既に5月以降の注文を出しているかもしれません。
また、代理店間での引継ぎや、我々調達側での各種変更手続きを考えると、3月~4月までの2か月間だと期間が足りないと思います。
実際、ブロードコムも短い期間であることは承知しているようです。
レターに「原則2020年4月30日」と書いているように、客先の都合によっては多少期限を延ばすことを考えているようです。
(実際、東京エレクトロンデバイスのレターには、移管期限の明記はありません)
東京エレクトロンデバイスは大丈夫か?
今回の商流再編で気になるのが、東京エレクトロンデバイスの経営は大丈夫か?だと思います。
東京エレクトロンデバイスにおけるブロードコムの位置づけは以下の通りです。
東京エレクトロンデバイスに占めるブロードコムの売上比率
・東京エレクトロンデバイス全体の売上の12%をブロードコムが占める
・金額ベースでは170憶円/年の規模。
売上の12%がブロードコムだったので、少なからず影響は有りそうです。
XILINX解消の時と規模は似ている
東京エレクトロンデバイスは2015年にXILINXとの代理店契約を解消しています。
当時の売上に占めるXILINXの比率も10%程度でした。
その時も大丈夫かな?と思ったのですが、売上を順調に伸ばしていました。
そして純利益も右肩上がりで増えています。
東京エレクトロンデバイスに関して言えば、メーカーから取引を打ち切られること=経営危ないという事では無さそうです。
東京エレクトロンデバイスは自社ブランドを強化している
東京エレクトロンデバイスはインレビアムという自社のブランドを展開しています。
東京エレクトロンデバイスでは、商社としての技術力・マーケティング力をベースに評価ボード、LSI、ソフトウェアなど設計・量産へ向けてお客様の開発を支援する設計・量産受託サービス(デザイン&マニュファクチャリングサービス)と、市場ニーズに応えて自社のもつ情報・技術・サービスを商品化した自社開発商品および他社協業における共同開発商品をインレビアムで提供しています。
https://www.inrevium.com/inrevium/
実際に売上も順調に伸びています。
東京エレクトロンデバイスは、半導体商社よりも自社事業に今後注力していくものと思われます。
気になるのは1,400憶円という中途半端な規模
個人的に気になるのが、東京エレクトロンデバイスの会社規模です。
半導体商社は、合併により徐々にですが統合が進んでいます。
外資の半導体メーカーと付き合うにはそれなりの会社の規模が必要です。
しかし東京エレクトロンデバイスは、外資メーカーと渡り合うには微妙な会社規模です。
ありえそうな2つのストーリーを考えてみました。
・どこかの半導体商社と合併して規模拡大を目指す
・独自事業に注力していき、半導体商社とは一線を画す
どちらもあり得そうなストーリーです。
今後の東京エレクトロンデバイスの方向性に注目していきたいと思います。
まとめ:まずは切り替え期限を明確にしよう
本記事のまとめです。
・2020年3月1日付けで両社の代理店契約が解消される
・後任の代理店は、丸文となる見込み(ブロードコム指定)
・2020年5月以降、新代理店経由での納入が必要(今後調整が必要)
かなり唐突な解消ですが、買い手である我々は淡々と手続きを進めていきましょう。
特に、現行の商流でいつまで納入が可能なのかを早めに確認することが大切です。
また今後の東京エレクトロンデバイスの方向性にも注意していきたいと思います。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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