巻線(マグネットワイヤー)とは何かを詳しく解説【基本的情報】

巻線マグネットワイヤ 資材業務について
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この記事は以下の方向けに書いています。

・巻線(マグネットワイヤー)って、どういうものか知りたい

・巻線の発注担当者として必要な情報を知りたい

 

こんにちは、コロスケです。

今日は、巻線(マグネットワイヤー)についてまとめていきます。

 

購買担当者として巻線を手配することになったけど、巻線について全然知らないよ・・・

 

巻線は日常生活でお目にかかることは少ないので、なかなかイメージが湧かないですよね。

僕も担当者として経験を積むまでは、「巻線?何それ?」っていう感じでした。

 

僕達に馴染みの無い巻線ですが、実は見えないところで僕たちの日常生活を支えてくれるとても重要な材料なんです。

今回は、資材歴10年の現役資材部員の僕が、巻線とは何か?どのような用途に使われているのか?について詳しく解説していきます。

この記事を読んで巻線初心者を卒業しましょう!

 

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巻線(マグネットワイヤー)とは何かを詳しく解説【用途・役割他】

巻線マグネットワイヤ

 

まず最初に、巻線(マグネットワイヤー)とはどんなものなのかをご紹介致します。

 

巻線マグネットワイヤー

このように銅やアルミの材料を細く伸ばしていって線にしたものを巻線と言います。

一言で言うと「長い銅やアルミの線」ですね。

 

巻線(マグネットワイヤー)の定義・使用用途

巻線の定義は、巻線メーカーの日立金属のカタログに載っていたので引用致します。

 

電気機器の巻線用電線を一般にマグネットワイヤとよんでいます。いいかえれば“電気エネルギーと磁気エネルギーとを、互に交換するために用いる電線”です。

日立金属カタログ  https://www.hitachi-metals.co.jp/products/auto/el/pdf/magnet_wire.pdf

 

うーん、定義を聞いても良く分からないなぁ・・・

 

電気エネルギーを磁気エネルギーに変えるということは、電気の力を機械の力(何かを動かす力)に変えるという意味です。

代表的な例が「モーター」です。

モーターの力で、車やお店の自動ドアを開けたり、プリンターで紙を出力するなど、モーターは日常生活に欠かせないものです。

 

でも何で磁気エネルギーっていうの?

 

鉄しんにコイルを巻いて電流を流すと磁石となります。
これを「電磁石」といい、電流の流れているときだけ磁石になります。

https://www.mabuchi-motor.co.jp/motorize/academy/mechanism/

 

巻線に電気を流すことで、磁気を発生させその力を動力にするので、磁気エネルギーと呼びます。

 

また、巻線は磁気エネルギーを電気エネルギーに変えることにも用いられます。

代表的な用途が、発電機です。

つまり、巻線は電気エネルギーと磁気エネルギーをお互いに交換する機能を持っています。

 

巻線の用途

・モーター:電気エネルギーを磁気(機械)エネルギーに変換する

・発電機:磁気(機械)エネルギーを電気エネルギーに変換する

 

巻線(マグネットワイヤー)の絶縁方法

巻線の外側の表皮の部分は、電気を通さないように絶縁されております。

巻線の絶縁方法は大きく分けると二つあります。

 

・エナメル線:ワニスを焼き付けて、絶縁皮膜を形成する

・横巻線:紙やガラスやテープを巻き付けて、絶縁する

 

絶縁方法は、耐熱温度など使用用途に応じて使い分けられます。

自分の会社が使っている巻線はどのような方法で絶縁しているかをまずはチェックしましょう。

 

導体の材料

巻線の材料は、銅もしくはアルミであることが一般的です。

 

銅とアルミはどっちが一般的なの?

 

これも使用用途によって、変わってきます。

基本的には素材としての値段はアルミの方が安いので、アルミでコイル(巻線を鉄のコアまいた束)を作る方が安価になると言われています。

 

銅の値段:1キロあたり688円

アルミの値段:1キロあたり270円

※2019年7月建値

 

銅の方が2倍以上値段が高いんだね

 

一方で、モーターや発電機の性能・効率を考えた場合は銅の方が有利と言われています。

同じ出力のモーターを作る場合は、銅の方が面積を小さくすることが出来ます。

またそれ以外にも発熱や色々な条件を勘案して、巻線の導体を銅にするかアルミにするかを決めています。

 

自分の会社の巻線導体が気になる人は調べてみてね

 

エナメル線の絶縁(ワニス)種類

ワニスの役割は、絶縁皮膜を形成することです。

どろどろの液体を、巻線に焼き付けることで巻線の表面に絶縁皮膜を作り出します。

 

PVFやPEWなどの用語を見たり、聞いたことはありませんか?

これがまさにワニスの種類を表しております。

ワニスの種類によって、耐熱温度などの特性が変わります。基本的には耐熱温度が高くなると、巻線の値段も高くなる傾向にあります。

 

エナメル線の種類一例

PVF:ホルマール線

UEW:ポリウレタン線

PEW: ポリエステル線

AIW: ポリアミドイミド銅線

など、色々な種類のワニスがあります。

 

エナメル線の皮膜厚

エナメル線の絶縁皮膜厚とは、「焼き付けられたワニス(絶縁皮膜)の厚さ」のことです。

皮膜が厚い方が、耐圧などの絶縁特性が良いとされています。

 

皮膜厚はJIS規格で厚さが規定されており、0種が一番皮膜厚が厚く、1種、2種となるにつれ薄くなっていきます。

 

膜厚の違いの例(日立金属カタログ)

導体の径が0.50mmの場合の最小皮膜厚

0種: 0.025mm

1種: 0.017mm

2種: 0.012mm

日立金属HP  https://www.hitachi-metals.co.jp/products/auto/el/pdf/magnet_wire.pdf

 

まとめ

巻線(マグネットワイヤー)は、普段の生活で直接目にすることはありませんが、モーターが使われる製品には必ず使われている縁の下の力持ち的な存在です。

 

ゲーム機、プリンター、自動車、ドライヤーなどモーターを使う製品を手にした時は「あっ、巻線(マグネットワイヤー)も使われているんだな」と思い出すと、巻線への愛着も湧いてくると思います。

 

また、巻線の素材である銅やアルミの価格の決まり方が知りたい人は以下の記事も参考にしてみて下さい。

 

 

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。

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