【水晶】タイミングデバイス業界の未来を予想【市場規模・シェア】

タイミングデバイス業界の未来を予想(水晶) 資材業務について
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こんにちは、コロスケです。

今日は水晶デバイスについて解説していきます。

 

水晶と聞くと、きれいな宝飾品などをイメージする人も多いと思いますが、実は水晶デバイスは、電子機器や時計など身近な製品に多く使用されています。

実際に水晶は、産業の塩とも呼ばれるくらい電子機器には必要不可欠な存在となっています。

 

僕は以前水晶の購買を担当していましたが、納期も価格も安定した優等生のイメージを持っていました。

ただ実はその裏で、水晶メーカーは過当競争が続いており、今後大きな過渡期を迎えることが予想されています。

 

今回は、日本電波工業、大真空、リバーエレテックの水晶専業メーカーの経営・財務状況を通して、水晶メーカーの未来を予想していきます。

 

・日本電波工業や大真空の経営状況・財務状況が知りたい

・水晶業界の市場動向が知りたい

・今後水晶業界はどうなるのかが知りたい

 

これら水晶デバイスに関する疑問を、資材歴10年の現役資材部員が解決していきます。

 

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【水晶】タイミングデバイス業界の未来を予想【市場規模・シェア】

水晶

 

本記事の結論です。

 

・水晶業界は過当競争が続き、赤字経営が続く深刻な状況

・短期的には、製造場所の移転集約やリストラが進んでいる

・将来は、過当競争に疲弊した企業同士での「業界再編」が行われると予想

 

日本の水晶業界は、大きな過渡期を迎えております。

以前は世界シェアの7割を日本の水晶メーカーが占めておりました。

 

しかし、昨今は市場も小さくなり更に海外メーカーとの過当競争が続き、水晶メーカー各社は疲弊しています。

この恒常的な赤字は長くは続かないため、近い将来何らかの業界再編が行われるものと予想しています。

 

この結論に至った背景を、詳しく解説していきます。

 

日本の水晶メーカーの経営は非常に厳しくなっている

日本の水晶専業メーカーは、どこか1社だけでは無く、全ての企業で経営が悪化しております。

これは企業の経営の問題というより、水晶業界全体の問題となってきております。

 

日本電波工業の業績推移

日本電波工業は、日本を代表する水晶のメーカーの一つです。

そんな日本を代表する水晶メーカーの日本電波の業績を確認していきます。

 

日本電波工業売上純利益推移グラフ
日本電波工業のIR資料をもとに著者が作成

 

このグラフから以下3つのことが分かります。

 

・売上が右肩下がり(2013年度:507憶円⇒2018年度:439憶円)

・近年は、ほとんど利益が出せず赤字の年も多い

・17年度に100憶円以上の莫大な赤字を計上

 

これは結構深刻な状況です。

営業利益がほとんど出ておりません。毎年ぎりぎり黒字か、赤字で推移しています。

 

加えて、売上も右肩下がりです。

2013年度に507憶円あった売上が、2018年度には439憶円になっております。

そして最新の見込みでは2019年度は398憶円と、400憶円を割る計画になっております。

 

この危機的状況を受けて、現在日本電波工業は工場の移管やリストラなどの事業再編を進めております。

 

大真空の業績推移

次に大真空の業績を見ていきます。

 

大真空売上・純利益推移グラフ
大真空のIR資料をもとに著者が作成

 

大真空も日本電波とほぼ同じ状況となっております。

 

・売上の減少(2013年度:337憶円⇒2018年度:284憶円)

・近年は、ほとんど利益が出せず赤字の年も多い

・14年度に63憶円もの大きな赤字を計上

 

リバーエレテック業績推移

リバーエレテックの業績は以下の通りです。

 

リバーエレテック売上・純利益推移グラフ
IR資料をもとに筆者がグラフ化

 

リバーエレテックは日本電波工業・大真空よりも事態は深刻です。

3期連続赤字となっており、業績の立て直しが急務の状況です。

 

実際にリバーエレテックは、工場の集約、リストラ、役員・管理職の給与カットなど身を削る立て直しを進めております。

 

水晶市場規模も減少し、日本メーカーのシェアも減少

水晶メーカー各社が赤字に苦しむ原因は、水晶市場で日本メーカーのシェアが落ちているからです。

 

水晶デバイスの市場と日本企業のシェア推移
大真空のIRデータ

 

上図は大真空のIRデータにあったワールドワイドの水晶市場推移です。

これをみて分かるとおり、2007年のピーク時に4,388憶円の規模だった水晶市場は、2018年には3,018憶円と30%も市場規模が小さくなっております。

 

また、海外メーカーの参入により、日本企業のシェアも67%から47%へと下落しています。

 

市場規模が小さくなった上に、シェアまで落としている

 

このダブルパンチで、日本の水晶メーカ各社は非常に苦しい経営を強いられております。

 

水晶市場価格推移

 

でもスマホ、5G、車の電装化で水晶は増えないの?

 

電子機器に必要な水晶は増えていくはずなのに、何故水晶の市場は小さくなっているのでしょうか。

その答えは、水晶の市況価格が大きく下落しているからです。

 

水晶価格トレンド
リバーエレテックのIR資料

 

これを見ると、販売数量は堅調に伸びています。

しかし、販売価格がたった10年で半分近くまで下落しています。

 

つまり販売量の伸び以上に、価格が下落しているので市場が伸びていないんです。

 

近年、水晶デバイスは標準化が進んでおります。

そのため、各社価格以外で差別化出来なくなっており、価格のたたき合いの状況になっております。

 

競合メーカーの台頭

また日本の水晶メーカーは、台頭するライバルにシェアを奪われております。

 

・中国、台湾メーカーの参入による競争激化

・SiTimeのMEMSによる置き換え

・村田製作所の水晶デバイス

 

海外メーカとの競争だけでなく、MEMSなど新しいタイミングデバイスに市場が奪われております。

また資金力のある村田製作所が2013年から水晶事業に参入しており、競争は激化の一途を辿っています。

 

水晶メーカーは今後どうなるの?

水晶業界は、非常に厳しい競争に晒されています。

 

各社の経営状況を見て頂いたように、ほとんど利益が出ておりません。

赤字でも会社はすぐに倒産することはありませんが、ずっと赤字のままでは事業を続けることは出来ません。

 

短期的には工場の集約やリストラしかない

既に各社進めている内容ですが、赤字の出血を止めるためには工場の集約による生産性向上やリストラを進めるより他はありません。

 

ただしあくまで一時的な対応であり、水晶市場の厳しい状況への根本的な対応にはなっておりません。

 

過当競争をなくすためには業界再編が必要

以前より色々な業界で、過当競争に疲弊した企業同士が一緒になってきました。

同じように水晶業界も同じような道を辿ると思われます。

 

水晶メーカー各社も業界再編の必要性を認識しており、「他社との協業」などが経営方針に載ってきております。

 

将来的には業界再編で、水晶メーカー同士の合併や、シナジー効果がある別の業界とのM&Aが起こるものと予想されます。

 

僕が経営者だったら

これは素人の意見ですが、水晶メーカーの垂直統合型のビジネスモデルは限界にきていると思います。

 

半導体も1社で、すべてを行うのでは無く、設計・前工程製造・後工程製造に分業するスタイルが進んでおります。

同じように水晶も1社で全てを行うのではなく、分業していく方が利益が出ると思います。

 

例えば水晶の製造に特化し、水晶の小型化のみに経営リソースを集中するモデルが考えられます。

水晶の小型化技術で優位性を持ち、それを中国・台湾のメーカーに販売するのです。

 

■半導体の水平分業

 

まとめ

本記事のまとめです。

 

・水晶業界は現状のままではやっていけない深刻な状況

・将来的には過当競争に疲弊した企業にて業界再編が行われると予想

 

水晶の調達担当者は、将来起こる可能性が高い水晶業界の再編の動向を注視していきましょう。

 

また、今後経営悪化による大幅な値上げや生産中止も想定されます。

1社からの調達は非常に危険なので、複数社認定するなどBCPの対策が必要不可欠です。

 

今後業界再編の情報があれば適宜記事にまとめていきます。

 

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。

 

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