こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
この記事では、セブン銀行の株価が上がらない理由を解説していきます。
近年、セブン銀行の株価は低迷しています。
株価が割安、かつ単元も安いので、投資を検討している方も多いと思います。
ですが今後の株価上昇を期待して買うのは、実はリスキーなのを知っていましたか?
この記事では、セブン銀行の株価が上がらない理由を解説しています。
セブン銀行への投資を考えている方はこの記事をご覧下さい。
【やばい】セブン銀行の株価はなぜ上がらないのか詳しく解説
セブン銀行の株価が上がらない理由をまとめました。
・ATM利用手数料体系を変更したから
・設備投資費用(ATM更新費用)がかさんでいるから
・業務委託費(人件費)が高騰しているから
・アメリカの金利上昇の影響を受けているから
最近のセブン銀行は、上記4つの課題を抱えております。
その影響で、株価は低迷しております。
以降では、株価が低迷している要因を詳しく分析していきます。
ATM利用手数料体系を変更したから
セブン銀行のメインの収入源は、ATMの利用手数料です。
顧客がATMを利用する毎に、提携先の銀行から利用手数料を受け取る仕組みです。
これまでは、「利用1回毎に○円」と固定価格になっていました。
しかし2021年度から、新たなATM手数料体系を導入しました。
新たな手数料体系では、提携銀行のATM利用手数料と、セブン銀行が受け取る手数料が連動する仕組みとなりました。
今までは顧客がセブン銀行の利用回数を増やすほど、提携銀行が支払う手数料は増えてしまいました。
このため、今までは「セブン銀行を使おうキャンペーン!」のような利用促進活動ができませんでした。
しかし、新たな料金手数料になった事で、提携銀行とセブン銀行の利益が一致するようになりました。
セブン銀行が利用促進するほど、提携銀行も受け取れる手数料が増えます。
またセブン銀行にも、長期的にはメリットがあります。
最近は、ATMの利用手数料が高くなる傾向にあります。
このように利用手数料が上がれば、セブン銀行が受け取る手数料も増える事になります。
しかし短期的には、セブン銀行が受け取る手数料は大きく減少しています。
2021年度では、手数料体系を変えた事で利益が45億円も目減りしています。
20年度の経常利益が356億円だったので、利益が13%も目減りすることになりました。
セブン銀行は、長期的な成長のための布石としています。
しかし、大きく収益が減ったのは事実です。
こうした利益減の影響で、株価は伸び悩んでいます。
ATM更新費用がかさんでいるから
セブン銀行は、2019年より第四世代のATMへの置き換えを進めています。
新たなATMには、以下の追加機能が備わっています。
・本人確認書類の読取り(運転免許証やマイナンバーカード)
・QRコードの読取り
・非接触ICの読取り(電子マネーのチャージなど)
・Bluetoothによる通信(スマホとの通信が可能に)
セブン銀行は「さらに便利に」を合言葉に、ATMに様々な機能を追加しています。
近くのコンビニでできる事が増えれば、顧客に取っては非常に便利です。
セブン銀行は、現在段階的に第四世代のATMへの置き換えを進めています。
そのため、その設備投資費用が年々上昇傾向にあります。
こうした減価償却が重くのしかかり、最近は利益が減少傾向にあります。
このATM更新による減価償却は、2025年頃まで続く事が予想されています。
ATMの入れ替えは毎年4分の1から5分の1くらいずつ行っていますが、その分の減価償却費は5年で償却しています。つまり、ATMをどんどん入れ替えていっても、5年経たないと減価償却費が下がっていかない状況です。
そのため2023年、2024年くらいはATMの償却費がかなり増えてきます。それをすべて2023年、2024年に跳ね返すのは今の状況から見て難しいと思っています。したがって、ATMの件数増加と減価償却費については、2024年、2025年頃にATMの償却費が少し減り、ようやくバランスするのではないかと見ています。
【出典】logmi_Finance_株式会社セブン銀行 2022年3月期決算説明会 ※太字は著者
そのためここ数年間は、利益が増える見通しは立っておりません。
将来に向けた設備投資が利益として返ってくるのは、少なくとも2025年度以降となりそうです。
こうした直近の厳しい状況から、株価は上昇していないのです。
業務委託費(人件費)が高騰しているから
セブン銀行は、費用の多くを「業務委託費」が占めています。
最近セブン銀行は、新たな収益源の開拓のため、積極的に投資をしております。
その影響で、業務委託費の金額が上昇傾向にあります。
このように年々業務委託費が増えており、これがセブン銀行の利益を押し下げています。
さらに最近は、物価の上昇に伴う「人件費の上昇」が進んでいます。
今後人件費が上昇すれば、業務委託費は更に増える可能性があります。
実際、決算説明でも、人件費の高騰に伴う業務委託費増加がリスク要素として挙げられています。
金利や物価、賃金などの上昇圧力がこれからどんどん大きくなってくることが想定されますので、それによる資金調達コストや業務委託費の上昇が大きなリスク要因になると思います。
【出典】logmi_Finance_セブン銀行2021年度決算説明
こうした利益押し下げ要因があることが、セブン銀行の株価を押し下げる原因の一つとなっています。
アメリカの金利上昇
セブン銀行は、アメリカに連結の子会社(FCTI)があり、同じくATMの運営をしております。
実はセブン銀行は、アメリカの事業ではかなり苦戦しております。
2018年度には、減損を計上するなど、苦しい経営を強いられています。
現在は低採算ATM撤去するなど、採算性を改善に取り組んでいるところです。
そんなアメリカ事業ですが、直近のアメリカの金利上昇の影響を受けています。
アメリカ事業での資金調達を行う時、金利が高いとその分費用が増加します。
現在、アメリカはインフレが深刻化しており、40年ぶりの高インフレとなっています。
インフレを抑えるために、アメリカ中央銀行は、急ピッチで利上げ(金利の上昇)を進めています。
セブン銀行は金利が1%上がると、資金調達コストが700~800万ドル=9~10億円ほど悪化します。
2022年度の決算予想では、米金利を2.5%程度と織り込んでおります。
最終的には2パーセントから2.5パーセントくらいになるだろうとは思いますが、平均すると1パーセント前後の増加になると見ています。このとおりになれば、資金調達コストが700万ドルから800万ドルほど増加するため、その分を今期の計画には織り込んでいます
【出典】logmi_Finance_セブン銀行2021年度決算説明
しかし、現在の利上げペースでは、2022年末には「3.4%」ほどになることが予想されています。
そのため、損益は今より更に悪化することが想定されます。
一方で今後の伸び代もゼロではない
このようにセブン銀行には、利益を押し下げる要因が複数存在します。
一方で悪いニュースばかりではありません。
今後の伸び代になりうる2つの要因があります。
・ATM利用件数の増加
・今後の訪日外国人の増加
昨今キャッシュレス化が進み、ATMはオワコンと言われていました。
実際、ATMを使う頻度が減った人も多いのではないでしょうか?
ですが2021年度の決算を見ると、ATM件数が増えている事が明らかになっています。
コロナ禍での自粛が落ち着き、ATMを利用する人が徐々に増えていることを示唆しています。
キャッシュレス化は今後も進むと思われますが、意外とATM利用件数は底堅い気もします。
また政府は、訪日外国人の受け入れを徐々に増やしております。
今後アフターコロナで、訪日外国人が増えれば、ATM利用件数も伸びていく事が期待されます。
厳しい状況にはありますが、今後の伸び代をどう見るかで投資判断が分かれそうです。
まとめ:セブン銀行の株価はなぜ上がらないのか?
セブン銀行の経営が苦しい原因まとめです。
・ATM利用手数料体系を変更したから
・設備投資費用(ATM更新費用)がかさんでいるから
・業務委託費(人件費)が高騰しているから
・アメリカの金利上昇の影響を受けているから
セブン銀行には上記4つの逆風があります。
今後も大きく利益を改善できる見通しは立っておらず、苦しい経営が続く事が予想されます。
配当利回りは高いですが、今の株価的にはそこまで割安感は無い気がします。
そのため個人的には、投資するにしても買値に気をつけてポートフォリオの一部に留めるくらいがちょうど良い気がしています。
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尚、本記事は著者の意見をまとめたものです。
投資を推奨するものでは無いので、ご注意下さい。
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