こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
この記事では、ベネッセの株価が下落している理由を分析しています。
ここ数年、ベネッセの株価は右肩下がりです。
2018年頃と比べて、株価が半値になっています。
最近も株価が下がっているので、リバウンド狙いで投資を考えている方もいるのでは無いでしょうか?
特にベネッセには優待があるので、優待狙いで買いたい人も多そうです。
ですが、ベネッセの株価が下がっているのには理由があります。
安易に投資すると、減配&株価下落となる可能性があります。
そこで今回は、ベネッセの株価が下落している原因を詳しく解説していきます。
ベネッセへの投資を考えている方へ役立つ情報をお届けします。
ベネッセの株価が下落している理由を解説【進研ゼミはオワコン?】
ベネッセホールディングスの株価が下がっている理由を4つまとめました。
・競争環境の激化(学習ツールの多様化)
・日本の少子化の加速
・中国の事業環境悪化(競争激化、双減政策、少子化)
・業績悪化&タコ足配当で財務状況が悪化
ベネッセの主力事業である教育学習事業は、環境の変化によって厳しい状況となっております。
今後もこの傾向は続く見込みで、大きく事業が伸びていく見通しは立っていません。
ベネッセの事業をざっくり解説
ベネッセの事業は主に以下4つです。
・国内教育事業:進研ゼミ、学校向け教育事業、エリア・教室事業
・Kids & Family事業:幼児向け通信教育講座「こどもちゃれんじ」
・介護・保育事業
・ベルリッツ事業(2021年度に事業譲渡により撤退)
子どもの頃、こどもちゃれんじや進研ゼミで勉強した人も多いのではないでしょうか?
またベネッセは、2001年にグローバルに英会話学校を運営するベルリッツを買収しました。
しかし、ベルリッツの経営が厳しくなった事から、2021年度に事業譲渡を行い撤退しています。
ベネッセの事業別売上比率は、以下のとおりです。
2021年度の売上高は4,319億円です。
その内の半分が、国内の教育事業となっています。
ベネッセの事業別利益額は、以下のとおりです。
このグラフから、ベネッセの屋台骨は「国内教育事業」であることが分かります。
以降では、ベネッセの株価が下落している要因を詳しく分析していきます。
競争環境の激化(学習ツールの多様化)
今まで学生、特に小学生の通信教育は、進研ゼミ一択でした。
しかし近年、通信教育市場が大きく変化しております。
タブレットによるオンライン学習が一般的になりました。
その結果、ベネッセが得意としていた「紙媒体」の講座を受ける人が減少しました。
加えてコロナ禍以降、タブレット学習市場では競合との争いが激化しており、ベネッセの市場シェアが減少しています。
このように21年→22年で、会員数が23万人も減少しております。
ベネッセの牙城であった通信教育市場での苦戦によって、株価は下落の一途を辿っています。
日本の少子化の加速
日本では少子化が加速しています。
このように出生数は、右肩下がりとなっています。
特に最近の出生数減少は、顕著です。
2016年に初めて100万人を割った出生数ですが、2021年はなんと「84万人」となっています。
このように出生数が減少したのは、コロナ禍での出産控えや、女性の社会進出など様々な要因があります。
今後もこの流れは続く見込みです。
そのため、子ども向けの教育事業を柱に据えるベネッセの売上も減少していくことが予想されています。
中国の事業環境悪化(競争激化、双減政策、少子化)
ベネッセは、幼児向け通信教育講座「こどもちゃれんじ」を中国で展開しています。
本来であれば、人口が多い中国市場は、日本の人口減を補填する有力な市場となるはずでした。
しかし、最近は中国事業の経営環境も悪化しております。
・競争激化
・双減政策
・急速な少子化の進展
中国では教育が一大産業となっております。
教育市場が加熱し、通信教育なども競争が激化していました。
その結果、中国市場でも会員数を伸ばせず苦しい状況となっています。
加えて中国政府は、2021年7月に双減政策を発表しました。
双減政策とは、宿題と塾学習を減らす政策です。
過度な学習への偏重を是正する政策ですが、その影響で中国の学習塾が破綻、撤退などが相次ぎました。
ベネッセの「こどもちゃれんじ」は、現在のところ規制の対象とはなっておりませんが、中国政府の方針次第では更に厳しい経営になる事も予想されます。
最後に中国でも、急速に少子化が加速しています。
中国政府は慌てて一人っ子政策を廃止にしましたが、少子化の流れは止まっていません。
このように中国での教育市場は大きな変化を迎えています。
従来のように、右肩上がりの成長を期待することは難しくなりつつあります。
業績悪化&タコ足配当で財務状況が悪化
こうした経営環境の悪化によって、ベネッセの業績は徐々に悪化しています。
2014年に顧客情報の流出によって、一気に経営環境が悪化しました。
その後は徐々に売上を戻しましたが、コロナ禍で再び売上が大きくダウンしました。
更に利益が大きく下落している状況でも、配当金は維持しております。
こんな感じで、利益以上の配当金を出しております。
この状態を「タコ足配当」と呼びます。
利益以上の配当を出すということは、自社の内部留保か借金して払うしかありません。
こうした状態が長く続いた結果、ベネッセの自己資本比率は右肩下がりとなっています。
顧客情報の流出前は40%台だった自己資本比率が、20%台へと低下しています。
大きく事業拡大している訳でも無いベネッセで、この自己資本比率はヤバイです。
今の状況では、本来は配当を出す余裕は無いです。
配当では無く借金を返済し、経営状況の安定化を図るべきだと思います。
こうした財務状況の悪化が、株価の下落をもたらす一つの要因となっています。
配当・優待目当てで買うのは危険です
このようにベネッセは外部環境の変化により、経営環境が苦しくなってきています。
この状況を挽回するために、学校の授業用のタブレット学習ソフトを拡販しています。
しかし進研ゼミ・こどもちゃれんじの下落や、ベルリッツの事業撤退をカバーするほどには至っておりません。
2022年度も売上減少を予想しており、長期的に苦しい経営が続くことが予想されます。
今後更に利益が減ると、ほぼ間違いなく減配になると思われます。
そのため、今の配当金を前提に投資するの非常にリスキーです。
またベネッセは、株主優待を提供しています。
優待目当てで購入を検討している人もいるかと思います。
ですが、優待目当てに安易に投資をすると、株価下落で大きな含み損を抱える可能性があります。
あくまで優待はおまけです。
優待商品が欲しい人は、自分で買うようにしましょう。
まとめ:ベネッセの株価が下落している理由
ベネッセの株価が下落している理由まとめです。
・競争環境の激化(学習ツールの多様化)
・日本の少子化の加速
・中国の事業環境悪化(競争激化、双減政策、少子化)
・業績悪化&タコ足配当で財務状況が悪化
ベネッセは、個人的に進研ゼミでお世話になったので、ぜひ頑張って欲しいです。
ですが、経営指標はかなり苦しくなっており、安易に買うのは危険だと思っております。
この記事がベネッセの企業分析の参考になれば幸いです。
尚本記事は、個人の考えをまとめたものです。投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願い致します。
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