こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
今日はオムロンの株価が下落している理由について解説していきます。
2023年10月末の決算発表を受け、オムロンの株価がストップ安となりました。
たった1日で株価は15%も下落しました。
そこで今回はオムロンの株価がストップ安になった理由を解説していきます。
オムロンの株価が下落している理由を解説【設備投資減でストップ安】
オムロンの株価が下落している理由をまとめました。
・中国での市況回復の遅れ、半導体・EV投資の減速(制御機器事業)
・固定費の増加
・JMDC株式追加取得に伴う再評価にかかる損失(102億円)
オムロンは、制御機器事業及び電子部品事業で苦戦を強いられています。
詳しく解説します。
オムロンの概要をざっくり解説
オムロンの概要をまとめました。
・2022年度の売上:8,760億円
・2022年度の営業利益:1,006億円
・FA機器、ヘルスケア、電子部品事業を行う製造メーカー
・海外比率62%
オムロンは、FA機器、ヘルスケア、電子部品事業を行う製造メーカーです。
2022年度の実績では、営業利益の8割を「制御機器事業」が生み出しております。
直近の2022年度は、全セグメントおいて増収を達成しております。
特に制御機器事業、社会システム事業、電子部品事業は2桁を超える売上・利益成長を実現しました。
そんなオムロンにいったい何があったのでしょうか?
中国での市況回復の遅れ、半導体・EV投資の減速
オムロンの稼ぎ頭は、制御機器です。
制御機器とは、製造業の工場に設置される機械のことです。
FA(ファクトリーオートメーション)において、オムロンのセンサー・コントロール機器・ロボットは、無くてはならない製品となっています。
こうした制御機器は、中国で一番需要が多いです。
しかしその中国は、昨年から景気後退局面に入っており、回復の兆しが見えません。
加えて、昨年度の需要ひっ迫時に、顧客が多めに購入した在庫がサプライチェーン上に滞留しており、現時点でも在庫調整が継続しています。
このように最も需要が多かった中国市場でのブレーキがオムロンの業績に大きなマイナス影響を与えているのです。
加えて、半導体関係も2023年度は低調です。
2022年度は、半導体不足が世界的に話題になりましたが、現在は需要が大きく低迷しています。
半導体メーカ各社は足元の低調な需要を受け、設備投資を延期・凍結しております。
オムロンは、この低調な需要が続くものと予想しております。
こうした状況を受け、オムロンは通期決算を下方修正しました。
このように利益面が大きく減少しました。
(EPS378.5円→91.42円)
この結果、株価は大きく下落しているのです。
固定費の増加
またオムロンは、2023年度になって固定費が大きく増加しています。
主な悪化要因は、人件費・販管費の増加です。
この2つの悪化で、半年で76億円もの利益が目減りしています。
日本でもインフレが加速しております。
電気代・人件費が上がっており、企業経営の収益を圧迫する要因となっています。
こうした固定費の増加も利益減の要因となっており、株価下落につながっています。
JMDC株式追加取得に伴う再評価にかかる損失(102億円)
オムロンは、2022年に医療データサービス大手のJMDCと業務提携を行っています。
JMDCは健康保険組合の医療データを匿名加工し製薬・保険会社等へ提供するなど、医療のDX化に貢献するノウハウを持っています。
オムロンは2023年9月に、JMDCの買収を発表しました。
オムロンは8日、医療データサービス大手のJMDCに対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。JMDCはTOBに対して賛同を表明した。オムロンはJMDCの発行済み株式の54・57%を上限に買い付けて子会社化する。買収額は最大で855億円を見込んでいる。
【出典】朝日新聞デジタル_オムロン、医療データのJMDCにTOB 最大855億円で子会社化
オムロンは、医療機器を製造しております。
今回の買収によって、オムロンの機器から集めたデータを活用するなど、新たなサービスの展開が期待されています。
しかしJMDCは、直近では株価が低調に推移しています。
オムロンの買い付け価格は5,700円ですが、2023年10月末の株価は4,000円台前半となっています。
この結果、オムロンの保有するJMDC株式を2Q時点の市場価格にて再評価を行ったことによる損失(102億円)が発生しております。
こうした減損の発表も嫌気され、株価は大きく下落しているのです。
まとめ:オムロンの株価が下落している理由
オムロンの株価が下落している理由まとめです。
・中国での市況回復の遅れ、半導体・EV投資の減速(制御機器事業)
・固定費の増加
・JMDC株式追加取得に伴う再評価にかかる損失(102億円)
オムロンは、制御機器事業の牽引により業績を拡大してきました。
しかし直近は、中国市場および半導体EV市場の低迷により、利益が大きく減少しています。
この記事がオムロンの業績分析の参考になれば幸いです。
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