【コンデンサ】2020年度の村田製作所MLCCの需要動向を予測

村田MLCC 2020年度の需要予測 資材業務について
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こんにちは、コロスケです。

今日は村田のMLCCについてまとめていきます。

 

MLCC(チップセラミックコンデンサ)は、世界的な需要増により2017年~2018年の前半にかけて深刻な納期問題が起きました。

 

 

当時はMLCCを調達している会社は、モノの確保に走るなど対応に追われました。

しかし、直近2019年上期は米中貿易戦争などの影響で、需要が減少しております。

その結果、現在の納期は以前に比べると落ち着いております。

 

ただ今後の需要はどうなるのでしょうか。

また納期問題は起きるのでしょうか?

資材調達を担当している人は、MLCCの今後の需給動向が気になると思います。

 

今回は、資材歴10年の現役資材部員が、19年下期以降のMLCCの調達環境を予測していきます。

 

・2019年下期の需給動向が知りたい

・2020年度以降の見通しを知りたい

 

これらMLCCの今後の需給動向に関する疑問を解消していきます。

 

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【コンデンサ】2020年度以降の村田製作所MLCCの需要動向を予測

予測

 

本記事の結論です。

 

・19年下期の需要予測は横ばいなので、納期問題は起きない見込み

・村田は生産能力を増強しており、今後は深刻な納期問題になる可能性は低そう

・但し、車・5G向け需要が伸びており、20年度以降需要が回復するタイミングは注意が必要

 

村田の19年第二四半期の報告では、19年下期の需要を横ばいと予測しております。

MLCCを使用するメーカー各社は、直近で需要が復活する見込みは無く、とりあえず直近では納期問題は起きなそうです。

一方で長期的には需要は右肩上がりのため、20年度以降の需要が戻るタイミングでは注意が必要です。

 

詳しく解説していきます。

 

19下のMLCCの需要は横ばい予測

以下データは村田の19年度第二四半期決算資料です。

 

村田製品別受注高推移
https://www.murata.com/-/media/webrenewal/about/newsroom/news/irnews/irnews/2019/1031b/19q2_j_speach.ashx?la=ja-jp

 

納期問題が深刻だった2018年第二四半期は1,500憶円超の受注がありました。

しかし、その後は米中貿易戦争の影響で大幅に受注が減少しました。

(1,000憶円前後と2/3へ減少)

 

そして直近の19年7月~9月の第二四半期では、横ばいから徐々に上向きになってきており、徐々に回復傾向にあることが分かります。

 

2019年第一四半期⇒2019年第二四半期 製品別売り上げ高概況

コンデンサ(MLCC)

得意先や代理店の在庫調整により、家電・その他向けが減少したものの、ハイエンドスマートフォン向けが増加し、全体として横ばい

https://www.murata.com/-/media/webrenewal/about/newsroom/news/irnews/irnews/2019/1031b/19q2_j_speach.ashx?la=ja-jp

 

横ばいの内訳を見ると、上記の通り、全体的には在庫調整の局面が続いており受注量は減少しているとのことです。

一方ハイエンドスマートフォン、恐らくiphone11が好調だったので、その影響で全体としては横ばいを維持出来ております。

 

2019年7月~9月は、iphoneが好調だったが、それ以外の需要は変わらず低いまま

 

20年3月迄のMLCC需要を予測

村田の19年下期のMLCC需要予測は以下の通りです。

 

下期MLCC需要予測-min
19下製品別売上予想  https://www.murata.com/-/media/webrenewal/about/newsroom/news/irnews/irnews/2019/1031b/19q2_j_speach.ashx?la=ja-jp

 

この表を見ると、2019年下期は2018年度と比べると4%減、直近の19上期と比べると横ばい予想となっております。

この予想から、少なくとも2020年3月までは納期問題が起こらないことが予想できます。

 

2020年度以降のMLCC需要予測

では、2020年度以降の需要はどうなるのでしょうか?

僕は、以下2つの要因からMLCCの需要は増加していく予想を立てています。

 

①車・5Gで長期的に需要は増加傾向にある

②現在需要が弱っている分野も在庫消化が終われば、ある程度需要は回復する

 

車1台当たりに使われるMLCCは、現在3000個程度と言われております。

それが今後、車の電装化が進むにつれ使用量は爆発的に増え、1台あたり最大10,000個も使われる可能性があります。

 

また5Gも現在はアメリカや韓国で進んでおりますが、今後は日本など世界各国で5G向けでMLCCの需要は増えていくことが予想されています。 

つまり、大きい流れで見ると、MLCCの需要が増えていくのは確定と言って良さそうです。

 

また、今在庫消化中の家電などの分野も、在庫消化後は需要が戻ってくると思われます。

つまり、2020年度以降は再び需要が増加していくことが予想されます。

 

20年度以降、MLCCは再び納期問題が起きるのか?

20年度以降、需要が増加することで気になるのが、「納期問題が再び起きるのか?」ということです。

2018年度の生産能力のままでは、需要が戻った時、同じような納期問題が発生する可能性が極めて高いです。

 

そこで、村田の設備投資費用を確認してみました。

 

村田設備投資額推移

2017年度:1,149憶円

2018年度:1,851憶円

2019年度:3,000憶円

 

村田製作所は2017年比で2.6倍もの投資をする計画になっております。

2019年8月には、イワミ村田製作所で新生産棟の建設を発表するなど、大規模な設備投資を行い、生産能力の増強を進めています。

 

株式会社イワミ村田製作所(島根県大田市)は既存棟の生産設備を増設します。また、東に約5㎞離れた波根地区工業団地で新たに用地を取得し、新生産棟の建設を2019年8月から開始します。
今回の生産設備の増設と新生産棟の建設は、電子機器の高機能化、自動車の電装化による中長期的な需要増加に対応するため、積層セラミックコンデンサ生産能力拡大を目的としています。

https://www.murata.com/ja-jp/about/newsroom/news/company/general/2019/0805

 

これら大規模な設備投資をしていることを踏まえると、17年~18年度レベルの需要であれば対応は出来ると思われます。

 

但し、今後景気が回復したタイミング、特に需要が急増する時期は、納期がひっ迫する可能性が高いので注意が必要です。

 

まとめ

MLCCの2019年下期、2020年度以降の需給動向のまとめです。

 

・19年下期の需要は横ばいなので、20年3月までは納期問題は起きない見込み

・村田は生産能力を増やしており、20年度以降も深刻な納期問題になる可能性は低い

・但し今後需要が回復するタイミングでは注意が必要

 

2019年下期は、需要は横ばいが見込まれており、納期問題の心配は無さそうです。

一方で長期的には車の電装化、5Gなど需要増が見込まれています。

そしてその対応として、村田は大規模な設備投資を進めており、17年~18年前半レベルの需要であれば、納期問題は起きないと思われます。

 

ただ、景気が回復するタイミングでは、短期的に納期がひっ迫する可能性もあるので、資材調達担当者は注意をしていきましょう。

 

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。

 

コメント

  1. 島田 収 より:

    MLCCのキーマテリアル(BaTiO3&Ni粉&離型フィルム)の情報も面白い。