【今後どうなる】ルネサスによるIDTの買収は失敗か【リストラ?】

ルネサスによるIDTの買収は失敗か?資材業務について
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この記事は以下の方向けに書いています。

 

・2019年時点でのルネサスの経営状況を知りたい

・ルネサスがIDTを買収したらしいけど、影響を知りたい

 

こんにちは、コロスケです。

今日は、日本の大手半導体メーカーであるルネサスエレクトロニクスについてまとめていきます。

 

今回は、2018年から2019年のルネサスに起きた出来事を通じて、ルネサスの今後の見通しについてまとめていきます。 

2018年9月にルネサスは、米国の半導体メーカーであるIDTを買収すること発表しました。

 

ルネサスがIDTを買収し、組み込みソリューションで世界をリード
ルネサスと米国の半導体会社Integrated Device Technology, Inc.は、ルネサスがIDTの株式を1株当たり49.00米ドル、買収金額は株式価値にして約67億米ドル(1米ドル110円換算で約7,330億円)で現金による買収を行う最終契約を本日締結しました。

 

インターシル社に続く大型買収となり、半導体業界では大きな話題となりました。

 

その後、2019年5月の長期連休で、ルネサスの工場が稼働停止するとの発表がありました。

 

【経済インサイド】混迷極めるルネサス 半導体工場、異例の生産停止
半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、国内外の13工場で異例の長期生産停止に踏み切った。半導体工場は、24時間365日動かし続けるのが普通で、1カ月の停止とな…

 

設備産業である半導体工場が長期稼働停止するのは異例であり、ニュースで大きく取り上げられました。

 

今回は、このIDTの買収GWの稼働停止の二つの出来事を踏まえて、詳しく分析していきたいと思います。

 

尚、この記事を執筆している僕は、資材歴10年の現役資材部員です。

実際に半導体を調達してきた経験者の視点で、ルネサスの現状を分析していきます。

 

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【今後どうなる】ルネサスによるIDTの買収は失敗か【リストラ?】

 

2019年のルネサスの状況まとめ

・営業利益37.7億円の赤字(2019年第2四半期)

・有利子負債:8,527億円 (2019年第2四半期)

⇒素人が見ても結構危ない状況に見えるので、経営は要注意

⇒一番の問題は稼ぎ頭のマイコンへの投資が少ないこと

 

今回改めてルネサスの決算を分析してみたのですが、ちょっとやばめな感じがしました。

少なくとも短期的な視点では、IDTの買収は時期尚早。失敗だったように思います。

具体的にそのような結論に至った理由をご説明致します。

 

経営危機の後のV字回復

ルネサスは2012年に深刻な経営危機となり、産業革新機構の元で経営再建を図りました。

大幅なリストラ等を敢行することで、業績はV字回復を遂げました。

 

ルネサスエレクトロニクス売上・利益推移
https://www.renesas.com/jp/ja/about/ir/financial/highlight.html

 

売上自体は経営危機時点よりは落ちましたが、10%前後の高い利益率を確保できる体制になっています。

本来ルネサスは、NEC・日立・三菱が合併した時点で、工場再編やリストラを敢行すべきだったと思います。

ただ色々な、しがらみでそれを実施できず、深刻な経営危機に直面して漸くリストラや工場再編を行うことが出来ました。

 

ルネサスは一時期の経営危機を脱したんだね

 

米中貿易戦争の影響で赤字転落

2018年から続く米中貿易戦争の影響で、多くの日本の製造メーカーの売り上げが減少しています。

半導体業界も同様で、世界の半導体業界は2018年比でー12.1%との予測となっております。

 

2019年は、2018年後半の市況悪化の流れを引き継ぎ、月ベースでは前年割れで推移している。予測値作成時点では米中貿易摩擦やBrexit等、不透明要素を完全には払拭できなかったことに加え、2018年から既に顕在化していたスマートフォン関連需要の頭打ちなどもあり、半導体市場合計で前年比-12.1%と前年割れを予測した。

https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20190604WSTS.pdf

 

ルネサスは、この貿易戦争の影響が大きく、2012年度以来の赤字転落となりました。

 

売上:3,428憶円(2019年第2四半期)

利益:マイナス37.7憶円(2019年第2四半期)

 

やっぱり米中貿易戦争の影響は大きいんだね・・・

 

2019年のGWに異例の帰休を実施

2018年からの景気減速の影響で、ルネサスには完成品の在庫が増加しておりました。 

 

ルネサス在庫推移
https://www.renesas.com/jp/ja/about/ir/event/pdf/fy2019/2019-q2-presen-ja.pdf

 

ルネサスと販売代理店合わせて2,000憶円前後の在庫を抱える状況となっております。

在庫の適性化をはかるためにルネサスは思い切った手として「GWの稼働停止」を選択しました。

 

先ほども申し上げた通り、半導体メーカーは設備産業なので設備償却のためにメンテナス以外では24時間稼働させます。

なので、設備を停止させるということは、今後の見通しがよほど悪いと考えていたのだと思います。

ただ、結果としては予定よりも稼働停止日は短くなったようです。

 

Q)工場の生産停止の件で、5 月は想定より短く、計画対比で 30-40%の期間での停止になる、とのこと。元々 GW の連休に合わせている話だったと思うが、どのような形で生産停止を計画されているのか教えてほしい。

A) 一部の工場については全く生産停止をしないことになった。停止する工場についてもその期間を短くすることになった。

https://www.renesas.com/jp/ja/about/ir/event/pdf/fy2019/2019-q1-presen-qa-ja.pdf

 

IDTの買収により有利子負債急増

先ほどご説明したとおり、ルネサスは2018年9月にIDTを買収することを発表しました。

IDTの買収額は「約67億米ドル(1米ドル110円換算で約7,330億円 」と言われております。

 

手元にお金が無いルネサスは、この買収費用のほとんどを借入金で賄いました。

 

主要取引銀行から新たに約6,790億円の借入金による調達で充当することを予定

https://www.renesas.com/jp/ja/about/press-center/news/2018/news20180911a.html

 

その結果、2018年12月時点で1,950憶円だった有利子負債が、8,527憶円と急増しております。

今後、ルネサスはこの8,527億円の借金を返済していく必要があります。

 

8,527億円の借金って想像も出来ないよね・・・

 

IDT買収効果は見込めるのか?

半導体業界では、自社に不足する技術を買収で補うことが良くあります。

自社で新たに設備投資するよりも安くすみますし、買収によってシナジー効果が生まれることが期待されるからです。

では、ルネサスによるIDT買収はどうなのでしょうか?

 

僕自身は、2018年時点でのIDTの買収は失敗だったと思っています。

理由は以下の通りです。

 

・IDTの買収価格は高かった

・本業のマイコンへの投資が疎かになる

・社長が責任を取って辞めた

 

IDTの買収価格は高かった

買収を決めた価格は結果としては高値掴みだったと言われており、ルネサス自身もそれを認めています。

 

価格については、マーケット全体が大きく変動しているので、高すぎるという意見は理解しているが、IDTのフ ァンダメンタルズは継続的に堅調で、本質的な価値は不変であると考えている。一日も早く成果を数字で示し、インターシルのように、後から振り返れば実績を積み上げられているようにすることが経営としての課題。

https://www.renesas.com/jp/ja/about/ir/event/pdf/fy2018/2018-q4-presen-qa-ja.pdf

 

もちろん株価の動きは読めないので、底値を拾うのは無理ですが、IDT自体に 7,330億円の価値があったのかは正直微妙だと思います。

加えて、仮に7,330憶円の価値があっても、経営危機から立ち上がったばかりのルネサスには手が出せなかったのではと思います。

 

経営者は半導体サイクルを知らなかったのかな??

※半導体サイクルとは数年置きに好況・不況を繰り返す波のこと

 

本業のマイコンへの投資が疎かになる

IDTの買収によって多額の有利子負債を抱えるルネサスは、今後積極的な設備投資は難しくなります。

半導体は設備産業です。

設備を投資してナンボの世界において、設備投資が出来なくなるのは致命傷です。

 

ルネサス設備投資
https://www.renesas.com/jp/ja/about/ir/event/pdf/fy2019/2019-q2-presen-ja.pdf

 

半導体を知っている人が見ると、40憶円程度の投資は投資した内に入りません。

何も投資していないのと同義です。

もちろん、ファブレスへ徐々に移行していて工場への投資が必ずしも必須では無いと思いますが、それでも現状は国内の自社工場がメインです。

ここを強化しないということは主力であるマイコンビジネスを疎かにしていることに他なりません。

 

任期途中で社長が責任を取って辞めた

2019年6月に呉文精社長が任期途中で退任しています。

6月という中途半端なタイミングで退任するのは、責任取った以外は考えられません。

呉文精社長の任期途中での退任が、IDTの買収が失敗だったことを証明しています。

 

資材担当者・設計担当者がすべきこと

ルネサスは今後8,527億円の有利子負債の返済を進めていかなければなりません。

そのため、ルネサスが稼いだお金は銀行への借金返済に充てられることになります。

 

今後市場が再び活況を呈してきた時に生産能力を増強したくても出来ない事態に陥る可能性があります。

2012年ほどの危機になるかは分かりませんが、今後供給問題が発生する可能性があり得ます。

BCP対策として、ルネサスのマイコンを使っている人たちは代替メーカーの検討を長期的な視点で進めていくのが望ましいです。

 

1社体制だと供給が不安だよね・・・

 

ルネサスにはマイコンに注力してほしい

ルネサスは以前のような総合半導体メーカーでは無く、マイコンのメーカーです。

日本におけるルネサスのマイコンのシェアはとても高いです。

そのため、万が一再びルネサスに経営問題等が起きると、日本の製造メーカー全体に影響が波及してきます。

(2011年の震災の時、トヨタは那珂工場へ人を派遣し、復旧の手伝いまでしました)

 

僕個人の意見ですが、ルネサスは余計なことをせずにマイコンに注力してくれ!と思っています。

本業を疎かにして成功するビジネスはありません。

身の丈に合わない買収で一気にビジネスを増やすんでは無く、マイコンを中心にコツコツとやってほしいなぁと思います。

 

まとめ

ルネサスの2018年から2019年の経営に対するまとめです。

 

・IDTの買収は身の丈に合っておらず、失敗

・直近の売上減少がそれに追い打ちをかけている

⇒とにかく本業のマイコンに注力してほしいと資材部員は思っています

 

今後、ルネサスの経営は大変だと思います。

一番のポイントは、米中貿易戦争がいつ終わり、半導体市場がいつ戻ってくるかです。

5G、EV化など需要増のイベントが控えていますので、きちんと利益を出せるように頑張ってほしいです。

(もちろんその時は納期問題に要注意です)

 

最後まで読んでくれてありがとうございました。

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

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◆半導体全般の歴史について

 

◆半導体商社の再編について

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