半導体商社の生き残り戦略を解説【M&Aなど変化が激しい業界】

M&A 半導体 資材業務について
スポンサーリンク

こんにちは、コロスケです。

今日は、半導体業界についてまとめていきます。

 

僕は資材歴10年の現役資材部員ですが、半導体商社との取引を通じて半導体業界について色々勉強してきました。

 

今回は、半導体業界その中でも半導体商社の業界について詳しく解説していきます。

半導体商社に興味がある方へ有益な情報を提供していきます。

 

スポンサーリンク

半導体商社の生き残り戦略を解説【M&Aなど変化が激しい業界】

半導体

半導体の商社とは、半導体メーカーの製品を仕入れて販売するのが仕事です。

半導体商社の業界で起きている状況を簡単にまとめると以下の通りです。

 

・半導体メーカーのM&Aと、それに伴う半導体商社の商権の見直し

・商社はメーカーの大きな波に飲み込まれないよう合併している

 

半導体業界は他の業界と比べても変化が激しい業界です。気が付くと知っているメーカーが買収されているケースも頻繁に起こります。

そんな激動の半導体業界で起こっていることを詳しく説明していきます。

 

半導体メーカーのM&Aと、それに伴う半導体商社の商権の見直し

半導体メーカーはM&Aが活発です。買収は日常茶飯事です。

半導体業界にM&Aが多い理由は、半導体で新たな事業に投資するためには莫大な費用がかかるので、買収した方がコスパが良いからだと思います。

最新のプロセスの工場設備を投資すると兆単位での費用が発生します。

 

台湾積体電路製造(TSMC)が台湾・新竹にある生産施設の拡大に向けて4000億台湾ドル(約1兆5000億円)を投じる方針を明らかにした。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-27/P7TTP56TTDS801

 

工場の新設や新たな設備の導入は、かなりハードルが高いです。うまくいく保証も無いので、ハイリスクな投資になってしまいます。

そのため、既存のメーカーでそれなりの成果を出している会社をM&Aで買収し、足りないビジネスを補うのは自然の流れだと思います。

 

また自社で持っていない種類の半導体をM&Aで吸収できることは、ソリューション提案の幅が広がるため、買収によって、1+1=2以上の効果を出すことも期待できます。

 

そういう市場なので半導体のメーカーの再編は日々行われています。最近の動きでは日系メーカーのルネサスが米国のIntersilやIDTを買収していますね。

 

でもメーカーの再編が半導体商社にどのような影響を与えるの?

 

半導体商社はメーカーの製品を販売するために、メーカーと代理店契約を結んでいます。

メーカーとの代理店契約は、通常選ばれた数社が担っているのですが、メーカーの合併によってその代理店契約自体も見直されます。

イメージとしては以下の通りです。

 

半導体商社の再編

 

今までメーカーA社の販売商社が3つ、メーカーB社の販売商社が3つあった場合、A社とB社の合併によって商社も集約されます。

1つのメーカーで2~3社の商社が一般的なので、合併によって数が多くなった商社は集約されることが一般的です。

  

商社の見直しの結果、残る側の商社B・D・Fは今までよりも仕事が増えることになるのでハッピーです。(但し、その分の営業リソースの確保などが求められます)

残念なのは、メーカーの合併で商権(代理店契約権)を失ってしまったA・C・E社です。

商権見直しにより、今までのメーカーA社/B社の売り上げが、ゼロになります。

 

半導体商社にとって、メーカーの商権を維持することは死活問題なのです。そしてビジネスを増やす一番の方法が他社の商権を獲得することなのです。まさに弱肉強食の厳しい世界です。

 

半導体商社って結構厳しい世界なんだね・・・

 

商社はメーカーの大きな波に飲み込まれないよう合併している

 

商権(代理店契約権)が無くならないように商社はどんな努力をしているの?

 

半導体メーカーのM&Aは業界の構造上、今後も続いていくと思われます。商社はメーカーの再編が続く前提で生き残りの戦術をたてます。

一番の生き残り対策が、「商社自身の規模を大きくしてメーカーへの発言力を高める」ことです。

 

そもそも日本の半導体商社は数が多いと言われております。

アメリカはARROW/AVNETという2大商社によって寡占化しているのに対して、日本は数十の商社がひしめき合っています。

外資系の半導体メーカーは商社たちを競わせ、成績が悪い商社の商権を取り上げるなど結構シビアなことをしています。

こういう状況になる一番の原因が、商社の規模が小さく、数も多く、メーカーへの影響力が小さいからです。(商社を切り捨てても他にいくらでも変えの商社がいる)

メーカーへの発言力を増やすために、数年前から半導体商社は大規模な合併を繰り返しています。最近の半導体商社の大きい合併でいうと以下の例があげられます。

 

・マクニカ・富士エレクトロニクス→現マクニカ・富士エレホールディングス

・豊通エレクトロニクス・トーメンエレクトロニクス→現ネクスティ

 

上記2社は、商社の規模を大きくすることで、メーカーのM&Aでの商権見直しがあっても、生き残ることを目指しています。

 

その他の半導体商社の取り組み

 

合併以外に半導体商社がやっている生き残り戦略はあるの?

 

半導体商社は昔のように付加価値の高い製品を売れば儲かる時代ではなくなってきております。

今まで商社に求められてきた機能は以下の通りです。

 

・設計部門への技術サポート

・在庫機能

 

今は上記付加価値に加えて、以下の取り組みを見るようになりました。

 

・ソリューション提案(部品の提案から必要機能の提案)

・半導体以外の商材の販売

 

今までは言われた部品の技術的サポートだけしていれば良かったのですが、それだけでは儲からないので、必要な機能を踏まえて客先の技術者へ

「こういう機能なら、このソリューションがオススメです!そしてそのソリューションにはAとBの製品を使いましょう!」

というより付加価値の高い活動が必要になってきております。

そして客先の技術者が必要とするモノを提案しようとすると、必然的に半導体以外の電子部品も販売することが求められてきます。

 

ただソリューション提案で色々な製品を提案するためには、色々な分野の製品の商権を持っている必要があります。

なので結局は必要な商権ラインナップを持っている大きい商社が、より稼げるようになるのだけなのかもしれません。

 

半導体商社は半導体という枠を超えて、色々な活動をしているんだね

 

まとめ【日本の半導体商社は良くも悪くも日本の製造業次第】

日本の半導体商社は半導体を「日本の製造メーカー」へ販売するのが主な仕事です。

そのため、日本の製造業が弱ってくると必然的に日本の半導体商社も弱ってきます。

 

昔は外資系の半導体メーカーのアジア拠点は日本であることが多かったのですが、最近は中国やシンガポールなどがアジアの統括になっています。

つまり半導体メーカーにおける日本の価値は徐々に低下していっています。

 

それは日本の半導体商社にとっても同じことで、日本の製造メーカーが弱ってくると、売り上げも減少していきます。

半導体商社は日本メーカーの海外進出について行くことで、売り上げ確保を目指していますが、将来的にはアジアのローカルメーカーに販売する力をつけていくことが一番の生き残りのカギなのかもしれません。

 

これからも半導体商社の動向には注目していきたいと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

コメント