こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。
この記事では、「基板の値上げが相次いている原因」を解説します。
なんか最近基板メーカーの値上げ申請多くない?
2021年になって、基板の値上げ申請が増えてきています。
基板を買っている資材部員の方は、苦労されていると思います。
そこでこの記事では、基板が値上がりしている原因と対策について分かりやすく解説していきます。
【2021年】基板の値上げ申請が相次いでいる原因を資材部員が解説
基板の値上げ傾向にある理由は、以下の通りです。
・基板の材料(基材)の市況価格が値上がりしているから!
ここまでは、基板メーカーから説明を聞いている方も多いと思います。
ここでは、なぜ基材が値上がりしているのかを深堀していきます。
これを読んで、基板の知識を深めましょう!
基材は何からできているの?
基板材料は、主に以下3つの材料で構成されています。
①銅箔(薄い膜の銅)
②樹脂(エポキシ樹脂など)
③ガラスクロス(絶縁性の高いガラス布)
ここら辺の話は、メイコーのHPを読むと分かりやすいです。
【値上げ理由1】銅箔=銅相場が上昇
2020年3月のコロナショックで銅価格は暴落しました。
その後は、産油国の減産・景気回復・金融緩和の影響で、銅価格は右肩上がりに上昇しています。
これは2020年6月~2021年3月までの銅LMEチャートです。
こんな感じで爆上げです。
現在のLME9,000ドル台は、2011年以来の高値圏です。
基材は、費用の半分近くを「銅箔」で占めています。
そのため、銅の値段がここまで上がってしまうと、基板メーカーはかなり苦しくなってくると思います。
また銅の価格については、以下の記事に詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。
【値上げ理由2】エポキシ樹脂の市況が上昇
先ほどご説明したように、基材には「樹脂」を使用しています。
そして、樹脂には「エポキシ樹脂」が使われるケースが多いです。
そして、最近はエポキシ樹脂の価格が高騰しております。
エポキシ樹脂が強含み。足元1トン当たり4000ドル前後(CFR中国)で昨年第2四半期の底値から2倍近くにまで上昇。歴史的な高水準となっている。主原料が高騰しているうえ、エポキシ樹脂自体の需給もひっ迫。堅調な川下需要が続くとの見方が多く、今後も強含む公算が大きい。国内メーカーが値上げに動いている。
【出典】化学工業日報 エポキシ樹脂、強含み 原料高騰、需給ひっ迫で ※太字は著者
そしてここまで値段が上がった背景は、供給側であるエポキシメーカー工場で火災が発生した事にあります。
火災によりエポキシ樹脂の供給量が減ったことで、エポキシ樹脂市況が急騰しました。
基材の価格の約2割がエポキシ樹脂と言われております。
エポキシ樹脂価格が2倍になると、基板材料にも反映されてしまいます。
基材メーカーは相次いで値上げ
市況価格の上昇を受けて、基材メーカーは相次いで値上げを発表しています。
住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、社長:藤原一彦)は、銅張積層板の価格改定を行うことと致しましたのでお知らせ致します。昨年来の銅相場の上昇により、主原料の銅箔が高騰しており、自助努力によるコスト吸収は不可能な状況になっております。つきましては、下記内容の価格改定を顧客に申し入れることと致しました。
【出典】住友ベークライト 銅張積層板の価格改定について
パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社 電子材料事業部は、電子回路基板材料として製造・販売している
銅張積層板および内層回路入り多層基板材料(当社製品名:プレマルチ)の価格を改定致します。電子回路基板材料の主要原材料である銅箔の価格が高騰しており、自助努力で吸収するには困難な状況になっております。
つきましては、製品の安定供給を図るためにも、上昇分の一部を以下の通り製品価格に反映させていただくこととなりました。
【出典】パナソニック 電子回路基板材料 価格改定について
両社とも、2021年3月から5%~10%の値上げを発表しています。
基板メーカーで吸収しきれず値上げ申請が相次いでいる
今回の基材の値上げを受けて、基板製造メーカーの値上げ申請が相次いでいます。
基板市場は、比較的買い手が有利で、基板メーカーは基材の値上げを自社で吸収するケースもあります。
しかし今回は、市況がタイトになっていることもあり、基板メーカー各社は強気に値上げの申し入れをしています。
元々基板メーカーは、そこまで儲かっているわけでは無いので、自社で吸収できる余力がないというのが本音かもしれません。
基板メーカーの値上げ攻勢にどう対応するべき?
値上げ申請にどう対応するべき?
値上げへの対応方法は、各社それぞれだと思います。
ここでは、僕の個人的な考えを述べます。
・適正な値上げ幅なら、値上げを受け入れる
・その代わり、納期は確実に対応してもらう
・加えて、値戻しの条件を明確化する(市況下落時)
2021年3月の市況は、かなりタイトです。
基板メーカーもフル生産で対応しています。
こういう時に値上げ抑制すると、後々色々な火種となります。
(納期問題で対応してくれないなど)
一方でこのまま値上げし続けるのは、自社の競争力の観点で受け入れられません。
市況が具体的に「いくらまで」戻った時に、きちんと値戻しできるようにしておきましょう。
もし価格が硬直化するなら、他社への転注も検討していきましょう!
まとめ:基板の市況もひっ迫している
本記事のまとめです。
・値上げは、基板の材料(基材)の市況価格が値上がりしているから!
・銅箔、エポキシ樹脂の価格が上昇している
2021年は市況の急回復により、調達品の値上げ傾向にあります。
市況を見極めつつ適切に対処してきましょう!
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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