こんにちは、コロスケです。
今日は台湾の半導体企業であるNUVOTON(ヌヴォトン:新唐科技)について解説していきます。
2019年11月28日にNUVOTONがパナソニックの半導体事業を買収するニュースが発表されました。
パナソニックの半導体事業の買収で一躍有名になったNUVOTONですが、皆さんどんな会社かご存知でしょうか。
今回は、NUVOTONとはどんな会社か詳しく解説していきます。
・NUVOTONってどんな会社?
・NUVOTONってどんな製品を作っているの?
・NUVOTON の売上や財務状況が知りたい
・NUVOTONの販売代理店が知りたい
上記疑問を解決していきます。
■関連記事:パナソニック半導体事業売却について
NUVOTON(ヌヴォトン)とはどんな会社?【台湾の半導体企業】
NUVOTONとはどんな会社なのでしょうか?
・NUVOTONは、ARMマイコンを中心とした台湾の半導体メーカー
・WINBONDの子会社
・売上351憶円、営業利益24憶円の企業(18年度実績)
・パナソニックの買収は事業拡大に向けた大きな経営判断
NUVOTONは、台湾にあるマイコンを中心と半導体の製造メーカーです。
今回、WINBONDグループがパナソニックの半導体事業を買収したのは、事業を拡大するための大きな経営判断と言えそうです。
将来を詳しく解説していきます。
NUVOTON沿革
NUVOTONは元々、WINBONDの製造工場としてロジックICの製造を行っておりました。
その後、2008年にWINBONDのロジックIC部門が独立して設立されたのがNUVOTNです。
NUVOTONという社名は以下の言葉が語源のようです。
「Nuvo」は「新しい」(Nouveau)というフランス語の発音に近く、また「Ton」は唐朝の唐(Tang)という英語の発音と似ています。唐朝は中国の歴史上最も栄えた時代のひとつで、国際文化交流、経済貿易、科学技術の刷新において目ざましい成果をあげており、世界の中心となっていました。
https://www.nuvoton.com/hq/about-nuvoton/company-profile/overview/?__locale=ja
NUVOTNの事業内容
次にNUVOTONの事業内容を見ていきます。
製品別売上
NUVOTONの主要製品は以下の通りです。
・マイコン
・音声IC
・オーディオIC
上記グラフが製品毎の売上比率です。
これを見ると、売上の8割近くがマイコンであることが分かります。
NUVOTONは2010年よりARMとの提携を開始し、それ以降ARMマイコンの製造を行っております。
アプリケーション別売上
NUVOTONのアプリケーション別の売上は以下の通りです。
元々WINBONDだったので、PC向けの比率で50%近い売上になっています。
残りの半分が民生、車、産業向けとなっております。
ファウンダリービジネス
またNUVOTONは半導体前工程の受託製造(ファウンダリービジネス)もおこなっております。
ファンダリービジネスの概要は以下の通りです。
・台湾の6インチライン
・ウエハプロセスは、 0.35um~1.0um
・月産能力は45,000枚
また製造可能な品目は以下の通りです。
一般ロジック (Generic Logic)、ミックスシグナル (Mixed Signal)、高電圧デバイス (High Voltage)、超高電圧デバイス (Ultra High Voltage)、電源管理 (Power Management)、Mask ROM (Flat Cell)、組み込み型不揮発性メモリ (embedded Logic Non-Volatile Memory) とカスタマイズ工程 (例: IGBT, MOSFET, TVS, Sensor)等を取り扱っています。
https://www.nuvoton.com/hq/foundry-service/about-us/?__locale=ja
NUVOTON経営状況
次にNUVOTONの売上や利益などの経営状況を整理していきます。
売上・利益推移
18年度の売上が351憶円、営業利益24憶円(利益率7.1%)となっております。
売上は2015年の238憶円と比較すると、約1.5倍に増えており、売上が右肩上がりに増えていることが分かります。
売上が伸びても利益が付いてこないパターンがたまにありますが、NUVOTONは利益も一緒に伸びています。
キャッシュフロー推移
次にNUVOTONのキャッシュフローをみていきます。
毎年確実に10憶円~20憶円のキャッシュを生み出しています。
フリーキャッシュフローもプラスなので経営は順調のようです。
ただ半導体にも関わらずあんまり投資をしていないのが気になります。
恐らく設備投資競争には参加しなくとも、現行設備で稼げるビジネスモデルを確立できているのだと思います。
自己資本比率
自己資本比率は近年60%前後で推移しています。
今後、パナソニックの半導体を買収した時にどのような経営状況になるのかは注意が必要です。
NUVOTONとパナソニックとの比較
次にNUVOTONとパナソニック半導体事業の比較をしていきます。
僕がNUVOTONのIR資料を読んでいて思ったことは、NUVOTONは思ったより規模が小さいな、ということです。
・NUVOTON売上:351憶円
・パナソニック半導体売上:922憶円
パナソニックの方が2倍以上の事業規模です。
普通買収するとしたらパナソニックの方ですが、今回は小さい方のNUVOTONが買収しています。
ここだけみると、あり得ない買収に見えます。
WINBONDグループとパナソニック半導体の比較
そこで親会社のWINBONDも含めたグループと比較していきます。
WINBOND本体と子会社のNUVOTONを足してようやくパナソニックを買収できる規模になりました。
つまり今回のパナソニック半導体の買収は、NUVOTONの買収というより、WINBONDグループとしての買収であることが分かります。
利益額の比較
次に利益額を比較してみます。
WINBOND | NUVOTON | パナソニック | 合計 | |
営業利益(億円) | 277 | 24 | -235 | 67 |
もしパナソニックの赤字がそのまま続く場合、WINBONDグループの利益の大半が吹っ飛んでしまいます。
WINBOND(NUVOTON)は、パナソニックの赤字体質を改善しない限り、自分たちの経営も危なくなります。
特にNUVOTON単体では大赤字になってしまいます。
WINBOND(NUVOTON)は、パナソニック買収に当たってはかなりのリスクを背負っていることが分かります。
NUVTONの販売代理店
NUVOTONの販売代理店は以下の通りです。
・加賀デバイス
・オーエスエレクトロニクス
・佐鳥電機
・高千穂交易
まとめ
本記事のまとめです。
・NUVOTONは、台湾にあるマイコン等の半導体製造メーカー
・現状のNUVOTONの経営は順調
・パナソニックの買収で大きな勝負に出ている
今回のパナソニックの買収額は270憶円と言われております。
それが安い買い物になるのか、それとも安物買いの銭失いになるのでしょうか。
今回のNUVOTONの勝負に出た買収がどうなるのでしょうか。
今後も定期的にNUVOTONの状況をウォッチしていきたいと思います。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。
■パナソニック半導体事業の売却について
コメント
はじめまして!
大学3年生で就職活動中の
文系 男です。
コロスケさんのブログを読み、資材調達の仕事への興味が湧き、資材調達部で働いてみたいと考えている者です。
現在、食料メーカーや化学メーカーの素材の原材料調達に興味があるのですが、最初からその部署を希望して入ることは営業希望等に比べてやはり難しいのでしょうか?
よければ相談に乗っていただきたいです。
当サイトご覧頂きありがとうございます!
結論から言うと、資材調達希望は、営業希望に比べて難しいと思います。というのも、募集人数が営業の方が多いからです。
内定を取るのが第一優先なら、営業&資材希望の方が人事採用の受けが良いと思います。
僕の場合は、資材調達希望で内定を貰い、実際に資材調達に配属されました。
面接できちんと希望を伝えるのが大事だと思います。
(ちなみに大手企業の子会社には資材関係の専門会社もあるので、色々調べてみるのも面白いと思います)
また何かご質問あれば、このサイトかツイッターでご連絡いただければと思います。
大企業の子会社(日立製作所の子会社のHIPPSさん)などの、購買専門にやっている会社はどのように感じられますか?
ご返事遅くなりすみません。
大企業の子会社には購買専門の会社も多いので、購買の仕事が絶対に希望であれば、そういう会社も選択肢に入るかと思います。
大手企業以外にも良い会社はあるので、視野を広げるのはとても良いと思いました。