坂口孝則氏の調達力・購買力の強化書を読んだ感想【資材部員が解説】

坂口孝則氏の調達力・購買力の強化書を読んだ感想【資材部員が解説】-min 資材業務について
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こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。

今日は、坂口孝則氏が書いた「調達力・購買力の強化書」について解説します。

   

    

坂口氏は調達系の本を沢山出版されている数少ない方です。

ネットで調達系の本を探すと、坂口氏の本ばかり出てきます笑。

    

でもホントに有益な本なのか気になる方も多いと思います。

そこで今回は現役資材部員の著者が「本を読んだ感想」を解説していきます。

     

         

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坂口孝則氏の調達力・購買力の強化書を読んだ感想【資材部員が解説】

本

     

本を読んだ主な感想を2つ挙げます。

    

・資材部員としてのマインドは共感できるところが多い

・コラムが面白い笑

・フォーマットはこだわり過ぎ。上司がこれを導入したら担当者は死にそう笑

     

坂口氏は、電機メーカーと自動車メーカーで勤務した経験があります。

実際に担当者として感じたこと、こうあるべきという考えには共感できる部分が多かったです。

   

一方で分析手法はかなり細かい印象を受けました。

日々の発注で忙しい人がそこまでやりきるのは、大変そうだなと感じました。

詳しく解説します。

    

参考になったポイント

以下の4つのポイントが参考になりました。

    

・資材マインドは共感できる

・フォーマット作りに参考になる

・外注品で参考になる記載が多い

・コラムでは資材部員の本音が書かれていて面白い

    

資材マインドは共感できる

読んでいて、資材に対する考えで共感できるところがありました。

例えば、失注したサプライヤーへの配慮についての記載がありました。

     

敗者サプライヤに弱点を他社と比較しズバリ教えてあげるのはご法度かもしれません。でも、少なくとも「どの価格要素が弱いゆえに競合に負けた」くらいはできるはずです。

調達力・購買力の強化書

    

取引先を駒として見るのではなく、対等なパートナーと見ているからこその考え方だと思いました。

他にも、値上げ理由が妥当だった場合の考え方にも同意です。

   

私たち調達・購買機能の役割は、「適切に買う」ことです。サプライヤに赤字のまま販売してほしいとは思いません。

中略

逆に市況上昇の際には、値上げも(繰り返し、厳密な査定のうえで)認めるべきでしょう。

調達力・購買力の強化書

    

安ければ安いほどよいという考えの人もいますが、それは間違いです。

長期的に安定供給を維持してもらうためには、取引先にもメリットを感じてもらう必要があります。

    

これら取引先と利益にも配慮する考え方は、参考になるかと思います。

      

フォーマット作りに参考になる

「調達力・購買力の強化書」では、見積書やサプライヤ戦略書など、各種様式の見本が載っています。

坂口氏が細かい性格なのか、様式は網羅的です。

   

フォーマットを作りたい、他の会社はどんな様式を使っているんだろう、などフォーマット作りでは参考になるので、ぜひ読んでみて下さい。

     

外注品で参考になる記載が多い

調達力・購買力の強化書」では、労務費などの各種査定方法も紹介されています。

    

・詳細な見積様式

・労務費査定

・加工費査定

    

これらの査定方法は、外注品の価格構造を丸裸にするのに役立ちます。

「取引先が開示しない詳細を推測したい」というケースでは非常に参考になると思います。

(尚、汎用品では積み上げ方式は使えません)

    

コラムでは資材部員の本音が書かれていて面白い

この本で一番参考になったのは、坂口氏が資材部門で働いていた時に感じたことのコラムです。

経営幹部の大風呂敷を、どうやって現場の資材部員はこなしていくのか?は僕の職場とも似通っていました。

    

どこも同じなんだなぁと共感しました。

偉い人の思いつきで苦労している人は、ぜひ読んでみて下さい。

   

参考にならなかった点

一方で参考にならなかった部分もありました。

      

・フォーマットが細かすぎ!これやったら担当者は死にます笑

・ぶっちゃけ汎用品バイヤーは得るものが少ない

・出版から5年以上立っていることは留意すべき

    

フォーマットが細かすぎ!

多分坂口氏は、大手企業で働いていたんだろうなぁと推測できます。

見積書の様式がものすごい細かいです。

多分この見積書を取引先に埋めてもらうので、一苦労だと思います。

     

よし、うちもこのフォーマットを活用しよう

   

のように、偉い人がこの本を読んだら、次の日から担当者は死ぬと思います笑。

    

この本の様式は、誰にでも参考になるように網羅的にしたのだと思われます。

そのまま使うと、埋めるのに一苦労で費用対効果が合いません。

絶対にこのまま使わずに、自分の会社流にアレンジしましょう。

    

ぶっちゃけ汎用品バイヤーは得るものが少ない

坂口氏は、外注畑だったのだと思います。

見積書や査定方法が「外注取引先向け」の内容になっていました。

  

外注品の担当者は、得るものが多いと思いますが、汎用品の担当者は読んでも得るものは少ないです。

汎用品のバイヤーは「強い調達」という本の方が良いと思います。

    

出版から5年以上立っていることは留意すべき

この本の初版は、2014年です。

出版から5年以上経っており、考え方が若干古い部分もあります。

  

特に安定調達やBCPの概念に触れていない点には注意が必要です。

(これは「強い調達」でも同じでした)

    

【感想】担当者は、理論より実践に役立つノウハウがほしい

正直に言うと、この本を読んで「かなり理論に偏っているな」と思いました。

そういう意味で、この本は管理職向けの本だなと感じました。

(教科書的な本なので、仕方がないのかもしれないです)

    

恐らくこういう教科書は、管理職より若い担当者の方が手に取る事が多い気がします。

そういう若い担当者がこの本を読んで「よし、明日から見積様式を細かくしよう!」と思う人は少ない気がします。

  

ふーん、そういう考えもあるんだね~

    

で、終わる気がしています。

  

僕自身「個人で頑張る資材部員に役立つ情報があれば良いな」と思って、このブログを始めています。

そういう教科書で満足出来ない人は、僕の記事を読んで貰えれば幸いです。

(担当者個人が生き抜く方法をまとめています)

     

        

         

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