【半導体撤退&売却】今後のパナソニック半導体はどうなるのか解説

パナソニック半導体事業撤退、売却 資材業務について
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こんにちは、コロスケです。

今日はパナソニックの半導体事業についてまとめていきます。

 

2019年11月28日に日経新聞に以下記事が載りました。

 

 

長らく苦戦が続いていたパナソニックの半導体事業が台湾の半導体メーカーに売却されることが発表されました。

同日、パナソニックのプレスリリースでも、同様の発表がされました。

 

パナソニックは、既に半導体事業の一部事業をロームに譲渡することが決まっておりました。

今回の発表で、残りの半導体製品も他社へ譲渡されることになります。

 

半導体を知っている人にとっては、日本の半導体事業が衰退しているのをみるにつれ、悲しい気持ちになってしまいます。

完全に日本の半導体は斜陽産業になってしまったようです。

 

今回は、資材調達歴10年の著者が、パナソニックの半導体事業売却について詳しく解説していきます。

 

・どうして売却されることになったの?

・パナソニックの半導体事業はどうなるの?

・今後パナソニック半導体を買っている人はどうすれば良いの?

 

上記疑問を解決していきます。

 

買収する側のNUVOTONについて知りたい方は以下の記事も参考にしてみて下さい。

 

 

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【半導体撤退&売却】今後のパナソニック半導体はどうなるのか解説

半導体

 

本記事の結論です。

 

・パナソニックは抜本的な構造改革を進めている

・半導体事業は、20年6月に台湾の新唐科技(ヌヴォトン)へ270憶円で売却

・売却後の半導体事業は、製品の統廃合、値上げが予想される

 

今回の売却は、新唐科技(ヌヴォトン)と既に合意済みです。

20年6月1日にパナソニックの半導体は、新唐科技(ヌヴォトン)へ譲渡されます。

 

詳細を詳しく解説していきます。

 

パナソニックの半導体事業はどうなるのか?

パナソニックの半導体事業はかなり苦しかったようです。

日経新聞の記事によると、半導体の18年度の売り上げは922憶円、営業利益が235憶円もの赤字になっていました。

 

半導体子会社の19年3月期の売上高は922億円、営業損益は235億円の赤字。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52720680Y9A121C1000000/

 

半導体事業単独の財務資料が無いため、詳細が分かりませんが、恐らく以前からずっと赤字状態だったんだと思います。

 

パナソニックの経営方針

2019年5月の中期戦略では、過去三年間の事業について以下の反省がなされています。

 

パナソニック経営状況
https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/20190509_vision_j.pdf

 

昨今のパナソニックは、利益が確保できず低収益に停滞していることが課題でした。

そして赤字事業についての改善もなかなか進んでおりませんでした。

 

このような状況を受け、2019年11月22日に発表されたパナソニックの中期方針では以下の説明がなされました。

 

・21年度までに構造的赤字事業を撲滅

・低収益事業について21年度までに方向性を決定

・競争力維持が困難な事業についても大胆な資本政策も含めて方向性を検討

 

事業の方向性について深刻な危機感を持ち、赤字事業を無くす強い決意が伺えます。

 

不採算事業の抜本的な見直し

まず最初にパナソニックが手を付けたのが、液晶パネル事業でした。

21年を目途に生産から撤退することが発表されました。

 

 

そして、半導体事業も例外ではありませんでした。

922憶円の売り上げで、235憶円もの赤字を出している状況ではどうしようも無かったんだと思います。

 

特に半導体事業は、設備産業です。

競争力を維持するためには、常に莫大な投資をし続けなければなりません。

通常は大きく利益を出して、そこから投資資金を賄うのですが、赤字では投資が出来ません。

 

その結果、投資が出来ず、競争力が落ちるという負のスパイラルにはまってしまいました。

 

売却額270憶円について

通常1,000憶円の売り上げがある会社は、270憶円で売りには出されません。

ただ半導体事業は毎年200憶円もの赤字を出しております。

 

個人的には、その状況で良く買ってくれる会社があったな、と思います。

恐らく最初はロームに打診したのだと思います。

しかしロームが買ってくれたのは、ディスクリート事業だけでした。

 

結局270憶円で買ってくれたのが、台湾の新唐科技(ヌヴォトン)でした。

 

新唐科技(ヌヴォトン)へ譲渡された後どうなるのか?

買収する側の新唐科技(ヌヴォトン)も、もちろんパナソニックの半導体が赤字垂れ流しなのは知っていると思います。

ただ再生させる自信があったから買い取ったはずです。

 

結局再生させるためにやることは2つしかありません。

 

・不採算品の大幅値上げ、もしくは生産中止

・固定費(工場、人)の削減

 

今のビジネスモデルでは赤字からは脱却できません。

しがらみのない新唐科技(ヌヴォトン)がゼロベースで事業を見直していくと思われます。

 

資材部門がパナソニック半導体対策でやるべきこと

先ほどご説明したように、売却後は製品の統廃合や値上げが予測できます。

今後は以下の動きを取っていく必要があります。

 

調達品にパナソニック品があるかの調査

まずは、自分たちの購入品にパナソニック半導体があるのかをきちんと確認しましょう。

パナソニック半導体製品一覧
https://www.panasonic.com/jp/company/pscs/business.html

各種IC、イメージセンサ、IPDやMOSFETなど色々な分野で影響が出そうです。

 

代替候補の検討

パナソニック半導体製品がどうなるかは未定ですが、早めに切り替えの検討が必要です。

 

今後大きい動きがあった場合、代替メーカーの納期がひっ迫することも想定されます。

設計部門と連携し、代替候補のメーカと品番を選定していきましょう。

 

商流の確認

20年6月以降は、パナソニックからの購入は出来なくなります。

ヌヴォトンになった後は、旧パナソニックの営業人員は削減され、営業機能を商社に委託する可能性も将来的には考えられます。

 

直近では商流の変更は無いかもしれませんが、念のため商社経由のルートも確認しておきましょう。

ヌヴォトンと代理店契約を結んでいるのは以下の商社です。

 

・加賀デバイス

・オーエスエレクトロニクス

・佐鳥電機

・高千穂交易

 

どの商社経由で購入するか、自社の口座開設状況、取引状況を踏まえて判断しましょう。

 

また現在は上記リストに記載の無い別の商社から購入している場合は、現行の商社でヌヴォトンとの取引が継続できるのか確認しましょう。

 

まとめ

本記事のまとめです。

 

・パナソニックは抜本的な構造改革を進めている

・半導体事業は、20年6月に台湾の新唐科技(ヌヴォトン)へ270憶円で売却

・売却後の半導体事業は、製品の統廃合、値上げが予想される

・代替品の検討や今後の商流を検討する必要がある

 

今後パナソニック半導体は製品の統廃合や値上げが予想されます。

BCPの観点から、代替メーカーの検討は進めた方が良さそうです。

 

今後、パナソニックからも今後の流れなど説明があると思います。

きちんと情報を仕入れて、適切な対応を取っていきましょう。

当記事でも、アップデートがあれば、随時更新していきます。

 

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。

 

■買収する側のNUVOTONについて

  

■サンケン電気の構造改革について

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