こんにちは、コロスケです。
きょうはトヨタ自動車が導入している「カンバン方式」について解説します。
カンバン方式とは、必要な時に必要な量を納入させる方法です。
JIT(Just In Time)とも呼ばれており、発注者は、在庫を極限まで減らすことが出来ます。
Just-in-time方式ともいう。最終製品の需要量にムダなく対応するためトヨタ自動車が,下請け部品メーカーから部品を納入させる際,在庫を持たずにそのつど小口納入をさせたことからこの方法が多方面で利用されるようになった。
コトバンク かんばん方式
明日、100個納入してください
取引先の生産リードタイムを無視して納入指示できるなんて、生産管理&資材はありがたいですよね。
でも、カンバン納入は取引先にとっては、最悪の仕組みです。
世間では「カンバン方式は下請いじめ」と言われております。
今回は、「カンバン方式は下請いじめ?」という説を詳しく解説していきます。
・カンバン方式について知りたい
・カンバン方式は下請法違反じゃないの?
上記疑問に回答します。
カンバン方式は下請けいじめ?【JIT納入指示を資材部員が解説】
カンバン方式(JIT納入指示)は、下請いじめなのでしょうか?
・やっていることは完全に下請いじめ!
・カンバン(JIT納入指示)は下請法上ぎりぎりセーフ
カンバン納入は、完全に下請いじめです。
トヨタの棚残圧縮は、取引先の犠牲に成り立っています。
でも一応、下請法上はセーフなので、今後もカンバン納入は続くと思われます。
カンバン方式は発注者が王様で無いと成り立たない
貴社の製造リードタイムは無視して、弊社の都合の良い納期直前で注文書を出しますね
カンバン(JIT)納入は、取引先の製造リードタイムを無視して、自社の製造日程にひきつけて発注するため、取引先は在庫を持って対応するしか方法がありません。
普通なら、取引先はこういう不平等条約は、結んでくれません。
弊社の圧倒的な注文が欲しいですか?じゃあ不平等条約(カンバン)を受け入れて下さい
このように、トヨタのような圧倒的な注文量(金額)があるからこそ、取引先に不平等な契約を迫れるのです。
鎖国の日本をアメリカが無理やり開国させて、不平等条約を結んだのに似ていますね。
カンバンは取引先の苦労の上に成り立つ仕組み
カンバンを導入した会社は、棚残が減らせて経営が良くなります。
しかしその分、取引先が在庫を持つ必要があります。
取引先は在庫を持たない限り、カンバン指示に合わせて納入は出来ません。
カンバンを導入した取引先は、必ず在庫量が増えます。
カンバンを導入した会社の棚残を、取引先が引き受けている格好です。
取引先は大変ですよね・・・。
カンバン方式(JIT納入)は下請法違反?
生産リードタイムを無視して発注したら下請法上アウトなのでは?
って、資材部員なら思いますよね。
でも実は、カンバンはギリギリ下請法違反ではありません。
親事業者が,いわゆるジャスト・イン・タイム生産方式を採用するに当たり留意すべき点は何か。
いわゆるジャスト・イン・タイム生産方式においては,以下の事項を全て遵守することが必要となる。(以下略)
【出典】下請取引適正化推進講習会テキスト
下請法上は、「あんまり取引先に無茶させず、何かあったら取引先の合意を得る」ことを条件にOKとなっています。
カンバン方式は、「受領拒否」に該当するので、普通に考えたらアウトなんですが、何故かこれだけは解釈が甘いです。
公正取引委員会も、日本を代表する会社には妥協したのかもしれません。
まとめ:カンバンはトヨタだから出来る手法
・カンバンは、発注者が王様で無いと成り立たない
・カンバンは、取引先の苦労の上に成り立つ仕組み
・カンバン(JIT納入指示)は下請法上ぎりぎりセーフ
カンバン方式って聞くと、格好良く見えますが、実態は下請いじめです。
多額の注文をエサに取引先に在庫を持たせるやり方です。
カンバン導入を検討している場合は、取引先とちゃんと話をして合意を得るようにしましょう。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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コメント
それでも預託よりはマシだなと思ってます。
預託の煩雑さは半端ないです。
同じ在庫を持つならカンバンの方がわかりやすいです。
コメントありがとうございます!
預託は確かにえぐいですよね。営業の方は在庫確認しに行かなきゃいけないので、大変だと思います。
どちらにしろJIT対応するなら、カンバンの方がシンプルかもしれませんね!
トヨタは内示と言って翌月の生産量をあらかじめ出しています。内示に対して多すぎず少なすぎないようにカンバンで発注します。多かったり少なかったりすることを振れと言っていますが、振れを一定の範囲に収めるようにしています。この振れに仕入れ先は対応する必要があります。逆に言うと振れの範囲で在庫を持てばよいということになります。
この在庫を需要変動在庫といいます。
トヨタには車両工場以外に部品工場もあります。車両工場から同じ社内の部品工場にもカンバンで発注しています。部品発注の仕組みは社内であろうと社外であろうとかわりありません。社内の部品工場も仕入れ先と同じく需要変動用の在庫を持ち対応しております。だから、カンバン方式で発注することをもって下請けいじめというのは、当たりません。
在庫を持つことに対しては様々な問題があり、簡単な話ではありません。大変な話です。そこらへんの議論を深めていただければと思います。