【買わせて頂く?】資材調達・購買部員の立場が変わってきている

買わせて頂く?資材部員の調達環境の悪化 資材業務について
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こんにちは、コロスケです。

今日は資材調達・購買部員の調達環境の変化について解説していきます。

 

僕は10年以上資材部員として仕事を続けております。

その中で、ここ1,2年は、資材部員の立場が大きく変わってきていると感じるようになりました。

 

一言で言うと、資材部員の立場が相対的に弱くなってきています

 

今回は、資材部員の立場・調達環境が大きく変わっている件について解説していきます。

 

・最近の資材調達環境が知りたい

・最近、値下げよりも値上げばっかりなのは何故?

・どんな資材部員が評価されるの?

 

これら疑問を解決していきます。

 

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【調達環境の変化】資材調達・購買部員の立場が変わってきている件

調達環境の悪化

 

資材部員の立場は以下のように変化してきています。

 

【以前】買い手(資材部員)は選ぶ立場にあった

【近年】買い手は、取引先から選ばれる立場になっている

 

調達する部材にもよりますが、資材部員は選ぶ側から選ばれる側へと立場が大きく変わってきています。

実際に色々な業界で、サプライヤー側が販売先を選び始めています。

 

今後この流れは更に加速していく見込みです。

資材部員は偉いと勘違いをしていると、サプライヤー側から「もう結構です」と言われてしまうかもしれません。

 

そうならないように、市場の流れを把握して、選ばれる側に回りましょう。

 

昔は資材部員は、取引先を選ぶ立場にあった

一昔前までは、資材部員は「選ぶ立場」にありました。

取引先も今より数が多く、複数の選択肢がありました。

 

一昔前の資材部員はどんなことをしていたのでしょうか?

 

複数の会社を競わせて安価な価格を引き出す(競合)

選ぶ立場にある資材部員が行う手法が「競合」でした。

複数の会社を競わせて、安い価格を提示した取引先を選ぶ手法です。

 

競合による原価低減は、価格を下げる一番の手法です。

以前はこのような手法を取り入れることで、値段を可能な限り安くする方法を取ることが出来ました。

 

 

取引先の利益を搾り取る資材部員が優秀な人だった

取引先を選ぶことが出来る調達環境では、資材部員は強気の立場を取ることが出来ました。

 

今期より価格を5%下げてください。値段を下げないと他へ転注しますよ?

 

次の案件が欲しかったら、既存の品目の値下げをして下さい。

 

このように、1円でも値下げを引き出すことが出来る資材部員が優秀とされました。

 

また日々のやり取りで理不尽な要求をする資材部員も「自社の利益を最大化している」として評価されやすい環境にありました。

(理不尽なことがあっても取引先がついてくるため)

 

取引先も利益より売上を優先し、ついてきた

そのような理不尽な要求があっても、取引先(サプライヤー)は転注される可能性があったので、資材部員の要求についてきました。

また当時は右肩上がりの経済成長だったため、売上>利益と考える会社も多かったようです。

 

そういう意味では、条件付きながら、Win-Winの関係にあったともいえるのかもしれません。

 

【資材部員】利益を最大化出来るメリットがある

【取引先】利益は少ないが、売上が右肩上がりに増えていく

 

昨今、様々な市場でサプライヤーの地位が向上

しかし、昨今は様々な要因でサプライヤー(取引先)の地位が向上してきています。

実例を挙げて、ご説明致します。

 

村田製作所のMLCCの需要急増

僕が入社した当時は、コンデンサは調達がしやすい部材と呼ばれておりました。

そのため、若手の資材部員が最初に担当するのが、コンデンサでした。

 

しかし、昨今は車の電装化でコンデンサの需要が急増しています。

需要>供給の需要過多の状況となっています。

 

その結果、村田のMLCC(積層セラミックコンデンサ)の調達環境が悪化。

各社、村田から何とかモノを入手しようと四苦八苦することになりました。

 

 

市場の寡占化(合併・撤退)

昨今、日本の市場は、ライバル企業同士の合併、寡占化、不採算事業からの撤退が進んでおります。

 

【鉄鋼】 日本製鉄とJFEスチールの2社体制へ

【樹脂】ABS事業のテクノポリマーとUMG ABSが合併

【銅管】NJT銅管とKMCT+古河の2社寡占へ

【半導体】パナソニックが半導体事業をロームやNUVOTONへ譲渡

【基材】日立化成が基材事業から撤退

 

このように合併・撤退によって、市場の寡占が進んできております。

その結果、調達先の選択肢が少なくなり、資材部員が簡単に転注出来なくなりました。

こうして、徐々にサプライヤーの地位が向上してきております。

 

日本市場の相対的な地位の低下

また日本の製造業は、海外移転が進み、市場自体が縮小してきております。

その結果、買い手である資材部員のバーゲニングパワーが下がってきております。

 

売上が増えるからこそ、取引先は資材部員の無茶ぶりについてきていたのです。

売上も伸び悩むと、資材部員の理不尽な要求に従う理由が無くなります。

  

取引先の方は、売上が今後も伸びるから、資材部員の無茶ぶりにも従っていたんだね。

 

今後は取引先との長期的な関係を構築する資材部員が活躍する時代

活躍

 

このようにサプライヤーの地位が向上してきた環境では、資材部員に求められる役割も変わってきます。

 

【昔】取引先から利益を搾り取る資材部員が優秀だった

【今】取引先とWin-Winの関係を築ける資材部員が評価される時代へ

 

高圧的な資材部員は、排除される時代になってきました。

資材部員=偉いと勘違いしていると、どのような目に合うのでしょうか?

 

競合・シェアシフトする客先は要らない

僕が取引先の方と話していて驚いたことがあります。

それは、「安易にシェアシフトしたり、転注するようなお客様とはお付き合い出来ない」というコメントです。

 

需要過多の市場では、サプライヤーは売り先を選ぶことが出来ます。

資材部員の都合で、転注したりするような会社とは長い付き合いが出来ないということでしょう。

 

でもシェアシフトや転注は資材部員が値段を下げるための常套手段でした。

こういう方法が通じなくなってきているのです。

 

取引先との力関係を見誤ると、取引先から「あなたの会社へは販売しません」と言われるかもしれません。

 

取引先が売り手を選ぶ時代へ

もう寡占化が進んでいる業界では、取引先が販売先を決めております。

 

利幅が高いところから優先して出荷します

 

など、一昔前なら絶対に聞かないようなコメントを聞くようになりました。

供給を確保してもらうためなら、一定の値上げを受け入れざるを得ない状況も増えてきております。

 

このような調達環境において、資材部員はどのような対応を取れば良いのでしょうか?

 

取引先の事を考えられる資材部員が評価されるように

取引先から選ばれるために、資材部員がすべきことは以下の通りです。

 

・安定供給を維持する

・取引先とのWINWINを意識する

・相手の問い合わせに真摯に対応する 

 

当たり前と言えば、当たり前なのですが、取引先とは対等な関係です。

取引先とのWINWINの関係を築ける資材部員が評価されるようになります。

 

安定供給を維持する

昔は、「うちの需要変動についてこい!」というのが当たり前でした。

しかし昨今は、買い手側が一定量の在庫を保有するなど、取引先(サプライヤー)の安定生産に協力するようになってきています。

 

自社の棚残削減だけを考えるのではなく、取引先(サプライヤー)のことを考えることも必要になってきています。

 

最近は、一定量の在庫を持つことが徐々に重要になってきているよね

 

相手の問い合わせに真摯に対応する

当たり前なのですが、きちんとできている資材部員はどれくらいいるでしょうか?

取引先の質問・問い合わせに対応しないと、いざという時に取引先は助けてくれません。

 

自分がお願いするなら、相手からのお願いにも真摯に対応するようにしましょう。

 

当たり前だけど、忙しいとつい疎かにしがちだから注意が必要だよね

 

まとめ

本記事のまとめです。

 

・昨今、様々な業界で取引先(サプライヤー)の地位が向上

・従来の強硬な対応をする資材部員は評価されなくなってきている

・取引先との長期的な関係を構築する資材部員が活躍する時代

 

資材部員の調達環境は大きく変わってきています。

現在の調達環境を正しく認識することが必要です。

 

取引先との良好な関係を築くことで、安定調達を実現する資材部員が評価される時代です。

取引先とWINWINの関係を目指しましょう。

 

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。

 

■資材部員はカスハラに要注意です

 

コメント

  1. ABAsan より:

    いつもブログを拝見させていただいております。
    私はASSY調達をしているのですが、コロスケさんの考えは非常に参考になります。

    内外における調達の立場が弱くなっていると思っています。
    設計の要求と取引先の溝が深くなってきているのもあるのかもしれませんね。
    取引先と長期的な関係を築く考えは共感できました。

    私も頭の整理も含めてブログを今年から書き始めました。
    まだまだコロスケさんに及びませんが、勝手ながら同じバイヤーとして切磋琢磨していけたらと思います。

    • コロスケ Corosuke より:

      当サイト訪問頂きありがとうございます!ABAsanさんブログも拝見させて頂きました。
      資材の考え方をおつかいと捉えている部分が僕の考えと似ていて、とても参考になりました。
      またこれからもよろしくお願いします!

  2. ししょー より:

    初めてブログを拝見したししょーと申します。
    大変わかりやすい記事で参考になりました。

    未経験の調達に転職して1年半・電子部品を約2500点担当していますが、取引先折衝と社内の考えのズレに悩み、新しい知見を得ようとこのブログにたどり着きました。

    私は取引先とプラスの関係を築きつつ整備を進めるのを理想に取り組んで成果をあげたのですが、会社は買う側が上の考えで必ず言うことを聞かせろ(顧客都合で某セラコンを2週間で入手)などの非常に難しい要求を課せられることが割とよくあります。

    依頼はしますが、経験不足とあまりの要求にメーカーレベルで匙を投げられ始め、取引先の調整拒否も増える⇒怒鳴られるなど難儀しています⋯

    上司先輩の意見を取り入れるだけでは今後の自分に非常に危ういと感じていますので、他の記事も見て勉強したいと思います♪

    • コロスケ Corosuke より:

      ししょー様

      当サイトを訪問頂きありがとうございます!
      昔、資材部門で担当をしていた人(今の管理職)は、取引先への無茶ぶりが通っていたので、今もその考えが通用すると思っている人が多いようです。
      でも事実として調達環境は変わってきているので、上から目線の調達を前提にされるとつらいですよね・・・

      僕も色々な考えを取り入れたいので、また色々ご意見伺えると嬉しいです。これからもよろしくお願い致します!、