こんにちは、コロスケです。
今日はパナソニックの基板材料についてまとめていきます。
2019年10月に台風19号の影響で阿武隈川が氾濫しました。
その結果、郡山中央工業団地が冠水、パナソニックの工場に浸水の被害が発生しており、現在工場の稼働は停止しております。
以下メーカーHPの記載にあるように復旧まで2か月程度かかると言われており、被害の深刻さがうかがえます。
パナソニックの郡山工場では基板材料の製造を行っており、FR-4などの多層基板が供給停止となっております。
この状況を受け、基板を使用している製造業の資材部門や設計部門は、現在その対応に追われております。
・R-1566とR-1566Wの違いは何?
・R-1566Wは、R-1566の代替材になるの?
上記、R-1566基材を使っている人の疑問を解決していきます。
R-1566とR-1566Wの違いを解説【パナソニック郡山供給停止対応】
R-1566とR-1566Wは何が違うのか?についての結論です。
・R1566は国内(郡山生産)品。R-1566Wは海外(中国、台湾)生産品
・R-1566とR-1566Wの基本特性は同じ
・但し基材サイズなど多少の違いがあるので、基板メーカーへ詳細の確認が必要
・但しR-1566Wの供給もひっ迫しており、入手できるかは未定
・並行して他社材への切り替え活動も進めるべき
上記の通り、パナソニックは海外でもR-1566を製造しています。
パナソニックは海外生産材をR-1566Wと型名を分けております。
特性は同じなので、生産停止となったR-1566の有力な代替候補になると思います。
一方で、R-1566Wの供給もひっ迫しているため、並行して他社材への切り替えも進めていくべきです。
上記結論に至った経緯をもう少し解説していきます。
R-1566とR-1566Wの違い
R-1566はハロゲンフリーの多層基板材料です。
耐トラッキング性に優れている基材で、車載やモバイル機器向けなど広い分野で採用されております。
R-1566とR-1566Wは特性が同じの同一材料ですが、製造している工場が異なります。
・R1566は国内(郡山生産)品
・R-1566Wは海外(中国、台湾)生産品
データベース上では、特性は同じと言われておりますが、基材のサイズが郡山品とは違っているようです。
なので切り替えに当たっては、基板メーカーと調整のうえでR-1566の代替としてR-1566Wが使用可能かをチェックした方が無難です。
ちなみに同じような型名の「R-1566WN」は熱分解温度など特性上の違いがありますので、注意しましょう。
R-1566W(海外品)の入手性
先ほどご説明したようにR-1566Wは、中国、台湾の海外工場で生産しております。
今回被災したのは、郡山工場ですので、R-1566Wは現在も生産、出荷されております。
そのため今回の郡山工場の被災では、R-1566Wが代替材の有力候補となっております。
現在パナソニックでは、海外で生産しているR-1566WをOUT-IN(海外材を日本へ輸入)することを検討しております。
ただ、パナソニックの海外工場も生産負荷が高いので、どこまで日本向けに供給できるかが不透明な状況となっております。
資材部門、設計部門が取るべき対応
郡山工場品の供給停止に伴い資材・設計部門が取るべき対応は以下の2つです。
海外材R-1566Wの入手に向けた交渉
基材は基板メーカーが購入していますので、パナソニックとの交渉は基板メーカー経由での行うことになります。
R-1566の代替としてR-1566Wを確保できるように資材部門は交渉を行う必要があります。
ただ先程ご説明した通り、海外工場も供給がひっ迫している状況ですので、日本全部の需要を賄えるとは思えません。
更に、大口ユーザーである自動車メーカーが海外材R-1566Wの確保に動いているとの情報もあります。
R-1566Wの確保は非常に困難になることが予想されますが、出来る限りの枠取り交渉をしていく必要があります。
他社基材への切り替え
R-1566Wを入手できない可能性も高いので、他社基材への切り替えも並行して検討していく必要があります。
R-1566の代替候補は以下のメーカーが考えられます。
基板メーカーで使用している基材メーカーが異なる可能性もありますので、基板メーカーへ代替候補を確認してみましょう。
また、他社材は耐トラッキングがR-1566と比べて低いため、代替検討する際には注意が必要です。
更には、みんながパナソニックからの切り替えで、他社材へ転注する動きがかかるので、他社材の供給がひっ迫する可能性もあります。
まとめ
R-1566とR-1566Wの違いについてのまとめです。
・R-1566は国内(郡山生産)品。R-1566Wは海外(中国、台湾)生産品
・R-1566とR-1566Wの基本特性は同じ
・但し基材サイズなど多少の違いがあるので、基板メーカーへ詳細の確認が必要
・但しR-1566Wの供給もひっ迫しており、入手できるかは未定
・並行して他社材への切り替え活動も進めるべき
パナソニックの多層基板は日本国内向けでは郡山工場で全て供給していました。
今後パナソニックは、海外材R-1566WのOUT-INを検討していきますが、日本国内の需要全てをまかなうのは難しそうです。
そのため、今後は海外材の枠取りと並行して他社材への切り替えも重要です。
パナソニックはシェアが高かったこともあり、基板を使用している業界は現在大問題になっております。
そして基板を調達している資材部門は、非常に難しいかじ取りを迫られています。
ただ、こういう時こそ、資材・購買部門の存在感を発揮できるチャンスです。
基材確保・切り替え活動を主導していくことで、社内における資材のプレゼンスを高めて行きましょう。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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■郡山工場の被災状況・対策状況について
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