原料価格の高騰にどう対応するか?【値上げ受入時の対応を解説】

原料価格の高騰にどう対応するか?【値上げ受入時の対応を解説】 資材業務について
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こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。

先日ご質問を頂きました。

      

いつも、ブログやツイートを楽しんで読ませていただいております。私は中小企業で製造業の加工品調達のお仕事をしています。 メール一括送信マクロはほんとにお役に立っております。

コロスケさんに質問なんですが、材料(鉄、アルミ、SUS)などの情報を何か表で管理しておりますか? 弊社では材料が上がっているという認識しかなく、何か指標みたいな物を作成したいと思っていますが、アドバイスなどいただけたら嬉しいです。

お問い合わせ内容

      

m様、ありがとうございます!とても嬉しいです!

メール送信マクロもご活用ありがとうございます!

     

ご質問頂いた材料の情報ですが、仕事では「主要な材料」については、毎月実績と計画を表で管理しております。

(例えば、今月の価格は○○円で、来月以降は予想○○円みたいな感じです)

      

またTwitterでは、以下のようにグラフ化していますが、これは趣味の領域です。

     

      

恐らくご質問の主旨は「材料起因の値上げをどうやって管理するか」だと思います。

そこで今回は、原材料高騰による値上げの適切な対応方法を解説していきます。

       

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原料価格の高騰にどう対応するか?【値上げ受入時の対応を解説】

      

材料価格が高騰。

その影響で、調達部材の値上げ申請が来た時の対応方法をまとめました。

       

・原料高騰による値上げの場合、何の原料が高騰しているか確認する

原料の価格を明確化する(From-To)

・値上げ幅が妥当か確認する

・下落時の値戻しルールを合意

・原料価格を定期的に確認し、下がったらルール通り値戻しする

      

値上げを受ける場合の対処法です。

僕は基本的には「原料高騰による値上げは理由が妥当なら受ける派」です。

     

もちろん競合等がいて抑制可能なら、抑制するケースもあります。

ただ今般の高騰は、取引先に自助努力の域を超えております。

    

そのため「市況要因で値上げするなら、下がった時はちゃんと値戻してね。お互いフェアにやろう」と言っています。

詳しく解説します。

      

原料値上げの場合、何の原料が高騰しているか確認する

値上げ申請が来る時は、たいてい複数の要因が含まれています。

     

・樹脂値上げ

・銅値上げ

・鉄鋼値上げ

・電気代値上げ

・人件費上昇

・採算改善

      

まず値上げ要請がきたら、値上げの内訳を確認しましょう。

通常、取引先は内訳を開示するのを拒みます。

なぜなら、開示すると自社が丸裸になってしまうからです。

     

ですが内訳を開示させないと、値上げ幅の妥当性の査定ができません。

頑張って、あの手この手で内訳を開示させるようにしましょう。

     

■注意

一方で内訳を開示させるということは、内容に妥当性がある場合は、基本的にその値上げを認めるという事と同義である点に注意が必要です。

       

原料の価格を明確化する(From-To)

原料起因の値上げ幅がわかったら、次に「原料自体の価格」を明確化します。

例えば、アルミの価格が上がったことで製品価格を値上げする場合は・・・

      

例)アルミNSPが250円/kg→350円/kgへ上昇

      

この原料の値上げ幅を把握していないと、値戻し交渉の時に揉めます。

     

アルミの値段が下がったので、値戻しして下さい

      

でも値上げ時のアルミ価格は300円/kgなので、まだ値戻しできません。

      

えっ・・・そうなんですか・・・

        

原料起因の値上げの場合は、値上げの「From-To」を明確化する必要があります。

そうしないと、値上げ幅の妥当性も査定できないですし、値戻し交渉も相手の土俵で不利な交渉を迫られます。

       

値上げ幅が妥当か確認する

原料の上げ幅が分かったら、製品の値上げ幅が妥当か確認します。

例えば、先程のアルミの場合・・・

       

原料:アルミNSPが250円/kg→350円/kgへ上昇

製品:製品1個あたりに1kgアルミを使用しているので、100円/個値上がり

注)NSP:New Standard Price(アルミ市況価格の事)

      

こんな感じで、原料の上げ幅から製品の上げ幅を計算します。

この計算が妥当なら、「値上げは妥当」という事になります。

      

逆に計算が合わない場合は、取引先に納得のいく説明を求めましょう。

       

下落時の値戻しルールを合意

値上げが妥当であり、値上げを認める場合は、次に値戻しのルールを決めます。

ここを「なあなあ」にしておくと、後々もめます。

     

アルミが下がったので、値戻しして下さい。

      

また上がるかもしれないので、安定的に下がってからまた相談させて下さい

      

えっ・・・

     

基本的に取引先は、値下げを嫌います。

値戻しする時のルールを決めておかないと、ごねられるケースが多いです。

      

そのため値戻しのルールは、値上げを受ける時に必ず決める必要があります

値上げを受ける時の方が、スムーズに決めやすいからです。

      

値上げ時のアルミが350円/kgなので、今後NSPが300円になったら値戻しして下さい。

それが値上げを受ける条件です。

        

そして値上げの見積書をもらう時に、値戻しのルールを記載してもらうようにしましょう。

そうすれば、対面の営業担当者が変わってももめずに済みます。

     

原料価格を定期的に確認し、下がったらルール通り値戻しする

ルールを決めて値上げしたら、ひたすら市況価格が下がるのを待ちましょう。

そして市況が下がったタイミングで、値戻しの要請を行いましょう。

      

注意点は、値戻しの要請は「必ずこちらから指摘する」という点にあります。

取引先は市況価格が下がっても、何も言ってきません。

そのためバイヤーが忘れると、値戻しされません。

     

忘れないように、定期的に市況価格を確認しておきましょう。

そして引き継ぎの時もちゃんと申し送りしておきましょう。

      

自分で定期的に確認するのは面倒だよ・・・

      

そういう方は、連動価格制にするのもありです。

連動価格制とは、一定の計算式に基づき定期的に価格を見直すルールです。

     

有名なのは「為替連動制」です。

事前に、基準の為替レートと変動ルールを決めておきます。

そして定期的に変動ルールに従い、機械的に単価を改定します。

    

このようなルールを決めておけば、取引先が(忘れなければ)見積書を提出してくれます。

市況の下落タイミングをバイヤーが指摘する必要が無いというメリットがあります。

    

一方で、連動性のデメリットは「事務処理が増える」点にあります。

半期ごとなら、半期ごとに全ての品番の単価を変える必要があります。

事務処理の手間と、都度取引先と交渉する手間を考えて、どちらにするか選択しましょう。

     

       

まとめ:原料価格の高騰にどう対応するか?

原料価格の高騰の対応まとめです。

      

・原料高騰による値上げの場合、何の原料が高騰しているか確認する

原料の価格を明確化する(From-To)

・値上げ幅が妥当か確認する

・下落時の値戻しルールを合意

・原料価格を定期的に確認し、下がったらルール通り値戻しする

      

「原料価格の値上げを受ける時の流れ」をご説明しました。

実際は、上記に個別の価格交渉を織り交ぜたりするのですが、複雑になるのでここでは割愛しています。

     

この記事が原料高騰対策に役だてば幸いです。

またバイヤー向けの記事をたくさん書いているので、時間がある時に是非読んでみて下さい!

      

      

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