3Mの株価が下落している理由を徹底解説!コロナショック並の暴落

3Mの株価が下落している理由を徹底解説!コロナショック並の暴落 株/ETF/投資信託
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こんにちは、コロスケ(Twitter)です。

この記事では、3Mの株価が下落している理由を解説しています。

     

最近、3Mの株価が大きく下がっています。

       

【出典】Google市場概説_3M株価推移
【出典】Google市場概説_3M株価推移

   

2020年3月のコロナショック並の下落となっております。

ですが3Mといえば、世界で事業を展開する優良企業です。

その3Mにいったい何が起きたのでしょうか?

      

そこで本記事では、アメリカの製造業大手3Mの株価が下落している理由を解説しました。

3Mへの投資を考えている方へ役立つ情報を提供します。

        

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3Mの株価が下落している理由を徹底解説!コロナショック並の暴落

       

3Mの株価が下落している要因をまとめました。

      

・子会社のエアロ・テクノロジーズの訴訟で12.4億ドルの損失

中国のロックダウン・使い捨て呼吸器の需要減で売上ダウン

・ドル高の影響で為替差損発生

・22年度通期のEPSガイダンスも達成困難?

       

3Mは訴訟・ロックダウン・ドル高の3重苦となっています。

その結果、株価は大きく下がっております。

    

詳しく解説します。

      

3Mの会社概要をざっくり解説

3Mの概要をまとめました。

      

・アメリカの大手製造メーカー

・様々な産業用製品を製造販売

・身近なところではポスト・イットを製造

・2021年度の売上約4.6兆円(353億ドル)

・2021年度の営業利益9,490億円(73億ドル)※営業利益率21%

※為替は1ドル=130円で計算

          

3Mは、様々な産業用製品を作っております。

     

【出典】3M_製品
【出典】3M_製品

      

事務表品から建築資材や医療用製品など、商品ラインナップの幅がものすごい広いのが特徴です。

また3Mは、一般消費者向けにも製品を販売しております。

有名なのは「ポスト・イット」です。

       

【出典】3M_ポスト・イット(通常粘着ふせん粘着メモ)
【出典】3M_ポスト・イット(通常粘着ふせん粘着メモ)

      

このように、身近なポストイットから、産業用製品を幅広く揃えている唯一無二のメーカーです。

売上は、約4.6兆円(353億ドル)となっております。

営業利益率も20%台と、非常に高いのも特徴です。

      

【グラフ】3M売上・営業利益率推移
【グラフ】3M売上・営業利益率推移(著者作成)

     

また3Mは、連続増配を続けている企業としても有名です。

2022年度も増配の予想となっております。

      

【グラフ】3M_EPS,1株配当,配当性向推移
【グラフ】3M_EPS,1株配当,配当性向推移

       

次に有利子負債推移です。

有利子負債は、徐々に増加していることが分かります。

2019年に跳ね上がっているのは、3Mが2019年に医療関連製品メーカーのアセリティーを43億ドルで買収した事が要因です。

      

【グラフ】3M_有利子負債推移
【グラフ】3M_有利子負債推移(著者作成)

      

最後にフリーキャッシュフローです。

こちらも常にプラスを維持しており、非常に優秀です。

キャッシュを稼ぐ力がある企業であることが良くわかります。

(2019年のFCFが低いのは、先程の買収が要因)

     

【グラフ】3M_フリーキャッシュフロー推移(著者作成)
【グラフ】3M_フリーキャッシュフロー推移(著者作成)

       

子会社のエアロ・テクノロジーズの訴訟で12.4億ドルの損失

3Mは現在、深刻な訴訟問題を抱えています。

子会社であるエアロ・テクノロジーズが製造・販売した「戦闘用の耳栓」について、耳栓を使用した軍人から耳栓に欠陥があり難聴になったと訴えられています。

     

この訴訟は23万件以上の訴訟に発展しており、深刻な経営問題となっています。

この影響で、子会社のエアロ・テクノロジーズはChapter11(連邦破産法第 11 章)の適用を開始。

事実上、倒産する事となりました。

      

現在親会社である3Mは、この対応のため「10億ドル:約1,300億円」の基金を設立しました。

      

3Mは、補償を受ける資格があると判断されたすべての請求について信託に10億ドルを拠出することを約束した。

【出典】3M_2022年2Q決算説明資料_訴訟への対応

      

加えて訴訟関連費用として、追加で「2.4億ドル:312億円」の費用を拠出しました。

       

3Mは、予測される訴訟関連費用に充てるため、さらに2億4,000万ドルを拠出することを確約した。

【出典】3M_2022年2Q決算説明資料_訴訟への対応

          

今後訴訟の状況次第では、追加での資金の拠出が必要となる可能性もあります。

こうした大規模訴訟によって、3Mの株価は大きく下がっているのです。

       

中国のロックダウン・使い捨て呼吸器の需要減で売上ダウン

3Mはアメリカだけでなく、世界各地に事業を展開するグローバル企業です。

そのため、海外での影響が3Mの経営にも深刻な影響を与えます。

     

2022年4月に、中国上海で大規模なロックダウンが起きました。

このロックダウンは、何と2ヶ月も続きました。

この間、上海及び付近のほぼ全ての企業活動が完全に停止しました。

    

その影響で、製造業を中心に深刻な影響が出ました。

3Mもこの影響によって、2022年4月~6月の売上が大きくダウンしました。

    

また3Mは、産業用だけでなく医療用事業も行っています。

2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、3Mは使い捨て呼吸器の需要が急増しました。

    

しかし2022年になって、世界的に日常生活を取り戻しつつあります。

その影響で、3Mの使い捨て呼吸器の需要も大きく減少しております。

      

中国におけるCOVID関連のロックダウンの影響と使い捨て呼吸器の需要減の合計による逆風があった

【出典】3M_2022年2Q決算説明資料_3Mの施策

         

こうした逆風によって、3Mの株価が下落しております。

      

ドル高の影響で為替差損発生

3Mは海外の売上比率が高いです。

海外での売上は、全て外貨となるため為替が発生します。

    

2022年現在は、非常にドルが強く「ドル高」の状態が続いています。

例えばドルと円の為替では、1ドル140円台という記録的な円安ドル高となっています。

     

【出典】外為どっとコム_ドル円チャート(5年)
【出典】外為どっとコム_ドル円チャート(5年)

       

こうしたドル高によって、3Mは多額の為替差損が発生しております。

2022年2Q決算において、前年同期比で4%ものマイナス影響が生じております。

      

米ドル高の影響により、売上高の為替換算で前年同期比4%程度のマイナス要因

【出典】3M_2022年2Q決算説明資料

        

グローバルに事業展開している3Mだからこそ、ドル高で非常に苦戦しているのです。

      

2022年度通期のEPSガイダンスも達成困難?

このような逆風によって、3Mの2022年2Q決算は、前年比で大きく悪化しております。

      

【出典】3M_2022年2Q_FORM 10-Q
【出典】3M_2022年2Q_FORM 10-Q

        

売上(Net Sales)こそ微減ですが、営業利益(Operating Income)は大きく目減りしております。

特に2Q単独(4月~6月)で見ると、営業利益が$1,971M→$110Mと落ち込んでいます。

     

2022年2Qの実績EPSは「$2.41」ですが、現状の通期EPS予想は「$10.3」となっています。

     

【出典】3M_2022年2Q決算説明資料_通期EPS予想
【出典】3M_2022年2Q決算説明資料_通期EPS予想

       

現状半年が経って、進捗率が23%と非常に出遅れています。

残り半年で77%分の利益を稼ぎ出せるのでしょうか?

     

個人的には、マクロ環境も悪化してきており、通期EPS目標の達成も危ういのでは?と感じています。

もしEPSを下方修正することがあれば、更に株価が下がる可能性もありそうです。

      

まとめ:3Mの株価が下落している理由

3Mの株価が下がっている理由まとめです。

     

・子会社のエアロ・テクノロジーズの訴訟で12.4億ドルの損失

中国のロックダウン・使い捨て呼吸器の需要減で売上ダウン

・ドル高の影響で為替差損発生

・22年度通期のEPSガイダンスも達成困難?

       

直近の3Mは、訴訟という大問題を抱えております。

今後の訴訟の進展次第では、更に損失が膨らむ可能性もありそうです。

     

また本文では書きませんでしたが、3Mは企業価値向上のために「ヘルスケア部門」を分社化することを発表しています。

今後分社化の影響で、株価が大きく変動する可能性もありますので注意が必要です。

      

この記事が3Mの企業分析の参考になれば幸いです。

なお、本記事は著者の意見をまとめたものであり投資を推奨するものではありませんので、ご注意下さい。

      

またTwitterもやっていますので、そちらも是非フォローお願い致します。

       

          

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