この記事では、トヨタの株価が今後どうなるのか、株価はなぜ上がるのかを解説しています。
トヨタの株価は今後どうなるの?
こんな疑問に答えます。
近年、トヨタの株価は堅調です。
でも実は、トヨタには大きな経営リスクがあるって、知っていましたか?
これからトヨタへ投資する人は、必ずトヨタの課題を把握するべきです。
そこで本記事では、トヨタの株価はなぜ上がっているのか、将来の見通しについて、解説していきます。
トヨタ自動車に関係する方に、役立つ情報を提供します。
トヨタ自動車の株価は今後どうなるのか解説|株価はなぜ上がるの?
最近のトヨタの状況をまとめました。
・車業界の中で、トヨタは最も好調=株価も好調!
・株式分割が個人投資家の買いを呼ぶと判断され、株価が更に上昇!
・一方で足元では半導体、電子部品不足が一番の経営リスクが深刻化
トヨタは、最近経営が好調です。
その結果、最近は株価が上昇しております。
一方で、足元の好調を脅かす問題も顕在化しております。
以降では、トヨタの近況を詳しく解説していきます。
車業界の中で最も好調で株価は好調
2020年、コロナショックが車業界を襲いました。
多くの会社が、販売台数が大きく減少しました。
しかし、トヨタはその中でもダメージが少なく、2020年夏頃から販売台数が回復しました。
その結果、トヨタの1人勝ちと呼ばれるほど、勝ち負けがはっきりしました。
こんな感じで、新車販売台数トップ10の内、7つをトヨタが占める状況となりました。
世界の販売台数も「992万台」と、堅調に推移しました。
その結果を受け、株価も大きく上昇しています。
このように、トヨタはコロナ前の株価を超える事に成功しました。
株式分割も株価には好材料!
2021年9月に、トヨタは株式を分割しました。
トヨタ自動車は9月末を基準に1株を5株に株式分割する。分割は1991年以来30年ぶり。投資単位は100株で、投資に必要な金額は100万円強から20万円強となる。
【出典】日本経済新聞_トヨタ30年ぶり株式分割、個人に焦点 上場来高値
株式分割は、「1株をいくつかに分解し株数を増やす事」です。
株数が増えた分、株価が安くなるので、個人投資家が買いやすくなるという利点があります。
トヨタのケースでは、1株を5株に分割しました。
市場は株式分割を好感し、株価は大きく上昇しました。
近年、貯蓄から投資へという掛け声とともに、個人投資家が増えてきています。
個人投資家が買いやすい価格であることは、株価にとってプラスに働いているのです。
足元では半導体、電子部品不足が一番の経営リスク
2021年は複数の要因が重なり、部材調達リスクが顕在化しました。
・市況の急回復にサプライヤーが追いつかない
・東南アジアでコロナ感染拡大(ロックダウンにより工場の稼働停止)
・樹脂原料など、サプライチェーンの川上でトラブルが頻発
・中国の電力制限で、中国拠点のサプライヤーの供給が途絶える
その結果、日本で一番調達力があると言われているトヨタで「部材起因の減産」が頻発しました。
グローバルでの影響台数は、8月時点の生産計画に対し、9月追加分が約7万台(海外4万台、国内3万台)、10月分が約33万台(海外18万台、国内15万台)の減産となります。
減産の主な要因は、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大の長期化に伴う、複数の現地仕入先の稼働低下や、半導体逼迫の影響です。
【出典】トヨタ自動車_2021年9月ならびに10月の生産計画見直しについて
当初、11月の生産計画は挽回生産分を織り込み、さらに高い100万台レベルの生産を目指しておりましたが、依然一部において部品不足の影響が残ることから、国内で約5万台、海外で約5万~10万台、グローバルで合計約10万~15万台の見直しを行うものです。
【出典】トヨタ自動車_11月 生産計画について(10/15時点)
2021年度当初は、年間で「1,055万台」の生産を計画していました。(20年度決算報告)
しかし、2021年現在は「900万台」まで生産が落ち込んでいます。
部材不足が、年間100万台以上の影響を出しているのです。
100万台の減産は、株価にとってマイナス影響です。
今後も部材不足が続けば、株価に更なる悪影響が懸念されます。
トヨタ自動車は10年後どうなる?【株価は今後暴落するの?】
次に、トヨタの10年後を予想します。
トヨタは、今後どうなるのでしょうか?
・電気自動車への置き換えという、100年に一度の変革にトヨタは乗り遅れそう
・もし世界No1の地位を失うことになれば、トヨタの株価は暴落します
今は絶好調のトヨタですが、将来的にはかなりヤバイ状況です。
10年後を見据えた時に、トヨタ株は買うべきか?を詳しく解説します。
近い将来、大半の新車がEV(電気自動車)になる
脱炭素社会の実現に向け、各国では「ガソリンで動く車を減らす動き」をしています。
その動きは、僕たちが想像するより早いスピードで進んでいます。
アメリカでは、2030年に新車販売の半分をEVにすることを発表しています。
ジョー・バイデン米国大統領は8月5日、2030年までに販売される新車(乗用車と小型トラック)の50%以上を、電気自動車〔EV(バッテリー式電気自動車とプラグインハイブリッド車)〕と燃料電池車(FCV)とする大統領令を発令した。
【出典】JETROバイデン米政権、2030年までに新車の半数以上をEV、FCVとする大統領令
ヨーロッパでは、2035年にエンジン車の新車販売を禁止する方針を打ち出しています。
ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売について2035年に事実上禁止する方針を打ち出した。
【出典】日本経済新聞_EU、35年にガソリン車販売禁止 50年排出ゼロへ包括案
このように世界各国で、エンジン車禁止の流れが進んでいます。
EV化が進むことで、既存の車メーカーの優位性が無くなります。
多くの企業がEVへ新規参入するなど、競争が激化しております。
トヨタの戦略は全方位!でもそれは悪手です
トヨタは、色々な分野の車を開発しています。
・ガソリン車
・ハイブリット車
・電気自動車(EV)
・水素自動車
他の車メーカーがEVに注力しているのとは、対照的です。
そして、トヨタの全方位戦略に株主からも疑問の声が上がっています。
車の電動化では、電気自動車(EV)に特化せずハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)も開発する「全方位戦略」を取っており、総会に出席した株主からは賛否の声が聞かれた。
【出典】日本経済新聞_電動車「全方位戦略」株主から賛否 トヨタ総会
はっきりと言えますが、トヨタの全方位戦略は失敗します。
欧米が「今後はEV!」と、はっきり言っています。
リソースを分散して、勝てるほど甘い世界ではありません。
またトヨタ独自の水素自動車も、世界に普及する可能性は低いです。
水素自動車を広げるためには、水素ステーションを設置しなければなりません。
ですが、水素ステーションは価格が異常に高いです。
通常のガソリンスタンドの建設費が7~8千万円と言われるところ、水素ステーションの建設費は現在5~6億円と言われている。
【出典】エネルギービジネス戦略研究会_水素ステーションの価格
その点EVは、数十万円で設置ができます。
普及という観点でみても、EVが普及する可能性が圧倒的に高いのが分かると思います。
なぜトヨタは水素自動車に固執するのか?
時代の潮流は、EVです。
でも何故トヨタは、ハイブリットや水素自動車に固執するのでしょうか?
その答えは、「日本の自動車産業の維持」がトヨタに課せられているからです。
たびたびトヨタの社長は、自動車産業の維持を意識したコメントを出しています。
エンジン車以外のEVや燃料電池車しか生産できなくなれば、「自動車産業が支える550万人の雇用の大半を失う」と懸念を示した。
【出典】JIJI.COM_豊田自工会会長「全部EVは間違い」
EVになると、今までエンジン関連の部品を作っていた会社は潰れます。
自動車産業のすそのは広いので、日本経済へ深刻な影響を与えます。
恐らくトヨタ単体の事だけを考えるなら、EV全振りが最適解です。
しかし自動車産業を維持しようとすると、どうしても内燃機関(ガソリン・水素)を作り続けなければならないのです。
自分の事だけで無く、産業全体の事を考えるトヨタは立派です。
ですが、産業の維持に固執するあまり、EVという大きい変化に対応できなくなっています。
まとめ:トヨタの株価は今後どうなる?10年後には暴落します
本記事のまとめです。
・トヨタは直近は、業績・株価共に絶好調
・一方でEV化の進展により、今後トヨタは劣勢に立たされる見込み
直近のトヨタは「一人勝ち」と呼ばれるほど、成功を収めております。
株価も大きく上昇しております。
一方10年後を見据えると、非常に厳しい見通しとなっています。
EVに注力しない戦略では、厳しい未来になりそうです。
個人的には、もう少しEVに注力して巻き返しを図ってほしいと考えています。
本記事が、投資の参考になれば幸いです。
尚、本記事は、著者の見解をまとめたものです。
投資については、くれぐれも自己責任でお願いいたします。
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