こんにちは、コロスケです。
資材/購買部員が行う値引き交渉について解説していきます。
価格交渉は購買・資材部員にとっての「一番の見せ場」です。
会社の中で価格を決める唯一の決定権限を持っている僕たちがその権限を行使する場面だからです。
一方で同じ資材部員でも、「価格交渉は苦手・・・」という方もいらっしゃいます。
「自分の父親と同じような年齢のベテラン営業相手にどうやって交渉して良いかが分からない・・・」
「交渉したけど、値段は全く下がらなかった・・・」
など、苦労されている方も多いと思います。
また、就活や転職で資材部門を検討されている方にとっても、「資材の価格交渉ってどうやるんだろう。自分にもできるかな?」などの疑問があるかと思います。
今日は資材歴10年の僕が、ビジネスで使える価格交渉のコツをまとめていきます。
就活・転職・新入社員の方が持つ、価格交渉の疑問を解決していきます。
購買・資材調達部門の値引き交渉のコツを伝授【今日から使える!】
価格交渉は「下準備」が全てです。
たまに価格交渉が得意な人、不得意な人がいると聞きますが、それは結局は下準備をしているかどうかの違いです。
逆にいうと、これらのコツさえ押さえてしまえばみんな価格交渉で成果をあげられます。
一つずつ解説していきます。
交渉相手を選ぶ
適切な交渉相手を選定する。
忘れがちですが、実は一番大事なポイントです。
他のコツは省略しても何とかなるケースもありますが、これを忘れると成果は得られません。
どういうこと?相手はやりとりしている営業担当者のことでしょ?
営業担当者は僕たちの対面にいる窓口であって、価格交渉に最適な相手かどうかは別の話です。
その担当者が「価格を決める権限を持っているのか?」を見極める必要があります。
お小遣いを増やすために子どもが交渉に行く相手は、お父さんではありません。
お財布を握っているお母さんと交渉すべきです。
ビジネスでも同じです。価格を決定できる人と交渉する必要があります。
一番の理想は「価格決定責任者」と直接価格交渉をすることです。
少なくとも権限は無くても「相手の社内できちんと価格決定の稟議を通せる人か」を見極める必要があります。
確かに交渉の相手を選ぶことは重要だね。
値下げ出来る根拠・値上げが妥当でない根拠を見つける
値下げをお願いする場合、その根拠を相手に説明することが求められます。
単に値段を下げて下さいと言って下げてくれるケースは稀です。
たまに「予算が厳しいから」など自分たちの事情で値下げを要請しますが、それは相手にとっては関係ありません。
何故値下げをお願いするのか?その根拠を明確にしましょう。
でも、値下げ根拠なんて簡単に見つからないよ・・・
値下げ根拠となりそうなものを列挙しますので、この中から当てはまるものを選んでみましょう。
・他社品と比べて高い
・類似品の価格と比較して高い
・以前より発注数量が増えている(今後増える)
・こちらが分析した理論価格/積み上げ価格より高い
理論価格/積み上げ価格は分かりにくいので捕捉します。
例えばアンパンの理論価格を求める場合、小麦・餡・ゴマなどの材料とパンを焼く手間賃などの作業費を計算して理論価格を算出します。
もし、それでも値下げ根拠が見つからない場合、それはその価格が妥当ということです。安心してその価格で社内決裁を回しましょう。
相手がその要求を受け入れられる材料を提供
営業担当者の役割は「1円でも高く売ること」です。
その営業担当者が値段を下げてしまっては役割を達成できません。
では営業部門はどういうときに値段を下げるのでしょうか。
・値下げしないと転注(他社に注文)される場合(今の売り上げが減る)
・値下げしないと、次の案件を受注できない場合(将来の売り上げが減る)
・資材部門に何らかの借りがある場合
これをそのまま伝えたら、やくざみたいになってしまいますので、実際に交渉の場ではポジティブな言い方へ変換します。
・値下げしてくれたら、現行の注文は今後も続きます。
・値下げしてくれたら、今後の注文が増えていきます。
・値下げしてくれたら、次の案件で最初に見積依頼します。
目の前の事象ではマイナス(値下げ)になるが、長い目でみるとプラスになることを伝えてあげることが大切です。
プラスになることが分かれば、初めて値下げについても自分たちの利益として考えてくれるようになります。
相手の立場に立って、どうやれば値段が下がるのかを考えるのが大事だね。
妥結点を事前に決める
100円のモノを90円にしたい、そうやって交渉をしても満点が取れることはほとんどありません。
その中で僕たち資材部員は、自分たち・取引先両方が納得できる点を模索していきます。
資材の担当者も自分では価格を決める権限がありません。
せっかく交渉してもその場で結論を出せないと、「子どものおつかい」になってしまいます。
ですので、事前に上司・関係者と調整して妥結点を決める必要があります。
「100円のモノを90円にすることを目標に交渉するが、最悪98円でもOK」
などの譲れるぎりぎりの点を事前確認する必要があります。
尚、一番の理想は「お前に任せた」という全権委任です。
上司・関係者の信頼があることが前提ですが、交渉が非常にスムーズに進みます。
営業担当者にとっても、きちんと権限を委譲されている資材部員の方が信頼できるよね。
台本を作る(想定問答)
交渉の場でのやりとりは、経験が豊富な方はその場の状況を適切に判断して対応できます。
一方、未経験の資材部員や交渉が苦手の方は、言いたいことが言えなくなってしまったり、相手のカウンターを受けて負けてしまいます。
大事な交渉や苦手意識がある方は、事前に台本(想定問答集)を作りましょう。
そこまでやらなきゃいけないの?何だか大変そう・・・
1時間も考える必要はありません。会議前の10分間ノートにメモする程度でもOKです。
特に大事なポイントは以下の通りです。
・値下げ根拠に関する相手(営業)のカウンターを想定
・そしてそのカウンターに対する再回答を準備
値下げしてくれたら、現行の注文は今後も続きます。
値下げしないと注文は無くなるんですか?いつ無くなるんですか?
えーっと、すぐにはなくなる訳でもないけど・・・。いつ無くなるかと言われると・・・。
ではまずいので、
もし現行の価格のままですと、社内の予算に収まらないので、3か月後のモデルチェンジの時に安価な他社品へ切り替えます。
このように営業担当者からのカウンターをいくつか想定し、それに対する回答を準備すれば準備万端です。
あとは、実際の交渉するのみです。
価格交渉でこれだけはやってはいけない3つのポイント
価格交渉でこれだけはやってはいけないNGポイントも一緒にまとめておきます。
交渉で相手をだますこと
交渉でついたウソのおかげで短期的には利益を得るかもしれませんが、それ以上に重要な「取引先からの信頼」を失います。そういうことをする資材部員は長続きしません。
例えば、「来期数量が10倍になる」という事実とは異なる内容で価格を下げた場合、短期的に価格は下がるかもしれません。
ただ、今後取引先はあなたの数量動向は信じてもらえません。
さらに次回の価格交渉で逆に値上げ要請を受ける可能性があります。
そうすると、「正直者がバカをみる」と思われるかもしれません。
ただ、交渉の場で全て包み隠さず正直に話す必要もありません。自分たちに都合の悪いことは黙っていれば良いのです。
この匙加減は少し難しいかもしれませんが、基本は明らかなウソで取引先をだますのはNGです。
相手をだますのはビジネスルールに反するよ!
感情的になること
交渉のテクニックとして感情を交えて話すことはありますが、これと感情的になることは全く異なります。
交渉がうまくいかなかった場合や、希望する回答が得られないなど、自分の思い通りにならない時、怒ったり相手を非難する発言をしてしまっても何の解決にもなりません。
交渉はビジネスです。恋人同士の会話では無いことを肝に銘じて置きましょう。
これもビジネスルールだね。
交渉相手を見下すこと・偉そうにすること
資材部門は、営業担当者から見て「お客様」となります。
自分より年上の営業担当の人がペコペコするのをみて、「自分って偉い。モノを買ってあげている」と勘違いする資材部員も世の中にはいるようです。
営業担当の人は、資材部員の後ろにある「会社の看板」に頭を下げているのです。
あなたに頭を下げているのは無いことを肝に銘じましょう。
交渉の場でも相手を偉そうにしたり、見下すような言動をとってはいけません。
道徳の授業のようですがとても大事なことです。
そんなバカなことをする訳ないよ。安心して。
と思うかもしれませんが、人は無意識の内に相手にマイナスの印象を与えてしまいがちです。
・ 打合せ時間に遅れていませんか?
・ 相手の目を見て話を聞いていますか?
・ 無意識の内に自分の方が立場が上と思っていませんか?
取引先とは対等の関係です。
WIN-WINの関係を築けるように気を付けましょう。
また、自分の無意識の悪い癖や考え方についてはエンパワーリングという考え方が参考になります。
最後に
交渉の5つのコツを実践すれば、だれでも価格交渉で成果をあげられます。
資材の価格交渉は生まれつきの才能は関係ありません。
是非一度試してみて下さい!
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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■資材部門での、品質・コスト・納期の優先順位
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