製造業の国内回帰は良いことだけど、喜んではダメな理由を解説

製造業の国内回帰は良いことだけど、喜んではダメな理由を解説 資材業務について
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こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。

最近、日本の製造業回帰がたびたびニュースになっております。

      

      

ニュースについているコメントを見ると、総じて好意的なようです。

僕も日本での働き口が増える事なので、基本的には良い流れだと思っています。

          

ですが、製造業の未来を考えると、日本回帰を安易に喜んでいてはダメだと考えております。

そこで今回は「製造業の国内回帰」をテーマに僕が考えることをまとめていきます。

深いテーマですので、何回かに分けて解説していく予定です。

        

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製造業の国内回帰は良いことだけど、喜んではダメな理由を解説

       

今回の製造業の回帰を手放しで喜んじゃダメなのは、日本が消極的な理由で選ばれているからです。

     

消極的な理由で日本が選ばれている

今回の日本回帰の要因は、3つです。

     

・円安

・チャイナリスク(地政学的リスク)

・海外の物価が上がった事で、日本が相対的に安くなった

       

急激な円安

2008年以降ドル円為替は、急激に円高に進みました。

     

ドル円長期チャート
ドル円長期チャート

      

1ドル80円という超円高に進んだことで、日本の製造業の海外進展が加速しました。

日本向けの製品も、海外で製造して輸入した方が安いという状況になりました。

    

しかし2023年6月時点では、為替は大きく円安に進んでいます。

為替は1ドル140円になっており、当時海外移転した時の前提が崩れています。

海外で作るよりも、日本で作る方が安い状況となっています。

     

チャイナリスク

またチャイナリスクも、日本移転を後押ししています。

2020年の新型コロナウイルスの発生以降、中国では唐突なロックダウンが頻発しました。

また環境規制や電力制限など、政府の恣意的な介入も目立ちました。

その結果、製造業の稼働が止まる事態がたびたび生じております。

          

また米中の貿易摩擦や、中台の政治的緊張など、安定調達を脅かすリスクが増大しています。

このように中国からの調達リスクが増大したことが、調達リスクが低い日本への回帰を後押ししています。

      

海外の物価が上がった事で、日本が相対的に安くなった

最後の理由に、日本が相対的に貧しくなったことが挙げられます。

これまで途上国と言われていた東南アジアでも、物価が上昇しております。

    

日本の製造業の多くが進出しているタイでも、人件費が上昇しています。

マネージャークラスの給料で比較すると、実は日本よりもタイの方が給料が高いんです。

      

【出典】経済産業省_未来人材ビジョン
【出典】経済産業省_未来人材ビジョン

       

もはや日本は、東南アジアより安い国になりつつあります。

安い国を探していたら、実は日本が安い国だったという悲しい状況になってきています。

       

安いという理由だけ選ばれるのが良いの?

今は円安ですが、もし再び円高になったら、恐らく製造業は海外に活路を求めるはずです。

結局、今日本が選ばれているのは消極的な理由なので、他に良い国があればそちらに移ってしまいます。

       

でも海外の人件費が上がっているなら、海外への再移転のリスクは低いのでは?

 

     

確かに海外より日本の方が安ければ、それが選ばれる理由になります。

でもそれは、日本が発展途上国になってしまう事と同義です。

    

安さだけを売りに仕事を行うことが日本の製造業の未来にとって良いことなのでしょうか?

僕にはそうは思えません。

     

また日本に回帰しているのは、日本向けの製品ばかりです。

地産地消が進む製造業で、円安だからと言って日本が再び輸出大国になる可能性は低いです。

そもそも日本の需要は、人口減少で年々減っていきます。

    

「安さだけで選ばれている」という事が分かると、安易に喜んでいてはダメだとわかるかと思います。

      

付加価値を求めないと製造業に未来はない

悲観的な話だけど、結局どうすれば良いんだよ!?

      

・値段が高くても消費者に求められる製品

     

これを作ることに尽きると思います。

結局、付加価値のある製品を売ることができなければ、未来はありません。

   

日本に製造業が回帰する今のタイミングが「最後のチャンス」だと思っています。

これまでのコモディティを安く売るというビジネスモデルを脱却しなければなりません。

    

次回は「製造業にとっての付加価値とは何か?」を考えていきたいと思います。

      

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