製造業の付加価値を考える【どうしたら高くモノが売れるのか?】

製造業の付加価値を考える【どうしたら高くモノが売れるのか?】 資材業務について
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こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。

先日から「製造業の国内回帰」について、僕なりの考えをまとめています。

      

     

前回は「製造業は、値段が高くても消費者に求められる製品を求めるべき」と述べました。

今回はその続きとして、どうしたら消費者に求められる製品を作れるのかを考えていきます。

      

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製造業の付加価値を考える【どうしたら高くモノが売れるのか?】

       

付加価値が高い製品が作れれば、高い値段でも売れます。

では、付加価値とはいったい何なのでしょうか?

       

・消費者が求めるものを最適な価格で提供している(マーケット感覚)

・参入障壁があること

→付加価値がある(高く売れる。他社にマネされない)

       

キーワードは、マーケット感覚と参入障壁です。

この2つの要素を満たすことで、付加価値を高める事ができると考えます。

      

普通の企業の付加価値の出し方

僕が勤める一般的な会社では、こんな感覚で付加価値を生み出そうとします。

      

①今より安く製品を作る

②オプション機能を付けて値段を上げる

      

①は、とにかく良いものを安く作ること「だけ」を考えています。

原価企画、JIT、カンバン、現場の改善活動は「どうしたら安くモノを作れるのか?」という目的をかなえる活動です。

    

日本は、良いものを安く作る技術で世界を席巻しました。

しかし、今の日本はすでに最大限できる努力を積み重ねています。

カラ雑巾を絞るような努力を続けています。

    

ですが、こうした努力・競争はキリがありません。

そのため多くの企業が人件費が安い国を求めて、生産場所をどんどん移していく結果になります。

    

次に値段を上げたい時は、とりあえず何か追加の機能を付与しようと考えます。

例えば家電製品などは、様々なオプション機能が付与されている高グレード機種は値段が高いです。

    

ですがこうした追加機能は、マーケット感覚が欠けている事が多いです。

消費者が全く求めていない機能が付与された結果、消費者が敬遠してしまった例もあります。

     

付加価値のある企業は考え方が全く異なる

一方で世界的に有名な企業は、付加価値の考え方が全く異なります。

既存の製品の値段を安くすることを「第一」に掲げている訳ではありません。

こうした企業は顧客が欲しいものを創造し、自社以外にはできないモノを作り上げます

      

・AppleのMac、iPhone

・ディズニーランドの世界観

・任天堂の各種IP など

     

appleのユーザーは、apple信者とも呼ばれます。

同じPCでも、値段が安いWindowsではなく、値段が高いMacを選びます。

そこには、他社にはマネできない圧倒的な参入障壁があります。

       

ディズニーランドも他社にはマネできません。

ディズニーの世界観、キャラクター、キャストのホスピタリティによって、夢の国を作り上げています。

ディズニーランドは、唯一無二であり、他にはマネできません。

こうした圧倒的な参入障壁を背景に、最近ディズニーリゾートは大幅な値上げを繰り返しています。

      

     

ここまで大幅に値上げできることが、唯一無二の付加価値の証左です。

こうした付加価値を生み出すためには、顧客の事を理解するマーケット感覚が欠かせません。

      

多くの企業がマーケットを意識せず仕事をしている

僕の会社では、マーケット(市場)を意識せず、とにかく頑張ってモノを売る事しか考えていない節があります。

     

・もっと高く売れるのに、安く売ってしまう

・良いものを安く作れば売れるはず

      

もっと高く売れるのに、安く売ってしまう?

モノの価格は、需要と供給で決まります。

需要が多ければ価格は上がり、供給が多ければ価格は下がります。

マーケットでは当たり前の考えも、実践できていないケースがあります。

     

     

これは僕の会社の実例ですが、嘘みたいだけどホントの話です。

もちろん短期的な利益をあまりにも追及するのは、長期的な関係にヒビが入るので望ましくありません。

     

ただ当時の納期ひっ迫は、度を越していました。

部材をAIRで手配した費用、土日に現場が働いた分の費用は、当然売値に反映させるべきでした。

高く売れるし、売るべき理由もあるにも関わらず、従来と同じ値段で売るのは怠慢以外の何物でもありません。

    

また、僕の会社の事例ですが、市場をほぼ独占している製品があります。

その製品は参入障壁も非常に高く、ぶっちゃけいくら値段が高くても売れる状況です。

にも拘わらず、なぜか赤字で販売しているものがあります。

      

何で自社しか作っていない製品を赤字で販売しているのかホントに謎だよね…

    

マーケットの事を少しでも理解すれば、こういう赤字・低利益はすぐに解消できそうです。

     

良いものを安く作れば売れるはず

日本には「良いものを安く作れば売れるはず」という信仰がありました。

この信仰は、高度経済成長期のモノ不足の時代にのみ当てはまるルールでした。

    

モノ余りの時代では、良いものを安く作ってもライバル企業同士の血で血を洗う消耗戦に陥ります。

(昔のバイヤーは、こうした状況を活用して出来るだけ安くモノを買いたたくのが仕事でした)

     

もう令和になっているのに、未だに「とにかく安くモノを作る」という考えが一般的です。

ですが今の時代は、安ければ売れる訳ではありません。

顧客の潜在的なニーズを深く理解し、顧客が求めるものを適切に提供する力が必要不可欠です。

     

ですが僕の会社では、偉い人含めて「顧客は何を求めているんだろう?自社にしかできない事は何だろう?」と深く考えている人はほとんどいません。

マーケット感覚をフルに働かせ、顧客が求めているものを提供する力を発揮すれば、もっと良い製品が世に送り出せるのに…と思います。

       

努力の方向を間違えないことが大切

でもどうやってマーケットが求めるモノを提供すれば良いの?

     

マーケティングと言われると、ものすごい難しい事のように感じますよね。

でも僕は、ちょっとの工夫で十分だと思っています。

     

・どうしたらもっと高く売れるか考える

・自社にしか出来ない強みは何かを考える

・赤字機種をどうするか真剣に考える(値上げ、撤退、改善)

・コストカットを進める。惰性で払っている費用は無いか?

・ダイナミックプライシングを導入する

・売り方を工夫する(サブスク、安さ以外の強みを推す)

      

「安く売る事も大切ですが、どうやったら1円でも高く売れるか?」

       

日本企業は「安くする」事に重点を置きすぎな気がします。

それよりも「高く売るにはどうすれば良いか?」をもう少し考えても良いと思います。

      

まとめ:日本回帰のタイミングで付加価値を上げる努力をすべき

日本に製造業が回帰するのは、とても良い流れです。

ですが円安に甘えていると、いずれ円高が来た時にまた同じ問題が生じます。

    

今のタイミングが、製造業が復活するラストチャンスだと思っています。

日本回帰の今こそ「安くモノを作る」から「付加価値を求めて、高く買ってくれるモノを作る」事に注力していってほしいと思います。

僕も調達部門という立場で、付加価値を高める努力をしていきたいと思います。

     

もしマーケット知識を深めたい方は、以下の本がおすすめです。

       

       

この記事が参考になれば幸いです。

他にも色々記事を書いていますので、他の記事もぜひご覧ください!

       

       

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