小野薬品工業の株価はなぜ安いの?【株価が下落している理由を解説】

小野薬品工業の株価はなぜ安いの?【株価が下落している理由を解説】 株/ETF/投資信託
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こんにちは、コロスケ(Twitter)です。

この記事では、小野薬品の株価がなぜ安いのかを解説していきます。

      

最近、小野薬品の株価が大きく下がっています。

      

【出典】Google市場概説_小野薬品工業株価推移
【出典】Google市場概説_小野薬品工業株価推移

        

1年前と比べて、株価は25%近くも下落しております。

株価が下がったので、投資を検討している方も多いのではないでしょうか?

    

そこで本記事では、小野薬品工業の株価がなぜ安いのかを詳しく解説していきます。

       

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小野薬品工業の株価はなぜ安いの?【株価が下落している理由を解説】

      

小野薬品工業の株価が安い理由をまとめました。

      

・オプジーボの成長が鈍化。2023年度が売り上げのピークと予想されているから

・オプジーボの海外での特許が今後5年ほどで切れるから

・次の稼ぎ頭が見えていない

・投資家の期待値が高すぎた

      

小野薬品は、オプジーボによる成長期待で株価が上がっていました。

一方で、最近はその成長に陰りが見えており、株価下落要因となっています。

     

詳しく解説します。

       

小野薬品の概要をざっくり解説

小野薬品工業は、医薬品メーカーです。

概要をまとめました。

      

・2022年度売上高4,472億円。国内では中堅規模の製薬会社

・自社開発品多く、がん・糖尿病・循環器領域などに強みがある

・2022年度の営業利益は1,420億円(利益率31.8%)と高利益体質

・自己資本比率80%超と、財務鉄壁

・先駆的がん免疫阻害剤『オプジーボ』が成長牽引

     

直近の売り上げ実績は4,472億円となっており、国内では中堅の製薬会社です。

小野薬品は、自社開発品が多いのが特徴です。

     

【出典】小野薬品工業_会社特徴
【出典】小野薬品工業_会社特徴

     

製品領域としては、がん・糖尿病・循環器領域などに強みがあります。

    

【出典】小野薬品工業_主な製品
【出典】小野薬品工業_主な製品

      

小野薬品の大きな特徴は、自己資本比率の高さです。

自己資本比率は80%を超えており、無借金経営となっています。

財務が優良であるため、投資家としては安心して保有できるというメリットがあります。

     

また小野薬品は、オプジーボの売り上げが近年急増しております。

その結果、以下のグラフの通り、会社全体の売り上げ高も大きく伸びております。

    

【グラフ】小野薬品工業_売上高・営業利益率推移
【グラフ】小野薬品工業_売上・営業利益率推移

          

また売り上げの増加に伴って、配当金も年々増加傾向にあります。

      

【グラフ】小野薬品工業_配当金、配当性向推移
【グラフ】小野薬品工業_配当金、配当性向推移

      

オプジーボとは?

次に、小野薬品を象徴する製品「オプジーボ」について説明します。

オプジーボとは、がん免疫阻害剤です。

      

オプジーボは、T細胞のPD-1と結合して免疫の働きにブレーキがかからないようにする「免疫チェックポイント阻害薬」です。
オプジーボが血液に入ると、T細胞のPD-1と結びつくことでがん細胞との結合が阻害され、かけられたブレーキが解除されます。
こうしたオプジーボの作用によって、T細胞は、妨害を受けることなく、がん細胞を攻撃できるようになるのです。

オノオンコロジー_オプジーボとは

      

オプジーボが画期的と言われる理由は、新しいタイプの「がん治療薬」だからです。

元々がん治療は、手術、放射線療法、化学療法の3つがありました。

上記3つの方法は、副作用も大きいという課題もありました。

    

一方でオプジーボは、薬が直接がん細胞を攻撃するものではなく、体内に備わっている「免疫」の力を利用する治療法です。

      

【出典】オノオンコロジー_がん免疫療法の特徴
【出典】オノオンコロジー_がん免疫療法の特徴

        

現在の小野薬品は、オプジーボが主力製品となっております。

    

【グラフ】小野薬品工業_主要製品売上高推移(著者作成)
【グラフ】小野薬品工業_主要製品売上高推移(著者作成)

     

そのため株価は、良くも悪くもオプジーボの動向に左右されます。

     

オプジーボの成長が鈍化している理由

小野薬品の株価が下がっている要因は、主力のオプジーボの成長が鈍化しているからです。

これまで小野薬品の売り上げ増を牽引してきたオプジーボですが、徐々に成長率が鈍化しています。

      

先ほどのグラフをもう一度ご覧下さい。

     

【グラフ】小野薬品工業_主要製品売上高推移(著者作成)
【グラフ】小野薬品工業_主要製品売上高推移(著者作成)

      

オプジーボの売り上げ成長率が徐々に鈍化していることが分かると思います。

機関投資家は、小野薬品の売り上げのピークは「2023年度」と予想しております。

そこから先は売上が伸びず、場合によっては下がる可能性もあります。

   

こうした状況から、小野薬品の株価は下落傾向にあるのです。

では、どうしてオプジーボの売り上げの成長は鈍化しているのでしょうか?

       

・新規処方患者数が頭打ち

・シェアも伸び悩み

      

実は、オプジーボは新規処方患者数が伸び悩んでいます。

     

【出典】小野薬品工業_オプジーボの動向_新規処方患者数推移
【出典】小野薬品工業オプジーボの動向新規処方患者数推移

      

こうした状況から、2023年度には売り上げのピークがくるという予想となっています。

    

オプジーボの海外での特許が今後5年ほどで切れるから

企業が生み出した新薬は、特許で他社の参入を防ぐことで、独占的な販売を行います。

独占的な販売をしている間は、高い利益率が期待できます。

一方で特許が切れると、他社が参入してくるため、売上・利益は落ちていきます。

    

一般的に特許の期限は、15年程度と言われております。

オプジーボの場合は、これから5年後に特許が切れると言われております。

      

2024年から料率が下がる上、オプジーボとキイトルーダの海外での特許が今後5年ほどで切れるとされる

【出典】日経バイオテク_上値が重い小野薬品、「ポストオプジーボ」の具体化が必要

      

特許切れによって、今の売り上げ・利益水準が維持できなくなる可能性がある。

こうした懸念から株価は下落傾向にあります。

       

次の稼ぎ頭が見えていない

製薬会社は、常に特許切れの問題を抱えています。

そのため常に新しい製品を開発することで、売上を維持・拡大していきます。

    

小野薬品もオプジーボのあとを見据えて、様々なパイプラインを進めています。

     

【出典】小野薬品工業_開発パイプラインの進捗状況
【出典】小野薬品工業_開発パイプラインの進捗状況

      

一方で、オプジーボほどの売り上げを見込める新薬の見通しは立っておりません。

こうした状況から、オプジーボの特許切れ以降は売上が下がることが懸念されているのです。

        

投資家の期待値が高すぎた

オプジーボが発表された時は、がん治療を大きく変えることが期待されました。

薬を開発した本所氏がノーベル賞を取った事も、インパクトを大きくしました。

   

期待値は高かった一方で、ライバルである「キイトルーダ」との競争激化や、薬価価格の引き下げなど、想定したほどの利益が出ていません。

   

このようにインパクトが大きすぎた結果、株価はかなりの高値となりました。

個人的には、ピーク時の株価は実態とは乖離した価格だったと思います。

現在はこうした(実態と合わない)期待値が解消された結果、適正な株価へと戻っています。

     

そのため株価が下がったというより、投資家の期待が剥落して、元々の適正値へと株価が戻ったという方が正確だと思います。

       

まとめ:小野薬品工業の株価はなぜ安いの?

小野薬品の株価が下がっている要因まとめです。

       

・オプジーボの成長が鈍化。2023年度が売り上げのピークと予想されているから

・オプジーボの海外での特許が今後5年ほどで切れるから

・次の稼ぎ頭が見えていない

・投資家の期待値が高すぎた

      

小野薬品は、売上が右肩上がりの優良企業です。

一方で、今後は売上は伸び悩むことが想定されており、それが株価の下落要因となっています。

     

この記事が小野薬品の株価分析の参考になれば幸いです。

なお本記事は、著者の意見をまとめたものであり、投資を推奨するものではありませんのでご注意下さい。

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