こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
この記事では、東北電力の株価が下落している理由を解説しています。
最近、東北電力の株価が暴落しています。
ピーク時より半値以下の株価になっております。
最近はもう一段、株価が下がっています。
株価が下がっているので、リバウンド狙いの方の買いが増えています。
ですが安易に暴落に飛びつくと、大怪我をするリスクがあります。
株を買う時は、企業の本質的な価値とリスクをきちんと見極める事が大切です。
そこで本記事では、東北電力の株価が下落している背景を詳しく解説していきます。
東北電力への投資を考えている方に、役立つ情報をお届けします。
東北電力の株価が下落している理由を解説【2,000億赤字!】
東北電力の株価が下落している理由をまとめました。
・2022年度1Q決算で通期大赤字&無配発表があったから
東北電力は2022年度1Q決算で、通期予想で2,000億円の赤字を発表しました。
更には通期の配当についても、無配に転落しました。
配当目当てで株を買っていた方は、減配&株価下落のダブルパンチとなりました。
以降では、東北電力の最新決算と、経営状況を詳しく分析していきます。
2022年度1Q決算
2022年度1Q決算で、東北電力は通期で赤字になる見通しであることを発表しました。
東北電力は、2019年度をピークに利益が右肩下がりです。
ジェットコースターのように、一気に赤字転落しています。
しかし売上は維持しているにも関わらず、なぜ利益がここまで減少したのでしょうか?
営業赤字2,000億円の要因
2022年度の決算予想では、なんと2,000億円もの営業赤字の見込みです。
赤字の主な要因は「燃料費(原油価格)の高騰」です。
実は、電力会社は燃料費の高騰をタイムリーに顧客に反映できない仕組みとなっています。
電力会社は、安定的に経営するために「燃料費の高騰を価格に反映できる仕組み」があります。
(これを燃料費調整制度と呼びます)
燃料費調整制度は、事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、平成8年1月に導入されました
【出典】資源エネルギー庁_燃料費調整制度とは
しかし調整制度では、原油の値上げを適用できるのは「最短でも2ヶ月後」となります。
そのため電力会社各社は、急激に燃料費が高騰すると、経営が悪化する仕組みとなっています。
では燃料費(原油)価格は、どれくらい上がっているのでしょうか?
原油価格の値上がり状況
原油価格は、2022年のロシア・ウクライナの戦争の影響で急騰しています。
2021年には60~80ドル前後でしたが、2022年には最高で120ドルにまで急騰しています。
この結果、東北電力の燃料仕入れ価格も大きく上昇しています。
21Qに66.9ドルだった原油が、なんと110.8ドルまで上がっています。
更に原油は輸入品なので、為替の影響も受けます。
最近は為替が円安なので、輸入品の原油価格も更に値上がりしています。
東北電力は上記理由で、2,000億円もの赤字予想となっているのです。
2022年度は一気に無配に転落
東北電力は、株価が割安だったため、高配当株として有名でした。
2021年度は1株当たり35円の配当であり、買値次第では利回り4%の高配当株でした。
しかし2,000億円もの赤字発表に合わせて、配当をゼロにすることを発表しました。
減配・無配転落は、長期保有の投資家の売りにつながります。
実際、2022年7月末の発表後に株価は大きく下落しました。
長期的に見ても東北電力の株価が下落する理由を詳しく解説
でも今後原油価格が下がれば、利益が戻るのでは?
確かに今後原油価格が下がれば、東北電力の利益は復活する見込みです。
ですが、長期的な目線でも東北電力にはリスクがあります。
・電力需要が長期的に減少(人口減)
・設備の老朽化による設備更新費用の負担が重たい
・東北の地震による突発的な費用リスク
・自己資本比率が低く、財務体質が脆弱
こうした要因から、株価が下がったからと言って安易に買うのはリスクが高いです。
詳しく解説していきます。
電力需要が長期的に減少(人口減)
電気は、家庭と企業で使用されます。
ですが、日本の電力需要は、長期的にみて減少することが予想されます。
日本は今後人口が減少していくことが、ほぼ確定しています。
その中でも、東北の人口の減少スピードはとても早いです。
1,200万人以上いた人口が、2040年には790万人にまで減る事が予想されています。
人口が減れば、電気の使用量は長期的には下がる事が予想されます。
設備の老朽化による設備更新費用の負担が重たい
東北電力の火力発電設備には、古い設備が多数あります。
その中でも東新潟火力発電所は、稼働から長期間経過しています。
設備が古くなると、様々なトラブルが発生します。
2022年7月にも東新潟火力発電所で、ガスタービンが出火しタービンが非常停止しています。
こうした設備のメンテナンスには、かなりの費用が発生します。
また設備の更新・新設には、莫大な費用がかかります。
東北電力は計画的に設備の更新を行っていますが、最近は設備投資費用が膨らみキャッシュフローを圧迫しています。
東北の地震による突発的な費用リスク
東北は、地震が多い地域です。
東北電力は、たびたび地震の影響で設備トラブルが発生しています。
2022年3月16日の福島県沖の地震では、発電所の設備が停止しました。
地震で停止した設備の影響で、2021年度は利益が166億円も目減りしました。
こうした災害が起こるたびに、東北電力の利益が目減りするリスクを抱えています。
自己資本比率が低く、財務体質が脆弱
東北電力は、自己資本比率が低く財務体質が脆弱です。
自己資本比率が14.8%しかありません。
これは他の電力会社と比べても、低いです。
沖縄電力:35.7%
中部電力:32.7%
東京電力:24.9%
関西電力:19.2%
東北電力:14.8%
財務体制が脆弱なので、少し経営が悪化すると、今回のように減配になってしまいます。
まとめ:東北電力の株価が下落している理由
本記事のまとめです。
・2022年度1Q決算で通期大赤字&無配発表があったから
・電力需要が長期的に減少(人口減)
・設備の老朽化による設備更新費用の負担が重たい
・東北の地震による突発的な費用リスク
・自己資本比率が低く、財務体質が脆弱
東北電力は、株価が下がっており割安に見えますが、リスクが高い銘柄です。
投資の際は、上記リスクを理解した上で慎重に投資しましょう。
尚本記事は、著者の意見をまとめたものであり、投資を推奨するものではありませんので、ご注意下さい。
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