この記事では、電源開発(J-POWER)の株価下落理由と、将来性を解説しています
近年、電源開発(J-POWER:Jパワー)の株価が下落傾向にあります。
株価が右肩下がりだね・・・
日本のインフラ企業であるJ-POWERですが、近年は株価が下がり続けています。
日本市場が比較的堅調な中、株価が下がっていると大丈夫かな?と不安になりますよね。
そこで本記事では、J-POWERの株価が下がっている理由と、今後の将来性について解説していきます。
電源開発J-POWERの株価が下落している理由|今後の将来性解説
電源開発(J-POWER)の株価が下がっている理由は、以下の4つです。
・脱炭素・カーボンニュートラルの流れに逆行
・大間原発の稼働延期
・国の政策変更リスク(電力自由化)
・海外事業の為替リスク・事業リスク
・石炭価格の値上がり
電源開発(J-POWER)の株価が下がっているのは、脱炭素・カーボンニュートラルの動きに反しているからです。
以降では、J-POWERの株価が下がっている要因を分かりやすく解説していきます。
【下落理由1】脱炭素・カーボンニュートラルの流れに逆行
近年は「SDGs」と呼ばれる持続可能な開発目標が設定されています。
SDGsの中では「エネルギーのクリーン化」が設定されています。
SDGsの流れをくんで、各国では脱炭素・カーボンニュートラルの方針が打ち出されています。
■アメリカ
バイデン大統領は、アメリカが2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2005年比で50〜52%削減すると約束。これまで、2025年までに26~28%削減するとしてきた目標を、2倍近くに引き上げた。
【出典】BBC バイデン氏、気候変動対策の「勝負の10年」 サミットでCO2削減の新目標を発表
■日本
我が国は、二〇五〇年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。
【出典】第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説
このように世界各国で、温室効果ガス排出を抑制する方針を打ち出しています。
そんな中、J-POWERはCO2排出が多いと言われる「石炭発電」を行っています。
J-POWERは、世界の流れに反している!として、近年株価が下落傾向にあります。
確かに今どき、石炭発電は時代遅れかもね・・・
【下落理由2】大間原発の稼働延期
J-POWERは、原子力発電も手掛けています。
しかし、2011年の東日本大震災以降、原子力発電の流れが止まっています。
J-POWERも建設中の大間原発の稼働が、何度も延期されています。
Jパワーは10日、建設中の大間原子力発電所(青森県大間町)の工事再開時期を従来の想定より2年程度延期し、2022年後半とする方針を明らかにした。原子力規制委員会による安全審査が長期化しているため。26年度ごろとしていた運転開始時期も28年度ごろになる。同原発の工事延期は4度目。
【出典】日本経済新聞 Jパワー、大間原発の稼働2年延期 審査長期化で
大間原発を収益に寄与させる事ができないことも、株価下落の要因になっています。
うーん、原発事業は厳しいかもね・・・
【下落理由3】国の政策変更リスク(電力自由化)
電力事業は、国の規制に守られた産業でした。
しかし近年は、電力の自由化が進んでいます。
その結果、発電事業の料金規制が撤廃され、市況によって価格が決められる事になりました。
J-POWERも電力自由化により、大きな影響を受けています。
発電事業に関する料金は、原価主義に基づく料金規制等が撤廃され、市場競争環境下で販売先との協議により決定されることになります。
【出典】J-POWERリスク要因
昔のように必ず利益が出ることが保証されなくなりました。
実際2020年度は、発電事業の粗利が40億円下落するなど、原料の価格変動影響を受けています。
このように電力の自由化の影響で、株価が下落傾向にあります。
今後も国の政策によって、株価は大きく変動する可能性があります。
消費者にとって自由化は嬉しいけど、J-POWERには逆風だね・・・
【下落理由4】海外事業の為替リスク・事業リスク
J-POWERは事業多角化のため、海外事業を推進しています。
海外では、コンサルティング事業と発電事業を行っています。
(2020年度実績で約15%が海外の売上)
海外では現地通貨の売上となるので、為替リスクを受けます。
為替リスクはJ-POWERでは、コントロールできないリスクとなります。
特に新興国では、為替リスクが大きく、J-POWERの収益に大きな影響を与える可能性があります。
実際、2020年度の実績では、70億円もの為替差損が発生しています。
今後もJ-POWERにとって、為替は大きな経営リスクとなります。
為替はどうしようもないよね・・・
【下落要因5】石炭価格の上昇
Jパワーの利益は、「売価-燃料費」で計算されます。
ですが、近年Jパワーが使っている「石炭」価格が上昇しています。
燃料費の値上がりは、Jパワーの利益を押し下げます。
実際、Jパワーの利益は燃料費の高騰の影響で、目減りしています。
石炭は、欧州などでの電力不足により需要が高騰しています。
世界的な電力危機による一般炭需要の拡大を受け、米国の石炭価格は約12年ぶりの高値に上昇した。
【出典】東洋経済_世界的電力危機で米石炭価格2009年以来の高値に
Jパワーは、石炭発電が中心です。
そのため石炭価格の上昇は、大きなマイナスの影響を受けています。
電源開発J-POWERの将来性|株価は今後どうなる?潰れるリスクは?
J-POWERのリスクは分かったけど、今後はどうなるのかな?
J-POWERの今後の見通しは、以下の通りです。
・石炭発電は引き続き主要なエネルギー源であり続ける
・2023年に向けて300億円の利益拡大を計画
・株価の大きな伸びは期待できない
・ポートフォリオの1角としてインカムメインの投資としておすすめできる
J-POWERは、SDGsに反するとして株価は低迷しています。
今後も大きな売上・利益増は望めません。
しかし、石炭発電は引き続き主要なエネルギーです。
更に高配当銘柄の中では、減配リスクが低めなので、PFの一角として検討する価値はあると思います。
石炭発電は引き続き主要なエネルギー源であり続ける
脱炭素方針の中で、石炭発電はオワコン扱いされています。
しかし日本の電力の内、約1/3は石炭発電です。
近年は原子力発電の規制により、電力不足が問題になっています。
今後も電力の安定化のために、石炭発電は重要です。
経済産業省も、電力の安定供給のために石炭発電は重要であると考えています。
Q1.世界的に、石炭火力発電については投資を見直したり、やめたりといった動きがあると聞きます。なのに、なぜ日本は石炭火力発電を活用する方針を変えないのですか?
日本にとって、安定供給と経済性にすぐれた石炭火力発電は一定程度の活用が必要です
【出典】経済産業省エネルギー庁 なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?
石炭は、安定供給が可能・価格が安いという利点があります。
そのため、今後も日本では石炭発電が必要となっています。
J-POWERの石炭発電も今後も続くと予想されるので、急にオワコン化することは無いと思います。
原子力発電が減っている中で、石炭発電の重要性が増しているね
2023年に向けて300億円の利益拡大を計画
2021年に発表した中期計画で、J-POWERは300億円の利益拡大を目指す事を発表しています。
脱炭素、カーボンニュートラルを踏まえても、利益は伸ばせるという経営層の意志を感じます。
少なくとも直近の株価の下落ほど、悲観的な状況ではなさそうです。
更に利益が900億円にまで戻れば、増配も期待できそうです。
もちろん為替など沢山のリスクがありますが、今後に向けて一定の期待もできそうです。
株価の大きな伸びは期待できない
一方でJ-POWERは成熟企業です。
今後売上・利益が倍に増える事は期待できません。
そういう意味で、株価の大きな伸びは期待できません。
あくまで、インカム目当ての投資候補の一つとして考えた方が良さそうです。
また買値にも気をつけたいです。
高値掴みをすると、長期間含み損を抱える事になるかもしれません。
投資する場合は、時期を分散する事をおすすめします。
まとめ:電源開発J-POWERの株価が下落している理由は?
本記事のまとめとして、J-POWERの株価が下落している要因を再掲します。
・脱炭素・カーボンニュートラルの流れに逆光
・大間原発の稼働延期
・国の政策変更リスク(電力自由化)
・海外事業の為替リスク・事業リスク
・石炭価格の値上がり
J-POWERには、様々なリスクがあります。
それを反映して、株価は長期間低迷しています。
一方で石炭発電は、引き続き国の重要な電力供給源です。
今後もJ-POWERに火力発電がなくなる事はなさそうです。
インカム目当ての人にとって、投資を検討する価値はありそうです!
尚、本記事では投資を推奨するものではありません。
投資をする場合は、ご自身の判断にてお願い致します。
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