・この記事では石油株の「エネオスの株価は今後どうなるのか」を解説します。
石油株と言えば、高配当で有名です。
日本もアメリカも、石油銘柄=高配当になっています。
でも将来的にはカーボンニュートラルなど、石油はオワコンになると言われています。
せっかくの高配当でも、将来的にオワコンになる株は掴みたくないですよね。
実際、株価は低迷しています。
そこで今回は日本を代表する石油銘柄である「エネオスホールディングス」の株価を分析します。
「石油の未来」と「エネオスの今後」を詳しく解説していきます。
【石油株】エネオス(ENEOS)の株価は今後どうなる?見通し解説
最初に「石油ビジネスの見通し」を解説します。
・2026年~2030年頃まで、世界の石油需要は伸び続ける
・2030年以降、石油の需要は徐々に減るが、急減する訳では無い
→石油株は成長しないが、すぐにオワコンになる訳では無い
実は2030年頃まで、石油の需要は伸びていきます。
何となくオワコンに思えますが、すぐに需要が激減する訳ではありません。
そういう意味で、石油銘柄は斜陽産業ながらも投資の検討候補にはなりそうです。
詳しく解説していきます。
2030年まで世界の石油需要は伸びる
IEA(国際エネルギー機関)の2020年の報告によると、石油の需要は今後も伸びていく事が分かります。
上記グラフの「水色」の線が、IEAが想定するメインシナリオです。
ご覧の通り、実はこれからも石油の需要は伸びていく予想となっています。
(2030年が需要のピーク)
更に2030年以降も、需要は大きく減らない見込みとなっています。
ここから、2030年以降も石油は無くならない事が分かります。
一方でアメリカのゴールドマン・サックスは、「2026年が石油需要のピーク」と予想しています。
IEAよりも4年早い予想です。
ゴールドマン・サックス・グループは輸送分野での石油需要のピークは遅くとも2026年になるとし、従来予想を1年前倒しした。
【出典】Bloomberg_石油需要、輸送分野のピークは5年後(2021年4月16日記事)
これらの資料から、石油は2026年~2030年頃まで石油需要は伸びる事が予想されます。
石油の用途の42%が自動車用ガソリン
次に、石油の主な用途を確認します。
このように、石油の42%が自動車のガソリンとして使われています。
石油の需要がどうなるかは、自動車に左右される部分が大きい事が分かります。
でも最近の自動車は、EV(電気自動車)に移り変わっています。
EVになると、ガソリンを使わなくなります。
そのため、石油需要がこのまま本当に堅調なのか若干怪しいですよね。
自動車のEV化でガソリンはどうなる?
EV化の急速な進展に対して、IEAは以下の回答をしています。
政策に大きな変化がない限り、石油需要の急激な減少を予測するにはまだ時期尚早です。
【出典】IEA 世界エネルギー展望2020
確かにEV化によって、先進国での石油需要は減っていきます。
しかし、新興国では引き続きガソリン車が主役です。
今後需要が伸びていく新興国では、石油(ガソリン)は引き続き重要な車の動力源であり続けます。
実際、東レ経営研究所の福田氏は、EVシフトが世界の石油需要にもたらす影響についてこのように語っています。
石油需要の低下についてはかなり長期に及ぶために今後10年から20年程度は限定的とみる。石油需要に影響を及ぼすものは各国の燃費規制であり、現行の規制が存続する限り、2050年時点の米国でも2017年の8割前後の石油需要が残されることから需要ピーク後の減退ぺースについて過度に悲観する必要はないだろう。
【出典】東レ経営研究所_EVシフトが世界の石油需要にもたらす影響について(下) ※太字は著者
結局、石油は残り続けるみたいです。
確かに世界中の車が全部EV(電気自動車)になるとは、思えないですよね。
このように石油の需要については、そこまで過剰に心配する必要はなさそうです。
(もちろん、斜陽産業なので成長する訳ではありません)
【石油株】エネオスの株価の見通しは?【今後はどうなるの?】
次に、日本を代表する石油銘柄である「エネオスホールディングス」の今後の見通しを解説します。
・景気敏感株、景気後退時に赤字になる構造
・一方で配当還元には積極的
・景気後退時に仕込むのがオススメ
今まで説明した通り、過度に悲観的に見る必要はありません。
エネオスは、ポートフォリオの一角を担える存在です。
一方でエネオスは、超景気敏感株です。
定期的に赤字になっていることを踏まえた投資戦術が必要となります。
エネオスホールディングスの概要
このグラフをみると分かる通り、売上が安定していません。
更に、定期的に赤字に転落しています。
エネオスは、石油や銅といった資源を作る会社です。
そして、石油や銅は「相場」によって価格が決まります。
そのため、景気が悪くなって市況価格が下落すると、赤字になりやすいです。
エネオスは、資源系の会社で市況に左右されやすいビジネスモデルです。
右肩上がりに成長する会社とは違うので、安易に手を出すと長期間含み損を抱える可能性もあります。
安易に手を出すと失敗しそうだね・・・
一方でエネオスは、配当還元には積極的
一方でエネオスは割安に放置されがちなので、高配当化しやすい銘柄です。
配当利回りは、5%前後と非常に高い利回りであることが分かります。(2021年8月時点)
そして上記グラフの通り、配当金は徐々に伸びています。
赤字になっても、配当を維持しようとする意気込みが感じられます。
実はエネオスは、減配(配当を減らす事)をしない方針を立てています。
(2022年度までの中期計画)
配当:現状を下回らない配当水準とする
総還元性向:3カ年累計在庫影響除き当期利益の50%以上
【出典】ENEOSホールディングス 中計期間における株主還元の考え方
もちろん経営が悪化すれば、減配する可能性は高いです。
ですが一時的な景気後退程度なら、株主への配当は維持してくれそうです。
(あくまで著者の予想なのでご注意下さい)
エネオスは景気後退時に買うのがオススメ
以上のことから、エネオス株には以下の事が言えます。
・大きく株価は成長せず、たびたび赤字になる
・一方で経営の屋台骨は揺らいでおらず、株主還元にも積極的
→景気後退時、株価が安い時期に仕込むのがオススメ
エネオスの株価は、長期間低迷しています。
万が一高値づかみをしてしまうと、長期間含み損を抱える事になりやすいです。
そのため、景気後退時に徐々に買っていくのがおすすめです。
またリスクが高い銘柄なので、安易に買い増しするのは危険です。
ご自身のリスク許容度に合わせて、狙っていきましょう。
まとめ:エネオスホールディングスは今後どうなるの?
本記事のまとめです。
・石油需要は、2026年~2030年頃にピークを迎える見込み
・2030年以降も石油需要が急落することは無さそう
・エネオス株は景気敏感株なので、景気後退時に仕込むのがおすすめ
如何だったでしょうか?
ENEOSを買う場合は、買値に気をつけましょう!
尚、本記事は個人の考えを纏めたものです。
投資を積極的に推奨するものでは無いので、ご注意下さい。
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