こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。
今回は「資材調達・購買部門にとっての顧客は一体誰なのか?」を考えていきます。
資材部門にとっての「顧客」は誰でしょうか?
資材調達・購買部門の「顧客」とは誰だと思いますか?
— コロスケ@現役資材部員 (@Corosukeblog) March 12, 2022
・お客様?
・最終ユーザー?
・株主?
・モノを作る現場の人?
・色々指示してくる上司?
・社内関係者?
・客先の要望を伝える営業?
・取引先?
教科書的には客先・最終ユーザーだろうけど、僕的にはそれがスッキリ来ないんですよね。
偉い人や専門家に聞いたら、恐らく「顧客とはモノを買って下さるお客様だ」という答えが返ってくるはずです。
でも僕は、顧客の事をイメージしながら仕事をしたことがほとんど無いんですよね。
だから、顧客のために仕事をしているという答えにどうもピンと来ないんです。
そこで今回は、資材部門にとっての顧客とは誰なのか?を自分なりに考えてみます。
資材調達・購買部門にとっての顧客は誰?【誰のための仕事なの?】
「資材部門にとっての顧客は誰?」に対する僕なりの答えは、以下の通りです。
・資材部門は、顧客・社内・取引先・世間の4つ全てが顧客
・4つの顧客に均等に配慮する「四方よし」の考え方が大切
マーケターなら「顧客のことだけ」を考えればOKです。
ただ現場で働く僕たちは、顧客はあまりにも遠い存在です。
ぶっちゃけ顧客のことだけ考えて仕事する事は、ほとんどありません。
僕は、4つのステークホルダーを「顧客」と位置づけて仕事をするのが最適だと思うようになりました。
この考えに至った経緯を解説していきます。
客先が顧客?
製品を購入してくれるのは、客先でありユーザーです。
そのため、客先=顧客と定義するのは自然な事だと思います。
実際、僕たち資材部門は「顧客への価値を最大化するために、調達品のQCDを最適化」する事がミッションに据えられています。
理屈としては正しいんですが、実務を長いことやっていると、この理論に納得行かない事もあるんですよね。
・客先の要求が、長期的な客先の利益にならない
・客先と普段接する事が無いので、顧客のために仕事をするというイメージが湧かない
こんな無茶振りに対応したら、取引先が付いてこれないよ・・・
客先から出てくる無限の要求をそのまま受ける事が、顧客の本当の利益になっているのか疑問な事があります。
短期的な値下げばかりを追求すると、取引先の事業撤退を招いてしまうかもしれません。
また僕たちは、普段はお客さんと接する事はありません。
顔を合わせた事も無い人をイメージして仕事をするのは、困難です。
このように理屈としては客先=顧客と分かりつつも、客先のために仕事をするという考えにイマイチ納得できていません。
社内関係者が顧客?
製造業には「後工程はお客様」という言葉があります。
製造業では、完成品が出来るまでに複数の部門が関係します。
後工程の事を考えて仕事をすることで、最適なモノづくりが出来るという考え方です。
資材部門は、前工程の設計部門や、後工程の生産管理・現場部門に配慮する必要があります。
資材部門だけの最適化を考えると、モノづくりが上手く進みません。
社内関係者を顧客と位置づける考えは、実務に適しておりシックリ来る考えです。
でもこの考えが行き過ぎると、自社のことだけを考える「内向きな組織」になりがちです。
自社の理論が先行しすぎた余り、様々な不正を起こす企業が増えています。
「ただちに品質には問題無い」
上記理屈で繰り返される品質不正は、社内最適化を推し進めすぎた結果だと思います。
このように、社内関係者を顧客として定義するのもイマイチな感じです。
取引先が顧客?
製造業は、原価の大半を社外調達品が占めています。
モノづくりをするためには、社外取引先からの安定調達が必要不可欠です。
特に最近は需給が逼迫しており、部材調達が一番の経営リスクになっています。
このような状況では、モノづくりを支える取引先を顧客と捉える考え方は理に適っています。
また資材部門は、社内と取引先の架け橋になるのが仕事です。
取引先がいなければ、存在価値が無い部門です。
そういう意味でも、資材部門は「取引先を大事なパートナー」と位置づけるべきと思います。
一方で、取引先と資材部門は対等な立場です。
顧客という考えを拡大解釈すると、取引先の理屈に唯々諾々と従う無能資材部員になってしまいます。
このように、取引先を顧客と定義してしまうリスクにも配慮が必要です。
世間が顧客?【SDGs】
先程の品質不正もそうですが、企業と世間の考え方が乖離している事があります。
最近では、ウクライナへ軍事攻撃をするロシアに対する企業へ厳しい目が向けられています。
顧客・自社の利益を最大化する考えが、企業イメージを著しく下げる結果につながる事もあります。
ロシアで事業継続発表のユニクロ、新商品を紹介するもSNSが大荒れ… 海外から不買呼びかけも https://t.co/GHmWJezEuf
— Share News Japan (@sharenewsjapan1) March 9, 2022
最近は、SDGsが一般的になっています。
企業の利益を最大化するという考えが、大きなマイナスにつながってしまいます。
そういう意味で、世間(SDGs)も広い意味で顧客と言える気もしています。
ただ世間という抽象的なモノのためだけに、人は働くことは出来ません。
あくまで顧客は、目の前の人など具体的にイメージできる人であるべきと考えています。
四方良しのバランスの取れた考え方が大切【客先・社内・取引先・世間】
このように「どれか一つを顧客に据える」考え方は、微妙な感じがしました。
そのため僕は、この4つ全てを顧客として考えるべきという結論に至りました。
・客先:お客様の満足度を最大化するためにQCDSを最適化する
・社内関係者:自社が安定的に事業継続するために、社内のモノづくりを支える
・取引先:取引先の安定した事業継続に配慮する
・世間:社会(SDGs)に貢献する
4つのバランスを取った「四方よし」の考え方が大切
今社会で起きている様々な問題は、バランスが取れていない事で起きています。
・顧客は抽象的すぎて、資材部門はイメージしづらい
・自社のことだけ考えると、内向きな組織になる
・世間(SDGs)が考えられないと、不正が起きる
近江商人の三方良しという考え方があります。
顧客・自社・世間の3つのステークホルダーに配慮する事が大切という考え方です。
資材部門は、これに「取引先」という観点を入れるとしっくり来る気がします。
「4つの顧客の事をバランス良く考えて仕事をする」という意識で仕事をすると上手く行きそうな気がします。
4つのバランスの重要度、重み付けは?
4つの顧客はどれが一番大切なの?
4つも顧客が出てくると、じゃあ一体どれを優先すべきか?という問題が出てきます。
AとBが対立した時は、どちらを優先すべきか決めておく必要があります。
一般的には、客先を優先する考え方かと思います。
でも僕は、4つのバランスを均等に取る考えが良いと思います。
どれか一つでも欠けると、組織は間違えた方向に進みます。
そういう意味で、4つのバランスを取りながら仕事をするのが良い気がします。
例えば、客先や自社の利益を最大化するために、取引先に無理を強いるケースを考えてみます。
こういう場合は、資材は取引先の利益を守らなければなりません。
資材部門は、ある意味中立な立場で仕事がしやすい部門です。
・客先と直接接しない
・取引先と日々やり取りし、彼らとWIN-WINの関係を築く必要がある
客観的な立場で「組織が誤った方向に進む時に待ったをかけられる」のが資材の付加価値です。
そういう意味で、全ての顧客に万遍に配慮するのが望ましいと考えました。
まとめ:資材部門にとっての顧客は4つある
本記事のまとめです。
・資材部門は、顧客・社内・取引先・世間の4つ全てが顧客
・4つの顧客に均等に配慮する「四方よし」の考え方が大切
今回は、資材部門の顧客とは誰か?を考えてみました。
僕は、4つの顧客に均等に配慮する「四方よし」の考え方が良いと思いました。
尚、働く組織によって考え方は異なるかもしれません。
数ある中の考え方の一つとして、参考にしてもらえると助かります。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
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