アナログデバイセズがマキシムを買収【半導体業界再編の影響を解説】

アナログデバイセズがマキシムを買収【半導体業界再編の影響を解説】 資材業務について
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こんにちは、コロスケです。

今日は、米国の半導体メーカーであるアナログ・デバイセズ(analog devices)が、同業のマキシム(maxim)を買収した件を解説します。

   

久しぶりに半導体業界で再編が起こりました。

  

    

2020年7月13日、アナデバがマキシムを買収することを発表しました。

  

アナログ・デバイセズ(Nasdaq: ADI)とマキシム・インテグレーテッド・プロダクツ(Maxim Integrated Products, Inc. Nasdaq: MXIM)は、アナログ・デバイセズが株式取引によりマキシムを買収し、合併後の時価総額約680億米ドル2とすることで、両社が最終合意に達したと発表しました。

【出典】アナログ・デバイセズ、プレスリリース

    

今回は、上記買収について解説していきます。

   

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アナログデバイセズがマキシムを買収【半導体業界再編の影響を解説】

基板材料

   

今回の買収の概要は以下のとおりです。

    

・アナデバがマキシムを209億ドル(2.2兆円)で買収

・買収手続きは2021年夏に完了予定

・両社の統合で82億米ドル(8,610億円)の売上規模に

    

2兆円規模の大規模な買収となりました。

買収によってアナデバの売上規模は8,610億円と大きく増えました。

詳細を解説します。

   

アナログ・デバイセズ(Analog Devices)概要

アナデバは、1965年にアメリカで生まれた半導体メーカーです。

その名の通り、アナログ系の半導体を製造するメーカーです。

   

アナログ・デバイセズ(NASDAQ: ADI)は、ほぼあらゆる種類の電子機器で使用されている高性能なアナログ集積回路(IC)、ミックスド・シグナルIC、デジタル・シグナル・プロセッシング(DSP)ICの設計、製造、販売を行っている世界トップの企業です。

【出典】アナログ・デバイセズ会社概要

    

僕も以前、オペアンプなどアナログICを多く買っていました。

   

2014年からの売上と営業利益は以下の通りです。

   

アナログ・デバイセズ売上・利益推移
アナデバのIR資料をもとに著者がグラフ化、為替は1ドル105円で計算

   

2019年の売上は6,290億円、営業利益率が29%となっています。

2017年に売上が急増しているのは、リニアテクノロジーを買収したからです。

    

アナログ・デバイセズ、リニアテクノロジー社を統合し、アナログ技術におけるトップ企業を形成

【出典】アナログ・デバイセズプレスリリース

   

また営業利益率が20%以上の超高利益の会社です。

日本の製造業の多くが10%未満の営業利益なのと比較すると、どれだけすごいかが良く分かります。

  

マキシム(Maxim)概要

マキシムは、1983年にアメリカで設立された半導体メーカーです。

マキシムは、センサー・電源・アナログ・インターフェースなどを製造しています。

  

センサープラットフォームから、エンベデッドセキュリティ、パワーマネージメント、インタフェース、通信、その他さまざまなICソリューションまで、マキシムの技術は設計革新を後押ししています。

【出典】マキシム会社概要

  

アナログの領域では、アナデバとバッティングすることもあります。

僕は、以前マキシムのインターフェースICを買っていました。

   

マキシムの売上と営業利益は以下の通りです。

   

マキシム売上営業利益推移
マキシムのIR資料をもとに著者がグラフ化、為替は1ドル105円で計算

   

売上は横ばいですが、直近3年間の営業利益が30%近い値になっています。

外資系の半導体メーカーはしっかり稼いでいますね。

    

アナデバとマキシムを比較

アナデバとマキシムの売上を比較してみます。

   

売上比較2015年

  

今から5年前、アナデバとマキシムの売上の差は、まだそこまでありませんでした。

  

売上比較2019年

  

しかし、4年後の2019年にはなんと売上が2.5倍も差がついています。

買収によって、アナデバがどんどん大きくなっていることが分かります。

   

<アナデバの売上>

【2014年】約3,000億円

【2017年】約5,550億円(リニアテクノロジーを買収)

【2020年】マキシムの買収で約8,610億円の規模に(売上は19年度の合算)

   

まとめ:半導体業界の再編は続いている

本記事のまとめです。

   

・アナデバがマキシムを209億ドル(2.2兆円)で買収

・買収手続きは2021年夏に完了予定

・両社の統合で82億米ドル(8,610億円)の売上規模に

   

僕が10年前に担当していた頃は、アナデバ・リニテク・マキシムの3社がありました。

しかしたった10年で3社が統合される事になりました。

  

半導体業界の再編は本当に早いです。

これからも半導体業界の動向を注視していきたいと思います。

   

このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。

良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。  

   

コメント

  1. 原口大輝 より:

    ブログ更新ありがとうございます!
    私もADIのMaxim買収はびっくりしました。。
    今回の統合は何の製品のポートフォリオ拡張なのか、いまいちよくわかりません。。
    シグナル系と一言で言っても製品は様々なので、ADIの狙いが知りたいですね。

    電源ICは、Maximは安くていい製品があるため、市場でよく使われているようです。
    電源ICは気軽に置換え検討のできない製品なので、もしEOLになると頭を抱える設計者がたくさん出てきそうです。。

    • コロスケ Corosuke より:

      いつもコメントありがとうございます!
      今回の買収でADIは規模を大きくすることが目的のような気がします。

      今後確かにEOLが増えそうですよね。アナログは簡単に置きかえ難しいので、設計者は大変そうですよね・・・