この記事では、設計者が新規部品を採用したくない理由を解説しています。
先日以下質問を頂きました。
半導体部品の場合、まず設計さんに試作などで評価をして頂いてから購入手続きに入るのが通例なのですが、いざ設計さんに部品を紹介しに行くと、新規で部品を検討するのを避けたいような話がよく出てきます。
一方、資材の方はBCPで既存部品から置換できる新規の製品を常に探されており、既に採用されている数百品種のリストを頂き、相当品調査などの問合せがよくあります(全く同じ製品というのは少ないので、話がその後進みませんが…)
このように、同じ客先でも新規検討に対する考えがそもそもズレているように感じるのですが、なぜでしょうか?
新規で部品を使うことって、設計さんからするとそんなに手間なことなのでしょうか?
半導体商社の方からのご質問です。
ご質問ありがとうございます。
資材部門「是非新規部品を使いませんか!?」
設計者「うーん、、、今は難しいなぁ」
という、場面に出会ったことがある人は多いと思います。
何で設計者は、新規部品採用に消極的か気になりますよね。
今回は「設計部門が新規部品を採用したくない理由」を解説します。
なぜ設計部門は新規部品を採用したくないのか?【資材部員が回答】
設計部門はなぜ新規部品の採用に否定的なのでしょうか?
・新規部品の採用にはリスクが伴う
・リスクの責任は設計部門が負う
・新規採用は物凄い工数がかかる
・設計者は慢性的にリソース不足なので極力やりたくない
設計者って大変ですよね。
新規部品の負荷・責任の大半が、設計部門にのしかかってきます。
設計者の心理を詳しく解説していきます。
新規部品の採用にはリスクが伴う
設計者は「設計の流用」を好みます。
その理由は、設計の流用をするとリスクを低く抑えることが出来るからです。
新規部品を採用すると色々なリスクが発生します。
・設計が上手くいかず、性能が出ない
・新たな部品で品質不良が発生する
新しい部品だと、きちんと性能が出るか?品質が良いかを事前に確認する必要があります。
一方で既存品は、既に性能・品質のチェックが終わって量産で流れています。
性能・品質が実績で担保されているので、問題が発生する可能性が低いです。
リスクの全責任は設計部門が負う
設計者は、自分の設計に責任を負う必要があります。
たとえ、資材部門が提案した部品で不具合が出ても、設計上の不具合なら、設計部門で対応しなければなりません。
・設計がうまく行かない⇒設計部門が対応
・不具合が発生⇒設設計部門が対応
設計が新規部品に消極的なのは、新規部品でのトラブル責任が設計部門にあるからです。
逆に資材部門は、一義的には新規部品で不具合が起きても設計上の責任はありません。
(もちろん推進役としての責任はありますが、設計面では何もすることが出来ません)
設計部門は最終的な責任があるから慎重になるんだよね
新規採用は物凄い工数がかかる
会社によって、新規部品の認定手続きは違います。
しかしどの会社でも、新規部品の認定は大変なのは同じです。
僕の会社での、新規部品の認定に必要な手続きをまとめてみました。
・性能評価
・品質・信頼性評価
・工場監査
・仕様書取り交わし
・切り替えのための打合せ
これら設計変更の手続きは、基本的には設計部門が中心になって主導する必要があります。
設計者は普段から忙しいです。
新規部品を採用すると、単純に設計部門の負荷が増えます。
「新規部品を採用したら、給料5万円UP!」
なら喜んでやるんでしょうけど、実際は新規部品を採用しても、それだけで給料は上がりません。
結局「限られたリソースをどこに配分するか」なので、労力に見合った成果が無いと、設計部門は動きません。
まとめ:設計が新規部品を採用したくないのには理由がある
本記事のまとめです。
・新規部品の採用にはリスクが伴う
・リスクの責任は設計部門が負う
・新規採用は物凄い工数がかかる
・設計者は慢性的にリソース不足なので極力やりたくない
設計者が新規部品を採用したくないのには、深い理由があります。
設計部門へ提案するときは、設計部門の事情もきちんと理解しましょう。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
良かったら、他の記事も読んでみて下さい。きっとあなたの役に立つ情報があると思います。
コメント
リクエストさせて頂きました内容のブログを書いて頂き、誠にありがとうございました。
お客様へ提案する内容を考えるにあたり、非常に参考になる内容でした!
ころすけさん含め、お客様に良い提案ができるよう、今後も活動させて頂きます。