【再び赤字転落の危機?】シャープの株価はなぜ下がるのか解説

【再び赤字転落の危機?】シャープの株価はなぜ下がるのか解説 株/ETF/投資信託
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こんにちは、コロスケ(Twitter)です。

この記事では、シャープの株価はなぜ下がるのか分析しています。

     

2022年になって、シャープの株価が大きく下落しています。

       

【出典】Google市場概説_シャープ株価推移
【出典】Google市場概説_シャープ株価推移

       

1年間で株価が3割以上下がっております。

そして、2022年9月も大きく株価が暴落しております。

      

シャープは一時期経営危機に陥りましたが、鴻海の支援の元、黒字復活を果たしています。

最近は売却した事業を買い戻すなど、攻めの姿勢も見えつつあります。

    

そんなシャープが何故暴落しているのでしょうか?

そこで本記事では、シャープの株価が下がっている理由を詳しく解説していきます。

      

シャープへの投資を考えている方に役立つ情報をお届けします。

       

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【再び赤字転落の危機?】シャープの株価はなぜ下がるのか解説

     

シャープの株価が下がっている理由をまとめました。

      

・製品が売れていないから

・インフレで原価が大きく悪化しているから

・ディスプレイパネルの市況価格が下落

・財務脆弱で減配の可能性が高いから

     

シャープは、経営危機以降は黒字を維持しています。

しかし2022年度は、再び営業赤字に転落する可能性もありそうです。

こうした厳しい見通しから、株価は大きく下がっています。

    

詳しく解説します。

     

シャープの最新の事業内容をざっくり解説

シャープといえば、2015年に経営危機に陥り、大きく事業再編を行っています。

その後は黒字化し、現在は他の事業を買収するなど事業の領域を再び広げています。

     

【出典】シャープセグメント情報
【出典】シャープセグメント情報

     

シャープは、現在5つの事業を有しています。

家電、テレビ、パソコン、ディスプレイパネル、電子デバイスの5つです。

     

パソコン事業は、東芝ブランドであったダイナブックをシャープが2020年に買収しております。

事業別の売上高・営業利益は、以下のとおりです。

      

【出典】シャープセグメント別売上・営業利益比率
【出典】シャープセグメント別売上・営業利益比率

      

売上は、5つのビジネスがバランスよく分散しております。

一方で利益面では、スマートライフ(家電)と8Kエコシステム(テレビ)で約7割を占めています。

     

シャープの家電は、国内だけでなくアジアでも人気が高く、シャープの利益の柱になっています。

     

海外の白物家電の売上が、引き続き大きく伸長

 ・アジアで冷蔵庫や冷蔵庫が大幅な増収

 ・欧米を中心に調理機器が非常に好調

【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_スマートライフ事業売上増減要因

        

製品が売れていないから

2022年度1Q決算では、前年比で大きく利益が下がりました。

利益が下がった要因として、「製品の売れ行きが悪い」事が上げられています。

      

【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_営業利益額の変動要因
【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_営業利益額の変動要因

       

シャープの製品が売れていない要因は、以下のとおりです。

     

・PCの需要減(テレワークや学校向けPC需要が一巡)

・コロナ・巣ごもり需要の反動(空気清浄機、エアコン)

      

コロナ以降、PCの需要が大きく増えました。

テレワークやオンライン授業などが一般的となり、PC特需が生まれました。

    

また文部科学省の肝いり政策であるGIGAスクール構想もPC売上を伸ばしました。

GIGAスクール構想とは「児童生徒1人1台コンピュータを持つ」など、ICTを整備し、教育のデジタル化を推し進める政策です。

    

こうしたPC特需で、シャープはPCの売上を大きく伸ばしました。

しかし、PC特需も一巡したことで、売上・利益が大きく下がっています。

     

【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_ICT事業売上・営業利益
【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_ICT事業売上・営業利益

        

またコロナの感染拡大で、巣ごもり需要も増加しました。

シャープの家電では、エアコンや空気清浄機などの製品が巣ごもり需要の恩恵を受けました。

    

しかし、2022年になって巣ごもり需要も一巡しました。

加えて、外出自粛要請も無くなり、徐々に日常を取り戻す動きも見られています。

    

このように、2022年度は厳しい状況になる見通しとなっており、株価も下落傾向にあります。

      

インフレ・円安で製造原価が悪化しているから

2021年以降、世界的にインフレが加速しております。

半導体、電子部品、鉄鋼、樹脂など、様々なものが値上がりし続けております。

     

加えて、円安も追い打ちをかけております。

日本は様々なものを輸入に頼っています。

その結果、原材料はもちろんの事、電気代なども大きく上昇してきています。

     

シャープの製品は、半導体、電子部品などを購入し組み立てて作っています。

こうした部材の大半が値上がりしており、原価を大きく圧迫しています。

    

シャープは製品の値上げなどで対応しておりますが、それでもカバーできない状況となっています。

     

【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_営業利益額の変動要因
【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_営業利益額の変動要因

      

その他で記載されている「97億円のマイナス」が、インフレ・円安による悪化です。

調達部材の高騰が、シャープの経営に深刻な影響を与えております。

    

ただ1点補足すると、シャープは海外の売上比率が高いです。

営業利益では、円安の影響で業績が悪化していますが、営業外収益では為替差益が発生しており、そのマイナスをリカバリーしています。

    

【出典】シャープ2022年度1Q決算短信
【出典】シャープ2022年度1Q決算短信

     

そういう意味で円安=経営悪化という訳ではありません。

    

ただ、現状は原価の悪化を売価に全て反映できておりません。

そのため、EPS(1株純利益)でも21年度比で下がる見込みです。

      

【グラフ】シャープEPS、配当推移
【グラフ】シャープEPS、配当推移(著者作成)

     

このようにトータルでマイナス影響の方が大きく、純利益が下がる見通しであることから、株価は下落方向にあるのです。

       

ディスプレイパネルの市況価格が下落

シャープの事業の柱の1つに「ディスプレイ事業」があります。

ディスプレイ事業では、スマホやテレビのパネルを製造しています。

    

ディスプレイ事業は、中国や韓国との価格競争が非常に激しいことで有名です。

かつてシャープが経営危機に陥ったのも、ディスプレイの価格競争があまりにも厳しかったからです。

     

2022年度に入り、中国上海のロックダウンなどの影響で、ディスプレイ重要が落ちました。

その影響で、市況価格も大きく下がっており、シャープの損益を圧迫しております。

      

【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_ディスプレイ事業売上・営業利益
【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_ディスプレイ事業売上・営業利益

      

今後世界的に景気が悪化する見通しとなっています。

その場合、市況価格は更に下がる事が予想され、再び赤字に転落する可能性があります。

    

こうした市況の不透明さがあるので、株価は大きく下げているのです。

       

財務脆弱で減配の可能性が高いから

シャープは、2016年に鴻海の傘下になることで復活を果たしました。

しかし、現在も財務状況はあまり良くありません。

     

有利子負債は、2022年6月末時点で7,360億円と、再び増加傾向にあります。

     

【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_有利子負債推移
【出典】シャープ2022年度1Q決算説明資料_有利子負債推移

       

自己資本比率も20%台と、財務体制が脆弱です。

そのため再び赤字になると、経営危機に陥る可能性もあります。

     

2021年度は「1株当たり40円」の配当金を出していました。

しかし2022年度は「未定」になっております。

     

現在の財務状況と赤字転落リスクを考えると、恐らく減配する可能性が高いと思います。

こうした見通しであることから、株価は下がっております。

      

まとめ:シャープの株価はなぜ下がるのか?

シャープの株価が下がる理由まとめです。

      

・製品が売れていないから

・インフレで原価が大きく悪化しているから

・ディスプレイパネルの市況価格が下落

・財務脆弱で減配の可能性が高いから

    

シャープは2022年度で厳しい決算になることが予想されております。

現状は黒字の見通しですが、今後通期見通しを下方修正する可能性もありそうです。

     

上記内容がシャープの経営分析の参考になれば幸いです。

尚本記事は著者の意見をまとめたものであり、投資を推奨するものでは無いのでご注意下さい。

      

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