こんにちは、コロスケ( Corosuke blog)です。
今回は、1on1ミーティングの成果を最大化する方法を解説します。
近年、働く人の転職が当たり前になりました。
そのため「同じ会社に一生勤める」という前提で、部下を指導することができなくなりました。
これまでの管理職は、自分の指導を一方に伝える方法が一般的でした。
しかし現在は「部下に寄り添い、部下の隠された課題を吸い上げる事」が求められるようになりました。
最近は、相談・伴走型のマネジメントにおいて重要な「心理的安全性」が語られるようになりました。
(僕のマネジメントに関する考え方は、以下の記事をご覧下さい)
「相談・伴走型」のマネジメントを行うために、有効な手法と考えられているのが「1on1ミーティング」です。
今回は、マネージャーの方向けに「1on1の効果を最大化するにはどうすれば良いか?」を考えていきます。
僕自身の1on1の経験も踏まえて、分かりやすく解説していきます。
1on1の成果を最大化する方法|話すことがない、苦痛なミーティングを解決
1on1の成果を最大化する方法は、以下のとおりです。
・1on1では積極的には仕事の話をしない
結論、1on1で部下とは仕事の話をしないようにしましょう。
えっ?仕事での1on1なのに仕事の話をしないってどういうこと??
この結論に至った経緯を詳しく解説します。
そもそも1on1ミーティングの目的とは?
リクルートの記事によると、1on1の目的は以下2つと書かれています。
・部下の行動と学習を促進する
・部下の仕事への意欲を高める
部下との1対1の会話を通じて、部下の成長を促していく事が1on1の目的のようです。
1on1で部下は決して本音で話さない
自分が1on1を受ける部下の立場だと想像してみて下さい。
上司からこんなことを言われたら、何て返事をしますか?
最近仕事で悩んでいることや、困っていることは無いかな?
コロスケ君は、今後のキャリアをどう考えているのか聞かせてほしい
いや、特にあんまり考えていません…
このように、本音は話さないのではないでしょうか?
1on1で部下が本音を話してくれない理由は2つあります。
・上司と部下の間で信頼関係が構築されていない(心理的安全性が担保されていない)
・「部下の学習を促進する、部下の意欲を高める」という視点が上から目線だから
上司から「困っていることは無い?」と聞かれて、正直に話す部下はいません。
なぜなら、2人の間には心理的安全性が担保されていないからです。
心理的安全性とは、組織の中で正直に本音を言える状態の事を意味します。
組織の中で「なんでも言って良い」という雰囲気が無い限り、部下は本音では話しません。
(本音で語ることが上司や体制の批判になる場合、本音でしゃべる事は部下にとってリスクです)
また、1on1の目的が「上から目線」なのも問題です。
「部下の成長を促進する」「意欲を高める」という言葉自体が、上から目線です。
上司は権限を持った人です。
そのため上から目線になってしまうのは、やむを得ない部分もあります。
しかし、1on1においては「心理的安全性」が肝です。
部下の心理的安全性を担保しつつ部下の成長を促進することは、ある意味矛盾した難しいテーマなのです。
つまり「部下の成長を促進する・仕事への意欲を高める」という目的を1on1ミーティングで設定しない方が良いのです。
1on1のゴールとすべき正しい目的とは?
僕は後輩との面談を通じて、1on1の面談で設定すべき正しい目的は以下の2つだと感じるようになりました。
①部下の本音を引き出す
②部下が問題を一人で抱え込まないような関係を作る事
→心理的安全性の構築
結局、上司が部下の成長を促したり、やる気を出させる事自体が傲慢です。
部下が頑張るかどうかは部下の課題であり、上司の課題ではありません。
本音を引き出すべき
1on1では、部下の本音を引き出すことを目的とすべきです。
普段は上司には言えない人間関係の悩みなどを知ることができれば、それに配慮したマネジメントが可能になります。
僕の職場には、仕事を全然やらない人がいます。
その人は全然仕事をしないので、周りから「こいつはダメな人」というレッテルを貼られておりました。
僕はその人との1on1を通じて、実はその人がプライベートで深い問題を抱えている事を知りました。
もちろん仕事とプライベートは別です。
プライベートに問題があれば、仕事をサボっても良い訳ではありません。
ですが部下の本音を知ることができれば、本音を踏まえた上で適切なマネジメントが可能となります。
僕はこうした経験から、1on1では部下の本音を知ることが何より大切だと感じるようになりました。
問題を一人で抱え込まないような関係を作る(心理的安全性の構築)
1on1のもう一つの目的は、部下の孤立を防ぐことです。
上司の大切な仕事は、部下の課題を早期に見つけて適切な対応をすることです。
ですが上司と部下の心理的な距離が遠いと、部下は問題を一人で抱え込むようになります。
Aさん(上司)に報告すると、色々言われそうだし…。
そして問題が爆発し、手遅れになってから上司が状況を把握することになります。
こういう状況を生み出してしまっては、マネジメント失敗です。
多くの上司が「何か問題があればすぐに報告してほしい」と言っていると思います。
ですが、部下は「言いづらい、怒られそう、自分の初動の対応の悪さを指摘されそう」など、色々な理由で上司への報告をしません。
管理者は、このような「部下→上司」の情報の断絶を防ぐ必要があります。
部下が上司に報告しない一番の理由は、上司と部下で心理的安全性が担保されていないからです。
なので1on1では、まずは心理的安全性の確保に取り組むことが求められます。
雑談をすることで1on1の目的が達成できる
「本音を引き出す」「心理的安全性を構築する」
この2つの目的を達成するのに一番適した手段が「雑談」です。
仕事の話をしていると、上司と部下には「管理者と被管理者」という越えがたい立場の差が生じます。
仕事の話だけでは、部下の本音を引き出したり、心理的安全性を構築することは難しいです。
仕事以外の話をすることで、意外な部下の一面が見れたりします。
僕の場合雑談を通じて、後輩が実はスポーツ好きという事を知りました。
その話の流れで、実は平日に休みを取ってイベントに行こうか迷っていると聞きました。
僕は、迷わず「有休は権利だし、行きたいなら休んで絶対に行った方が良い」と話しをして、後輩の打ち合わせを代わりに出席したことがあります。
もちろん1on1では、おべっかを使う必要はありません。
無理に配慮しだすと、周囲との不公平感を招いたり、部下がおんぶに抱っこになって自分で主体的に仕事に取り組まなくなってしまいます。
こうした逆効果な気遣いをしないよう注意しましょう。
1on1での雑談で話しかけやすい環境を構築すると、心理的安全性が徐々に構築されます。
こうした関係性があれば、上司と部下での仕事上の深刻なすれ違いは回避できます。
1on1ミーティングで意識すべきこと
ただ雑談と言っても、飲み会での会話ではありません。
上司のペースで、自由に好き勝手に話してはダメです。
1on1の目的を達成するために、気を付けるべきことをまとめました。
①仕事の話はせず、無駄話を中心に行う(仕事の話は基本自分からは振らない)
②聞き手に回る(自分がしたい話はしない)
③相手の話を否定しない(心理的安全性を担保)
1on1の基本は、部下・後輩に語ってもらう事です。
管理職は、聞き手に回る事が必要です。
自分から話題を振って、そこから部下の話を広げていきましょう。
また雑談では、相手の話を否定しない配慮が必要です。
自分の経験からつい「そんなのダメだ、こうした方が良い」と言いたくなります。
ですが、それはグッと堪えましょう。
こうした会話を心がけることで、心理的安全性が構築されるようになります。
仕事の話をしなくて本当に良いの?
でも1on1とはいえ、仕事中だしキャリアなど仕事の話をした方が良いのでは?
確かに、せっかくのミーティングなら仕事の話もした方が良い気もします。
ですが、やっぱり目的を「心理的安全性の担保」として考えるなら、上司から仕事の話を振ってはいけません。
(振った瞬間に2人の関係は上司と部下になってしまう)
仕事の話をするときは、仕事の話というテーマで面談しましょう。
(多くの会社では評価査定面談等があるかと思いますので、そこで実施すれば十分です)
例外として、部下が仕事の話を振ってきたときはOKです。
こういう時は、部下が求めている範囲内で仕事の話をしましょう。
(こういう時は、部下の仕事に対する本音が聞けるチャンスでもあります)
これまでの経験ですが、プライベートの話をしていても自然と仕事の話も出てきます。
なので敢えて積極的に上司から仕事の話題を振る必要はないと思っています。
まとめ:1on1の成果を最大化する方法
本記事のまとめです。
・一般的な1on1の目的だと失敗しがち
・1on1の目的は「心理的安全性の構築」とすべき
・会話では部下の心理的安全性の情勢に努める
最近日本企業でも、1on1が積極的に行われるようになりました。
ただ伝統的な日本企業のマネジメントと、1on1は相性が悪いです。
僕の実践では、雑談を中心とした会話で「心理的安全性の構築に努めるのが一番効果がある」と思っています。
この記事が1on1のやり方の参考になれば幸いです。
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