・この記事ではシャープの株価がなぜ下がるのか詳しく解説しています
最近、シャープの株価が低調です。
経営危機を脱したはずなのに、なぜか株価は低いままです。
なぜ株価が低調なのかご存知でしょうか?
この記事では、シャープの株価が低迷している原因を詳しく解説していきます。
シャープへの投資を検討している方に役立つ情報をお届けします。
シャープの株価がひどい!【株価はなぜ下がるのか徹底解説】
最近、シャープの株価が低迷している原因は以下のとおりです。
・経営危機時の株価があまりにも割高だった(投機目当て)
・経営再建中も、業績回復期待で株価が上昇していた
・経営が安定した事で、投機目当ての買いが無くなり株価が下落している
実はシャープの最近の株価低迷は、経営が悪化したからではありません。
むしろ経営が安定した事で、株価が下落する皮肉な結果に陥っています。
以降では、シャープの経営危機と現在の株価の状況を解説します。
シャープ経営悪化の経緯
シャープはリーマンショック以降、恒常的に赤字が続いていました。
毎年、何千億円もの赤字を繰り返した結果、倒産の危機に陥りました。
経営が悪化したのは、直接的には以下の2つが大きな要因です。
・太陽光パネル、液晶テレビのコモディティ化による価格競争激化
・収益が悪化している太陽光、液晶部門への巨額投資
当時シャープは、太陽光や液晶テレビへの巨額投資を続けておりました。
一時、液晶テレビは「世界の亀山モデル」と宣伝されるなど、一斉を風靡しました。
しかし太陽光パネルや液晶テレビは、コモディティ化が進みました。
その結果、海外メーカーとの価格競争が激化し、収益が急速に悪化しました。
このように、シャープは選択と集中の方向性を間違えました。
その結果、集中投資した液晶・太陽光事業が原因で倒産の一歩手前までいきました。
鴻海の戴正呉氏の下であっという間に経営再建
当時、経営危機にあったシャープを救う方法が2つありました。
1つ目が産業革新機構による支援です。
2つ目が、台湾鴻海による支援です。
当時世論は、台湾企業への身売りに反対の声が大きかったです。
産業革新機構は、日本連合としてJDIとシャープのパネル部門の統合を考えていたようです。
ですが、最終的には鴻海の下で経営再建を図る事になりました。
鴻海から派遣された戴正呉氏は、鴻海のNo2の人物です。
まず戴正呉氏が始めたことは、徹底したコストの見直しです。
具体的には、①調達品のコスト削減と②販売先との契約見直しを行いました。
17年3月期は調達先や販売先との契約見直しによるコスト削減が大きく、営業黒字化に寄与しました。販売契約も見直しました。例えばカンボジアではタイの現地法人社長が現地の代理店と手書きの紙1枚で契約していました。太陽電池を含めて不平等な契約が多い。“爆弾”ばかりです(笑)。
【出典】日経ビジネス_シャープトップの戴正呉氏が熱弁「この会社は日本の宝」
300万円以上の決裁権限を社長決裁にすることで、不要なコストの見直しを徹底しました。
ここまでは、外部経営者の経営立て直しとしては普通です。
日産を立て直したカルロス・ゴーン氏も同じ事をしました。
しかし、戴正呉氏は適切な投資も行いました。
シャープは、鴻海傘下に入る前に2回のリストラを行っていました。
しかし戴正呉氏が社長になって以降、リストラは実施されておりません。
また、東芝のパソコン事業「ダイナブック」の買収を行うなど適切な投資は継続しています。
こうしたコスト削減推進により、なんと1年後には黒字化を果たします。
シャープは、鴻海の傘下で黒字化を果たす事ができました。
現在は、復配を果たすなど経営の再建は順調に進んでおります。
経営再建を果たしたのに、なぜ株価は下がっているの?
経営再建が進んで黒字になったのに、どうして株価は低調なの?
確かに黒字化したのに、株価が下がるのは変ですよね。
経営が安定したのに株価が下がった理由は、以下のとおりです。
・産業革新機構と鴻海による支援競争の思惑で、投機買いが入っていた
・経営再建が順調に進む事への期待買い
シャープの経営危機当時、買収に「産業革新機構」と「鴻海」の2社が名乗りを挙げていました。
台湾企業が日本を代表する企業を買収することに、反対の声も多く上がりました。
こうしたニュースの影響で、投機を含めた売買が集まりました。
当時は債務超過に陥り、潰れるかどうかの瀬戸際でした。
株価は2,000円前後でしたが、控えめに見ても適正株価は「500円以下」だったと思います。
その後、鴻海傘下に入り業績の回復が期待されました。
その時も、業績回復の期待買いが集まりました。
このように、当時のシャープ株は様々な思惑から、適正価格と乖離した割高な価格となっていました。
経営が安定した事で、株価が下がるという残念な結果になった
鴻海の傘下で、シャープの経営は復活を遂げます。
東証一部にも再上場を果たし、配当の支払いができるようになりました。
経営が安定した事で、皮肉にも株価が低い価格で安定するようになりました。
1,000円~2,000円前後の価格が、今のシャープの適正価格だと思われます。
シャープの今後はどうなる?
2022年3月に、社長が呉柏勲氏から戴正呉氏へバトンタッチしました。
戴正呉氏は会長継続なので、当面は大きな方針の見直しは無いものと思われます。
直近では、一度手放した「堺ディスプレイ」を買い戻す事を決定しました。
経営危機の時の負の遺産を、1歩ずつ解決しつつあります。
現在は、自社ブランド事業で7%の営業利益を目指しています。
今後この目標が達成できれば、株価は上昇する見込みです。
(21年度の全体の営業利益が4%)
シャープは、経営が安定しました。
しかし以前のように大博打で、莫大な利益を上げる事も難しくなりました。
現時点では、大きな成長の見通しが見えないので、敢えて手を出す必要は無いと感じております。
まとめ:シャープの株価がひどい理由【株価はなぜ下がるのか?】
本記事のまとめです。
・経営危機時の株価があまりにも割高だった(投機目当て)
・経営再建中も、業績回復期待で株価が上昇していた
・経営が安定した事で、投機目当ての買いが無くなり株価が下落している
シャープは、経営危機を乗り越えました。
しかし、経営が安定した事で逆に株価が下がる皮肉な状況となっております。
経営が安定したシャープが、今後業績を伸ばせるのか注目していきたいと思います。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました!
Twitterもやっているので、そちらも是非フォローお願いいたします。
コメント