この記事では、SBIホールディングスの株価が下落している理由を解説しています
最近、SBIホールディングスの株価が下落傾向にあります。
直近の業績は好調にも関わらず、なぜか株価は冴えません。
なんでこんなに株価が下がっているのか、疑問に思っている方も多いと思います。
そこで本記事では、SBIホールディングスの株価がなぜ下落しているのかを解説していきます。
SBIへの投資を検討している方に役立つ情報をお届けします。
SBIホールディングスの株価はなぜ下落しているのか詳しく解説
SBIホールディングスの株価が下落している要因を3つ挙げました。
・2021年度決算の大幅利益増は一時的要因
・リミックスとの提携を嫌気(仮想通貨暴落、価値に見合わない投資)
・新生銀行とのシナジー効果に疑問視(公的資金肩代わり)
直近の買収・提携のシナジー効果が疑問しされています。
今後SBIグループは、提携した企業の収益を向上させることが出来るかがポイントとなりそうです。
2021年度決算は一時的要因
2021年度のSBIホールディングスの決算は、過去最高の数字を叩き出しました。
純利益が4倍以上の跳ねています。
この数字だけみると、株価は大きく上がりそうです。
ですが実際は、株価は逆に下落傾向にあります。
どうしてこんな利益を出したのに、株価は上がらないのかな?
その答えは、新生銀行の買収にあります。
新生銀行の買収によって、負ののれん益が発生しており、それが利益を押し上げました。
負ののれんは、買収される企業の純資産を下回る対価でM&Aが成立したときの、純資産との差額です。負ののれんは、発生した期に特別利益として会計処理します。
【出典】Money Forward_負ののれんの発生原因から仕訳、会計処理など解説
具体的に新生銀行の買収による特別利益は、2,638億円にも登りました。
21年度のトータルの純利益が3,668億円でしたので、利益の大半が「負ののれん益」だった事がわかります。
逆に言うと、負ののれん益がなければ、純利益は昨年度よりも減っているのです。
あくまで利益は一時的なものであり、今回の利益が続くわけではありません。
こうした背景があり、決算で過去最高の利益を出したのにも関わらず株価は反応しなかったのです。
リミックスとの提携を嫌気
SBIホールディングスは、2022年5月にリミックスポイントとの事業提携を発表しました。
当社は本日付で、株式会社リミックスポイント(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:小田玄紀、以下「リミックスポイント」)と資本業務提携契約を締結しましたので、以下のとおりお知らせします。
【出典】SBIホールディングス_株式会社リミックスポイントとの資本業務提携に関するお知らせ
リミックスポイントは、エネルギー事業や仮想通貨事業を行う企業です。
リミックスポイントとの提携を通じて、仮想通貨事業の強化を図る目的がありました。
しかし買収を発表した時期は、仮想通貨市場が大きく下落しているタイミングでもありました。
ステーブルコインとして一時期トップ10の規模を誇ったUSTが、暴落する事件がありました。
その影響で、仮想通貨市場全体が暴落しました。
更にアメリカの金融引締めの影響で、仮想通貨市場から投機資金が流出しました。
その結果、仮想通貨はピーク時と比べ売買代金が大きく減少しました。
アメリカの大手仮想通貨取引所のコインベースは、2022年1月~3月で初の赤字を出すなど、仮想通貨を手掛ける企業も苦しい状況となっています。
米暗号資産(仮想通貨)業界の最大手、コインベース・グローバルが10日発表した2022年1~3月期決算は、最終損益が4億2965万ドル(約560億円)の赤字(前年同期は7億7146万ドルの黒字)だった。
【出典】日本経済新聞_米仮想通貨大手コインベース1~3月、上場後初の赤字に
こうしたタイミングでリミックスポイントと提携した事を市場は嫌気しました。
その結果、提携発表以降、株価は続落しました。
そもそもリミックスポイントは、経営が厳しい状況が続いていました。
過去には、子会社のビットポイントが仮想通貨流出事件を起こしたことで特損を出し、資金繰りにも苦しんでいました。
経営が安定していないリミックスポイントへ、125億円も投資する事に価値が無いと市場は判断した可能性もありそうです。
このように、今後経営が苦しくなる事が予想されるリミックスと手を組む事を市場は嫌気し、株価が大きく下がりました。
新生銀行とのシナジー効果に疑問視
SBIホールディングスは、新生銀行への敵対的買収を行いました。
この買収は各種ニュースでも大きく取り上げられました。
最終的には、大株主である政府の判断で、SBIの傘下に入ることが決定しました。
SBIホールディングスは、地方銀行・新生銀行を束ね、新たなビジネスの創出を考えています。
しかし投資家や専門家は、SBIと新生銀行のシナジー効果を疑問視しています。
更に新生銀行の買収によって、SBIは約3,500億円の公的資金=借金を抱える事になります。
現時点では、SBIも公的資金の返済の道筋を明らかにしていません。
今後新生銀行とのシナジーを発揮し、借金を返済できるのか?
こうした背景から、株価は低迷しております。
SBIホールディングス株価の今後の見通し【今後も下落するの?】
では、SBIホールディングスの株価は、今後はどうなるのでしょうか?
・今後仮想通貨は冬の時代に入り、当面仮想通貨で稼ぐのは難しくなる
・株式市場も低迷が予想される
・コングロマリット特有の低PERであり株価は割安
短期的には、SBIホールディングスには逆風が吹く事が予想されます。
ですがかなり割安感があるので、大コケしなければ買いかなと思っています。
2022年度1Q実績が赤字決算
2022年度1Q決算で、SBIホールディングスは純利益が赤字に転落しました。
昨年の1Qは、EPS:118.37円でしたが、今年度は一気に赤字に転落しています。
株も仮想通貨も冬の時代に
現在、世界的に金利の引き上げによる金融引締めが進んでいます。
その結果、株価は大きく下落しています。
今後は、金利上昇による需要後退によって「リセッション=景気後退」が来るという予想もあります。
景気が悪くなると、SBIの主要事業である株も仮想通貨も苦しくなる事が予想されます。
実際SBIは、決算説明で「今後は銀行業による利ざやを稼ぐビジネスモデルへ注力する」事を発表しています。
金利上昇局面を見据え、銀行分野およびノンバンク分野へ経営資源を傾斜配分し、収益力を徹底強化
【出典】SBIホールディングス_2022年3月決算説明資料_2023年3月期の事業展望
今までのように、順調な右肩が上がりの決算を出すことは難しくなるかもしれません。
※追記
2022年1Q実績で、SBIホールディングスは仮想通貨部門で「96億円の損失」を出しました。
仮想通貨が冬の時代を迎え、暗号通貨事業が足を引っ張っている状況です。
コングロマリット特有の低PERであり比較的割安
SBIは、国内外多種多様な事業を展開しております。
こうした多様な事業を展開するビジネスモデルを「コングロマリット」と呼びます。
こうしたコングロマリット企業は、実力よりも割安に評価されやすい傾向があります。
(これをコングロマリットディスカウントと呼びます)
実際SBIホールディングスは、2020年度ベースではPER10倍未満と割安に見えます。
事業全体として2020年度レベルの利益を出せれば、配当金を維持することは出来るのではと予想します。
2020年度レベルの利益を維持できると判断できれば、投資判断としては買いといえるかもしれません。
まとめ:SBIホールディングスの株価はなぜ下落してるのか?
SBIホールディングスの株価が下落している理由まとめです。
・2021年度決算の大幅利益増は一時的要因
・リミックスとの提携を嫌気(仮想通貨暴落、価値に見合わない投資)
・新生銀行とのシナジー効果に疑問視(公的資金肩代わり)
SBIは、現在高配当化しております。
高配当なので、つい買いたくなりますよね。
でも高配当になっているのには、それなりの理由があります。
投資をする時は、上記リスクを理解した上で投資するように致しましょう。
尚、本記事は個人の見解を述べたもので、投資を推奨するものではありません。
投資は自己責任にてお願い致します。
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