こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
最近になって、高配当株の株価が急上昇しています。
上記チャートは、日経平均の高配当株を集めたETFの価格推移です。
ご覧の通り、2022年末より株価が大きく上昇しております。
日本の高配当株の株価がここまで上がるのは、近年見たことがありません。
まるでアメリカ株みたいな、見事な上昇っぷりです。
でも、どうして最近になって高配当株がここまで評価されているのでしょうか?
そこで今回は、高配当株の株価が上昇している理由を解説していきます。
【株価上がりすぎ】高配当株がすごい!株価が上昇している理由を解説
高配当株の株価が上昇している理由をまとめました。
・日銀の金融緩和継続見通し
・PBR1倍割是正
・景気後退見通しでグロース銘柄からバリュー銘柄へ資金が移動している
・インフレの加速・定着
最近の高配当銘柄は、上記4つの要因で高騰しております。
詳しく解説します。
日銀の金融緩和継続見通し
2023年3月で日銀の黒田総裁が任期満了で辞任します。
黒田総裁は、黒田バズーカと呼ばれる異次元の金融緩和を行いました。
しかし、異次元の金融緩和は弊害も招いています。
日銀が設定しているイールドカーブコントロール(YCC)は、直近のインフレ圧力によって上限超えが頻発しています。
その結果、日銀が大量の国債を購入しており、債券市場が機能しなくなっています。
こうした状況から、次の植田総裁になると「金融引き締めを行うのでは?」という見方が出ておりました。
しかし、植田総裁への初心聴取では、しばらくの間は現行の体制を維持する見通しであることが明らかになりました。
日銀の大規模な金融緩和について「さまざまな副作用が生じているが、経済・物価情勢を踏まえると、2%の物価安定目標の実現にとって必要かつ適切な手法であると思う。これまで日銀が実施してきた金融緩和の成果をしっかりと継承し、積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたい」と決意を示しました。
【出典】NHK_【詳しく】日銀総裁候補 植田和男氏らに所信聴取
こうした見通しを受け、市場では安心感が広がりました。
米国株は金融引き締めによって株価は低迷していますが、日本株はこうした楽観見通しから株価は上昇傾向にあるのです。
PBR1倍割是正の動き
2023年2月に東京証券取引所は、上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の促進に向けた要請」を行いました。
その中で、PBR1倍未満の企業に対して特に強い対応を求める内容となっております。
特にPBRが1倍を割れている場合には、市況の悪化など一時的な影響によるものである場合を除き、十分な対応が求められる
【出典】東京証券取引所資本コストや株価を意識した経営の促進に向けた要請
PBRとは「1株当たり純資産の何倍まで買われているか」を示す指標です。
PBR1倍とは「株価=純資産」となります。
PBRをみることで、企業の割安さを測る事ができます。
そしてPBR1倍割れとは、企業の純資産よりも株価が低い状態を意味します。
日本には、こうしたPBR1倍割れの企業が多くあります。
しかし通常はPBR1倍を割れは、企業の価値が「本来の価値より低く評価されている可能性が高い」ことを意味します。
(企業が解散して、今の純資産を株主に配分した方が良い状態となっている)
「企業は割安な状態を放置するな。もっと株主還元など、株価上昇のために努力しろ」
東京証券取引所は、こうしたメッセージを発しているのです。
この発表により、今後PBR1倍割れの企業の株価が上がるのでは?という思惑で、株価が大きく上昇しています。
特に高配当銘柄は、PBR1倍割れの企業が多かったため、特に株価が上がっております。
実際に「PBR1倍割れを改善する」と発表する企業も出てきております。
PBR1倍割れが多い高配当銘柄は、こうした動きによって株価が上昇しているのです。
景気後退見通しでグロース銘柄からバリュー銘柄へ資金が移動
2022年以降、世界的に景気後退の足音が聞こえております。
・欧米:歴史的インフレを抑えるため、急速なペースで利上げを実施
・中国:不動産バブル崩壊など、経済が悪化
欧米は、急速なペースで利上げを進めています。
金利を上げると、経済活動が冷え込みます。
こうした動きから株式市場では、資金をグロース株からバリュー銘柄へ移す動きが進んでいます。
バリュー銘柄は、配当を出す銘柄が多いです。
そして配当を出す企業は、配当が株価を下支えするので、グロース銘柄と比べて株価が下がりにくいという特徴があります。
日本市場でも、この動きが進んでいます。
グロース銘柄が多いナスダック(グロース)市場は低迷している一方で、相対的に割安なバリュー銘柄=高配当銘柄に買いが集まっています。
インフレの加速・定着
日本でも2022年以降、インフレが加速しています。
消費者物価指数は、41年振りの高い数値となっております。
インフレが進むということは、現金の価値が低下することを意味します。
一方で「不動産、株式」は、企業や土地の価値は変わらないので、インフレに強い傾向があります。
日銀は、金融緩和を当面続ける意向を示しております。
そのため、インフレが長期化するのではないかという懸念もあります。
(企業の賃金もアップする動きが出てきており、インフレが定着化する可能性も出ています)
こうしたインフレ傾向も株価の上昇に寄与する一因となっております。
まとめ:高配当株がすごい!株価が上昇している理由
高配当株の株価が上昇している理由まとめです。
・日銀の金融緩和継続見通し
・PBR1倍割是正
・景気後退見通しでグロース銘柄からバリュー銘柄へ資金が移動している
・インフレの加速・定着
株価が急上昇すると焦ってしまうかもしれません。
ですが、割高なタイミングで買ってしまうと、長期間含み損を抱える可能性もあります。
株価の上昇に惑わされず、自分が納得できる価格で購入していくことが大切です。
この記事が株価の分析の参考になれば幸いです。
なお本記事は、著者の意見をまとめたものであり、投資を推奨するものではありませんのでご注意下さい。
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