こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
今日は、PBR1倍割れ企業への投資戦略を解説していきます。
先日こんなニュースが流れました。
東証、PBR1倍割れ1800社に改善策の開示を要請https://t.co/WUkcO8MxKu
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) March 30, 2023
東京証券取引所では、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対して、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求めています。
現在、約1800社が1倍割れの状況にありますが、これらの企業に資本コストや株価を意識した経営を定着させる狙いがあります。
この記事では、PBR1倍割れ企業への投資戦略として、自社株買いと配当増に注目する方法を解説します。
PBR1倍割れ企業への投資戦略【どんな株を買えば良いの?】
結論として、財務余力があり配当性向が低い企業へ先行して投資する価値があると考えられます。
詳しく解説していきます。
PBRの基本: 株価純資産倍率を理解する
PBR(株価純資産倍率)は、企業の株価が純資産に対して適正かどうかを評価する指標で、投資家にとって重要な情報となります。
PBRは「株価÷1株当たりの純資産」で表され、株価よりもBPS(1株当たり純資産)の方が高いと、PBRは1倍を下回ることになります。
例1)株価1,000円、BPS500円の企業のPBRは「2倍」
例2)株価1,000円、BPS1,000円の企業のPBRは「1倍」
PBRが1倍を下回る場合、株価が純資産に対して割安とみなされることが多く、投資家が注目するポイントとなります。
一方PBRが高い場合は、株価が過剰とされることがあります。
今回、東京証券取引所はPBR1倍割れの企業に対して、改善策を要求しております。
PBRを上げる方法: 純資産の減少と株価の上昇
PBR(株価純資産倍率)を上げる方法は、純資産を減らすか、株価を上げるかの2つのアプローチがあります。
・純資産を減らす(自社株買い・増配)
・株価を上げる(売上・利益増加)
純資産を減らすアプローチ
純資産を減らす方法として、自社株買いや配当増を検討することができます。
自社株買いは、企業が自己株式を市場で買い戻すことで、純資産を減らす効果があります。
配当増は、企業が株主に対して高額な配当を支払うことで、純資産を減らす効果があります。
これにより、PBRが上昇することが期待できます。
また理屈上は、減損をしても純利益を下げる事ができます。
PBRは株価を純資産で割った値なので、純資産が減少すれば、PBRは理論上上昇する可能性があります。
ただし、減損を行ったことで企業の資産価値が下がるため、投資家が企業に対してネガティブな評価をする可能性もあります。
この場合、株価も下落することが予想され、結果的にPBRが上昇しないこともありえるので注意が必要です。
株価を上げるアプローチ
一方で、株価を上げる方法としては「企業の業績向上」が最も直接的な要因となります。
売上や利益の増加が株価にポジティブな影響を与えるため、これを実現する経営戦略の展開が重要です。
さらに、投資家に対する適切な情報開示や株主価値の向上に取り組むことで、市場からの評価を高め、株価を上昇させることが可能です。
以上の方法により、PBRを上げることができます。
ただし、PBRの改善が必ずしも株価上昇を保証するわけではないため、その他のファクターも考慮して投資判断を行うことが重要です。
短期的なPBR改善策: 自社株買いと配当増
東証の改善要求に対応するために、経営者はどのような対応を取れば良いのでしょうか?
これまで説明したように、PBR改善策には「株価を上げるか、純資産を下げる」のが適切です。
この中で、短期的にPBR改善に効果があるのは「自社株買いと配当増」です。
自社株買いは、企業が自己株式を市場で買い戻す取り組みです。
これにより、株式数が減少し1株当たりの純資産が増えるため、PBRが上昇します。
また、自社株買いによって株価がサポートされることが期待されるため、株価の上昇も促されることがあります。
一方、配当増は企業が株主に対して高額な配当を支払うことで、純資産が減少します。
その結果、PBRが上昇することが期待できます。
高配当を求める投資家にとって魅力的な銘柄となり、株価の上昇にも寄与することがあります。
先行投資の価値: 自社株買いと増配を発表する企業を見極める
一方で、全ての企業が自社株買いと増配ができる訳ではありません。
そのためPBR1倍割れ企業の中でも、自社株買い&増配が期待できる企業へ投資する姿勢が大切です。
具体的に見るべき指標は、以下の2つです。
・財務が健全な企業(自己資本比率が高い企業)
・業績が安定しており、配当性向に余力がある企業
財務余力がある企業は、自己資本比率が高く安定した業績を持っていることが多いです。
これらの企業は、自社株買いを実施する余裕がありPBRの改善や株価の上昇が期待できます。
財務余力を評価する際には、自己資本比率や流動比率などの指標を参考にすると良いでしょう。
一方で配当性向が低い企業は、利益をより多く再投資に充てていると考えられ、今後の成長が期待できます。
また配当性向が低い企業は、将来的に配当を増やす余地があるとされ株価の上昇が期待できることがあります。
PBR1倍割れ企業の中で、財務余力があり配当性向が低い企業を見つけることで、自社株買いや増配の可能性が高い銘柄に投資するチャンスを得ることができます。
まとめ:自社株買いと増配を発表する企業を見極める
本記事のまとめです。
PBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業は、株価が純資産に対して割安とされることが多く、投資家にとって注目の対象です。
その中でも、短期的なPBR改善策として自社株買いや配当増が期待できる企業に先行して投資することで、投資価値が高まる可能性があります。
財務余力があり自己資本比率が高い企業は、自社株買いを実施しやすく、これによってPBRが上昇し株価の上昇も期待できます。
また配当性向が低い企業は、将来的に配当を増やす余地があり、株価上昇が期待できることがあります。
自社株買いや増配を発表する企業を先行して投資する価値があると考えられますが、投資判断を行う際には、業績や業界動向など他の要因も考慮することが重要です。
また、PBRを上げる方法として純資産の減少と株価の上昇があるため、これらの要素を総合的に評価して投資先を選定することが求められます。
最終的には、企業の財務状況や株主構成を把握し、適切な投資戦略を立てることで、先行投資の価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
この記事が、PBR1株割れ企業の投資分析の参考になれば幸いです。
なお本記事は、著者の考えをまとめたものであり、投資を推奨するものではありませんのでご注意下さい。
また、Twitterもやっていますので、是非そちらもフォローお願い致します!
コメント
自社株買いは、企業が自己株式を市場で買い戻す取り組みです。
これにより、株式数が減少し1株当たりの純資産が増えるため、PBRが上昇します。
上記についてですが自社株買いによって1株当たりの純資産が増えたらPBRは低下しませんでしょうか?
株価の上昇や純資産が減ることでPBRが上昇することは理解できました。
コメントありがとうございます!ご指摘の通り、利益剰余金が減らない場合はPBRは上昇するかと思います。説明不足でした、ありがとうございます!