こんにちは、コロスケです。
今日は古河電工と米国Superior Essex社が、巻線事業の合弁会社を設立したニュースについてまとめていきます。
2019年9月26日に古河電工と米国 Superior Essex社との巻線事業の合弁会社設立および古河電工の太物巻線事業等の合弁会社への譲渡が発表されました。
元々古河電工の巻線事業はEssex社と連携を深めていたのですが、今回それを加速させています。
今回の事業再編はどのような意味を持つのでしょうか。
古河電工の巻線事業再編について、資材歴10年の現役資材部員の僕が以下のポイントを分かりやすく解説していきます。
・今回の巻線事業合弁の概要が知りたい
・合併の背景が知りたい
・今後の国内の販売体制はどうなるのか知りたい
◆巻線の歴史が知りたい方は以下の記事をご覧下さい
古河電工、Essexと巻線事業の合弁会社設立【マグネットワイヤー】
今回の記事の結論です。
・古河の太物巻線・PIT事業が合弁の対象となる
・2020年4月から、太物巻線・PIT事業は新会社からの販売となる
・合弁の背景は、EV向けの巻線需要増への対応
・合弁会社はEssexの意向が強くなるので、今後の調達環境に注意が必要
今回の巻線事業再編は、電気自動車(EV)需要の急速な拡大に対応するための積極的な動きと言えます。
一方、米国Essexとの合弁により今後注意すべき点もあるので、詳しく解説していきます。
古河電工とEssexと巻線事業の合弁の概要
2社の合弁会社は2020年4月よりスタートする見込みです。
この合弁ですが、古河の巻線事業全てが合弁の対象となっていないことに注意が必要です。
具体的な合弁の対象事業は以下の通りです。
・Essex社の巻線事業および米国ワニス事業
・古河の太物巻線事業・PIT事業(細物巻線事業・TEX事業・SUS鋼線事業を除く)
今回の合弁の対象は太物巻線事業とPIT事業のみです。
細物巻線などは、従来通り古河電工の事業として継続することになっています。
尚両社の持ち分比率は、古河電工39%、Essex61%となります。
古河電工のプレスリリースにイメージ図が載っていたので、参考までにご紹介致します。
古河電工の国内営業体制
古河電工の全ての巻線事業が合弁の対象ではないため、今後は販売は以下の通りになります。
・太物巻線事業・PIT事業:合弁会社から販売
・細物巻線事業・TEX事業・SUS鋼線事業: 古河電工から販売
細線と太線両方を購入している場合は、今後細線は古河電工から、太線は新会社から購入することになり、少しややこしいことになりそうです。
また販売会社経由で購入している場合は、今後も同じ販売会社経由での購入となる見込みです。
古河とEssexの合弁の背景
現在巻線業界は100年に一度の変革の時代と言われています。
その理由はEV、電気自動車の存在です。
EV化により車載用のモーターの向けの巻線需要が急速に伸びてきています。
現在、巻線メーカーはEV向けのシェア争いが激しくなってきております。
古河電工はEV向け需要獲得のため、Essexと連携することを決断しております。
Essexと連携することの相乗効果は以下の通りです。
古河電工の技術力 × Essexの供給能力
古河電工には巻線の絶縁など技術力が高いと言われておりますが、地産地消のビジネスである巻線を世界各国に供給する能力を持ち合わせておりません。
一方Essexは世界各国に12の製造拠点を有しており、Essexの製造力を生かして供給量を短期間に拡大することが可能になりました。
Essex社は信頼できる長年のパートナーであると同時に、欧米顧客の知名度が高く、世界に米国・中国を含む12の製造拠点を有する世界最大のエナメル線メーカーです。当社対象事業にかかる当社の経営資源は限られておりますが、本件取引により自社単独では実現できない時間軸で、当社で培った技術・製品を世界各地のお客様に届けることが可能になります。
https://www.furukawa.co.jp/release/2019/ele_190926.html
古河とEssexの合弁を受け、購入者がすべきことは何か?
今回の古河とEssexの合弁を受けて、購入側である資材調達・設計部門がすべきことは以下の2つです。
手配先の変更手続き(直取引の場合)
合弁会社へ移管される事業は、2020年4月からは新会社からの購入となります。
資材調達・購買部門は、新会社の口座開設手続きや調達先変更の手続きを行う必要がでてきます。
BCP対策
今後、新会社はEssexの意向が強く働くようになります(Essexの持ち分比率61%)。
そのため従来、生産していた品種であっても採算が悪い線種の値上げや廃番など調達環境の悪化が想定されます。
特にこの合弁会社は車載向け事業に注力することを明確に打ち出しているので、車載以外の事業では特に注意が必要です。
今後は、新会社との関係構築や、他社の巻線を認定するなど、BCP対策を進めていく必要があります。
まとめ
本記事のまとめです。
・EV需要拡大に対応する目的で古河電工とEssexが巻線事業で合弁
・合弁の対象は、太物巻線事業・PIT事業
・今後はEssexの影響力が強くなることから、値上げや廃番に備える必要がある
・また直取引している場合は手配先の変更が必要となる
巻線事業は100年に一度の大きな変革の時代を迎えています。
EV需要を軸とした業界再編は今後も進む可能性があります。
調達環境の変化に対応できるようBCP対策や新会社との関係構築を進めていきましょう。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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