こんにちは、コロスケ(Twitter)です。
この記事では、協和キリンの株価が下落している理由を解説しています。
最近になって協和キリンの株価が急落しています。
1年前と比べて株価は28%ほど下落しております。
今回は「なぜ協和キリンの株価が下落しているのか」その理由を詳しく解説していきます。
協和キリンの株価が下落している理由を解説|パイプラインの薄さが課題
協和キリンの株価が下落している理由をまとめました。
・主力の日本市場の低迷
・Crysvitaにたよる事業構造
・主要パイプライン2件の開発中止
・グローバルでの後期開発パイプラインの薄さ
安定的な利益を出している協和キリンですが、直近では将来的な収益の懸念から株価が下落傾向にあります。
主力の日本市場の低迷
協和キリンは、グローバルに事業を展開しております。
地域別売上比率を見ると、日本・北米・EMEA(欧州・中東・アフリカ)・アジアと、全世界で売上を上げている事が分かります。
その中でも日本市場は、売上比率が最も高い地域となっております。
一方で、その日本市場の売上が近年低下しています。
このように売上が年々減っているのには、3つの理由があります。
・薬価基準引下げの影響
・特許満了となった腎性貧血治療剤ネスプの売上減
・競合の激化
日本市場では、毎年薬価基準の引き下げが行われています。
そのため製薬会社の販売価格は、定期的に引き下げられる構造となっています。
また特許満了となった腎性貧血治療剤ネスプについては、ジェネリックへの置き換えにより売上が減少しています。
このように主力の日本市場が低調であることが、株価下落の1つの要因となっています。
Crysvita頼みの事業構造
協和キリンは、グローバル戦略として「Crysvita、Poteligeo、Nourianz」の3つを主力製品の売上を伸ばす事を目標にしています。
現在の協和キリンは、グローバル戦略3品の内「Crysvita」が稼ぎ頭になっています。
このようにCrysvitaが毎年成長しており、協和キリンの成長を支える原動力となっていることが分かります。
一方で会社のポートフォリオ的には「Crysvita一本足」とも言えます。
協和キリンだけではなく、創薬を行う多くの企業は特定の稼ぎ頭が会社全体の売上を牽引する傾向があります。
新薬は、将来的には特許切れによる売上減が確定しています。
(Crysvitaは2032年頃に特許切れとなる見込み)
将来的に売上・利益を伸ばしていくためには、Crysvita以外の稼ぎ頭を見つける必要があります。
主要パイプライン2件の開発中止
協和キリンは、2023年に2つのパイプライン(開発品)の開発中止を発表しました。
この発表により、2023年12月期の決算見通しも下方修正されました。
2つの主要開発品の開発が中止となったことで、今後の協和キリンの売上増へ疑念が生じたことから株価は大きく下落しました。
グローバル観点での後期開発パイプラインの薄さ
今回2つのパイプラインが開発中止となったことで、後期開発パイプラインが少なくなりました。
後期開発パイプラインの少なさが、協和キリンの大きな課題となっています。
昨年KW-6356 と ME-401 のグローバル開発を中止しましたので、グローバル観点でいって後期の開発パイプラインの薄さは、とても大きな課題になっています。
【出典】協和キリン2022年度本決算説明会_質疑応答
今後の売上の柱を作るために、現在協和キリンは「企業買収(M&A)」を検討しております。
財務状況も良好で手元資金に余裕があるので、企業買収は有力な選択肢となっています。
ただ2023年10月時点では、買収の発表はなされておりません。
企業買収によって、今後の売上増の見通しが立たない限り、協和キリンの株価の低迷が続く可能性があります。
(買収の内容によっては、逆に買収が株価下落となる可能性もあり得ます)
協和キリンの株価が下落している理由
協和キリンの株価が急落している理由まとめです。
・主力の日本市場の低迷
・Crysvitaにたよる事業構造
・主要パイプライン2件の開発中止
・グローバルでの後期開発パイプラインの薄さ
協和キリンは、自己資本比率が高く業績も安定している優良企業です。
しかし上記要因によって、直近は株価が大きく下落しております。
この記事が協和キリンの企業分析の参考になれば幸いです。
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