この記事では、楽天の株価はなぜ安いのか?今後どうなるか?を解説しています。
楽天ってなんで株価が低迷しているのかな?
こんな疑問に答えます。
楽天の株価は、長期に渡って低迷しています。
楽天は、売上を右肩上がりに伸ばしています。
にも関わらず、株価が全く伸びていないのは不思議ですよね。
そこで本記事では、「楽天グループの株価が何故安いのか?」を解説していきます。
楽天への投資を検討している方に、役立つ情報をお届けします。
楽天グループの株価はなぜ安いのか?【株価は今後どうなるか解説】
楽天グループの株価が低迷している理由は、以下の4つです。
・楽天モバイルのキャリア戦略が失敗している(現在進行中)
・楽天経済圏の魅力が減少している(改悪祭り)
・国内メインのビジネスには限界があるから
楽天は新事業へ、巨額の投資を続けております。
一方でその投資戦略に疑問符がついていることから、株価は低迷しています。
以降では、株価が安い原因を深堀りしていきます。
楽天モバイルのキャリア戦略が失敗しているから
楽天は、2017年に携帯キャリア事業への新規参入を発表しました。
当社は、本日開催の取締役会において、携帯キャリア事業への新規参入を目指すことについて決議しましたので、お知らせします。
【出典】楽天株式会社_携帯キャリア事業への新規参入表明に関するお知らせ
携帯キャリアは、「NTT・KDDI・ソフトバンク」の3社が独占する寡占市場でした。
楽天は、その独占市場に殴り込みをかけました。
しかし、携帯キャリア事業を進めるためには、全国に基地局を立てる必要があります。
ゼロから事業を始めた楽天は、現在基地局建設を急ピッチで進めています。
その影響で、楽天は巨額の設備投資費用がかかっております。
更に、顧客の囲い込みのために「無料キャンペーン」も行いました。(2021年に終了)
その結果、楽天のモバイル事業は巨額の赤字を垂れ流しています。
このように、毎年赤字が増えています。
最近では、売上額よりも赤字額の方が大きくなっています。
この赤字は、モバイル事業を育てるための先行投資です。
ですが、将来の見通しも厳しくなってきています。
元々、高止まりしている通信費であれば、勝ち目があると考えていたのだと思います。
(割安なキャリアとして、一定の地位を確保)
しかし「ahamo・povo・linemo」の参戦で、一気に通信費は下落しました。
その結果、楽天の価格は、大手3社と変わらない値段になってしまいました。
楽天の競争優位性は、価格の安さでした。
しかし、大手の値下げにより競争優位性が完全に崩れております。
現在、楽天は基地局投資を積極的に進めています。
ですが、その投資が報われない可能性が高いことから、株価は低迷しているのです。
楽天経済圏の魅力が減少している(改悪祭り)
楽天の一番の強みは、多様なラインナップを揃えていることです。
楽天経済圏と呼ばれており、顧客を囲い込む仕組みが構築されています。
ですが、最近の楽天経済圏で「サービスの改悪」が続いています。
・楽天ゴールドカードのポイント付与廃止
・楽天TV契約者へのポイント付与廃止
・楽天でんきへのポイント付与廃止
・ポイントが「税込み価格」から「税抜き価格」へ付与に改悪(ポイント10%減)
こんな感じで、ポイント還元率が悪くなっています。
改悪が続くのは、経営状態が悪化しているからです。
モバイルへの投資で赤字になり、ポイント還元をする余力がありません。
加えて、Dショッピング、aupayマーケットなど、ライバルの攻勢にもさらされています。
今後、楽天経済圏からの離脱が進む可能性があります。
このように楽天の見通しが厳しくなっていることが、株価の低迷につながっています。
国内メインのビジネスには限界がある(海外の失敗)
国内では圧倒的な力を誇る楽天ですが、実は海外展開がうまくいっていません。
2010年、楽天は海外戦略を強化する事を発表しました。
楽天(4755)は30日、国際事業戦略説明会を開いた。現在はアメリカや中国、フランスなど6カ国に進出しているが、27カ国の国や地域に拡大する。世界での流通総額20兆円、取扱高に占める海外の比率7割を目指す。
【出典】日本経済新聞_楽天、海外戦略を強化 27カ国に進出へ
その6年後の2016年、楽天は海外事業の見直しを発表しました。
楽天が海外事業の本格的な取捨選択に踏み出す。(中略)
アジアに続いて、欧州でも大ナタを振るったことで、10カ国・地域以上に進出したECモール事業の海外拠点は、台湾や米国と合わせて、5カ国・地域まで縮小。海外は、これまでの先行投資を伴う拡大路線から一転、米EC支援子会社のイーベイツなどを軸に、着実に収益貢献できる体質への変換を急ぐことが鮮明になった。
【出典】東洋経済ONLINE_楽天、海外事業立て直しで問われる真の底力
更に2020年には、300億円近い金額で買収したBUY.COM(買収後Rakutenに社名変更)を閉鎖しました。
楽天が、かつてBuy.comの名で知られていた米国のマーケットプレイスストアを閉鎖し今後の2カ月経営を縮小していくことをTechCrunchは確認した。
【出典】TechCrunch_楽天がマーケットプレイス事業を閉鎖へ、2010年に買収したBuy.comが前身
このように、楽天は海外事業で苦戦しています。
一方で、楽天三木谷社長自身が述べていますが、今後日本市場は縮小していきます。
売上を長期的に拡大していくためには、海外を伸ばすことは必要不可欠の状況です。
今後縮小していく市場で売上を伸ばせるのか?
今後の成長に疑問符がついていることが、株価の低迷につながっています。
楽天グループの株価は今後どうなる?【なぜ安いままなのか?】
楽天の現状は分かったけど、今後はどうなるのかな?
楽天が今後成長できるかのポイントは、以下の3つです。
・日本郵政との提携を活かせるか?【期待ができそう!】
・楽天モバイルを利益事業にできるか?【赤字脱却が必須】
・国内市場を更に伸ばせるか?【キャッシュレス・フィンテック】
楽天は苦戦していますが、今後も全くダメな訳では無さそうです。
楽天復活の鍵を解説していきます。
日本郵政との提携を活かせるか?【期待できそう】
2021年、楽天と日本郵政は業務提携をすることを発表しました。
日本郵政株式会社と日本郵便株式会社と楽天株式会社は、物流、モバイル、DXなど様々な領域での連携を強化することを目的に、本日、業務提携合意書を締結しました。
【出典】楽天グループ_日本郵政グループと楽天グループ、資本・業務提携に合意
今後、楽天と日本郵政は、以下の分野で協力をして行くことになっています。
・共同の物流拠点の構築
・共同の配送システム及び受取サービスの構築
・郵便局内のイベントスペースを活用した楽天モバイルの申込み等カウンターの設置
・日本郵便の配達網を活用したマーケティング施策の実施
日本郵政との提携は、楽天にとってメリットが大きいです。
楽天は、自社の物流網を構築しようとしていました。
しかし、楽天単独で物流網を構築するのは、困難な状況でした。
その点、日本郵政の物流を活用することで、投資を抑えつつ物流網を構築することが期待できます。
また楽天モバイルの通信網を拡大するためには、基地局の設置が必要です。
日本全国の郵便局に基地局を設置することで、今までよりも簡単に基地局を拡大できるようになりました。
このように日本郵政と提携することで、楽天の経営課題の解決が加速します。
マーケット=株価も、楽天と日本郵政の業務提携を好意的に受け止めています。
個人的にも、楽天にとってメリットが大きい提携かと思います。
今後シナジーが出せれば、利益が戻ってくることも期待できそうです。
楽天モバイルを利益事業にできるか?【赤字脱却が必須】
そして楽天復活の鍵は、モバイルです。
今は、モバイルに巨額の投資をしていることで、赤字が続いています。
ですがモバイルの市況は、極めて厳しいです。
おそらくこのままでは、契約者数も増えず利益も伸びない可能性が高いです。
先程の日本郵政との提携を活かし、極力投資額を抑える政策が必要です。
最低限の投資で、契約者数を増やす取り組みが求められます。
一見、無理ゲー感があります。
ですが、楽天は過去にも同じような苦境を乗り切ってきました。
銀行や証券に参入した時も、色々と言われました。
ですが批判を乗り越え、今では銀行・証券は稼ぎ頭に成長させています。
銀行・証券のように、将来的にモバイルが稼ぎ頭になる可能性もあります。
そうなれば、楽天の成長戦略が加速するはずです。
モバイルの黒字化が可能と考えれるなら、株価が伸びるシナリオも想定できそうです。
国内市場を更に伸ばせるか?【キャッシュレス・フィンテック】
政府は近年、躍起になってキャッシュレス化を進めています。
マイナンバーカード発行時に、キャッシュレス決裁にポイントを付与するなど、キャッシュレスは時代の流れになっています。(2021年に終了)
そして、楽天はキャッシュレス・フィンテックの時代のど真ん中に位置しています。
楽天は、銀行・証券・クレカなど、様々なサービスを取り揃えています。
実際、楽天はクレジットカードの契約者数を更に伸ばしています。
今は若い世代中心の流れですが、全世代にキャッシュレスが広がる可能性もあります。
時代の流れに乗って売上・利益を伸ばせれば、株価の伸びも期待できそうです。
まとめ:楽天の株価はなぜ安いのか?今後どうなるのかを解説
本記事のまとめです。
・楽天はモバイル事業の投資で近年苦戦いることが、株価低迷の要因
・今後日本郵政との提携やフィンテック事業で、売上を伸ばせるかが鍵
楽天は、モバイル事業へ巨額の投資を続けています。
その影響で、近年は赤字が続いております。
一方で日本郵政との提携など、反転攻勢の一手も打っています。
今後モバイル事業を黒字化できれば、株価の上昇も期待できそうです。
尚本記事は、著者の見解をまとめたものであり、投資を推奨するものではありません。
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