こんにちは、コロスケです。
今日は、資材部門が価格低減のためにおこなう「競合」についてまとめていきます。
資材部門における競合とは、取引先間で価格競争を行うことで安価な価格を引き出す手法のことを言います。
要は、「安い方に注文しますよ」と取引先に伝えた上で価格交渉を行うことです。
コストダウンをする上で一番大事なことが、この「取引先間の競争」です。
僕は今までの経験からも取引先間で徹底した競合を行うことが、一番の価格低減の手法であると確信しております。
しかし、最近の調達環境をみると、競合を行える領域が徐々に減ってきているように感じています。
以前はA社とB社とC社で競合が図れたのに、今はA社しか選択肢が無いという状況が増えてきています。
これは市場が寡占化したことが原因です。
僕はこの市場の寡占化をもたらした原因は、購入側(資材調達部門)が行った徹底した競合にあるのではと思うようになりました。
・競合も良いことばかりじゃないってホント?
・市場の寡占化が進んだ原因を知りたい
・資材部員はどうすれば良いの??
上記疑問を資材歴10年の著者が詳しく解説していきます。
競合(取引先同士の競争)を行うことでの資材調達上のリスクを解説
競合を行うことでの調達上のリスクは以下の3つです。
・買い手は得るものが多いが、取引先の利益は削られる
・過当競争が続き、事業撤退や統合に追い込まれる
・値上げ・製品の統廃合が実施される
買い手(資材部門)が短期的なメリット(安価価格)を追い求めることが、長い目で見ると市場の寡占化を招いています。
過当競争によって、事業継続体力を失った企業は、合併・事業撤退を行うので徐々に市場は寡占化していきます。
寡占化した市場では、値上げや製品の統廃合が実施されることが一般的です。
その結果、買い手側は今まで安く購入できたツケを払わされることになります。
最近の市場の激変をみていると、「資材部門は短期的なメリットばかりを追い求めるのではなく、長期的な視点で物事をみるべき」と考えるようになりました。
資材部門は常に競合を図ろうとする
取引先が値段を下げるのは「値下げしないと注文がもらえない」と思う時だけです。
それ以外は自分の利益が下がるので、値下げに応じることは少ないです。
資材部門は、「値下げしないと注文をしない」という状態を作るために「競合状態」を創出しようとします。
競合状態って何?
競合状態とは「A社、B社、どちらにも発注できる状態」のことを言います。
要は資材の判断で発注先を選べる状態のことです。
こうなると、取引先は「値下げしないと注文がもらえない」状態に陥るので、頑張って値下げするようになります。
競合先を発掘しろ!
と偉い人が言うのは、この値下げしやすい環境を作るためなのです。
競争が激しい業界は利益が少ない
競合状態になりやすい業界は、「製品が規格化され、複数の会社が同じ製品を作っている」ことが多いです。
こういう業界は常に競争が激しいので、利益が少ない状態となりやすいです。
・競争が激しいので売っても利益が出ない
・でも売らないと、固定費を賄えない
・なので仕方なく薄利多売で頑張る
・結局利益も出ないし、業界自体が疲弊する
コモディティ化された製品を作っている業界は、どこも疲弊しています。
将来的には資材が困ることになる
資材の目的は「適性な価格で部材を調達する」ことです。
でも何で「安い価格」じゃ無いか知っていますか?
不当に安い価格で調達していると、取引先のビジネスが続かないからです。
赤字の会社は経営を続けられません。
最終的には、生産中止、大幅値上げ、事業撤退など、調達上の問題が起きます。
なんで、値上げばっかり起きる・・・?
最近、取引先からの値上げ要請が増えています。
これは、昔の資材担当社が安くモノを調達し続けたことの反動が来ているからなんです。
過当競争が続くと、いずれ自分たちが困るので、資材調達では「適性な価格」で調達することが求められているのです。
市場の寡占化は、資材部門が競合をしすぎたから
今日本の多くの業界で寡占化が進んでいます。
もちろん日本市場自体が小さくなっているという要因もあります。
しかしもう一つ大きな要因は「資材部門が買い叩き」をしまくったからだと僕は思っています。
資材部門はQCDをバランスを取ることが大切です。
しかし、今までの調達ではC=価格を重視しすぎていた気がします。
その結果、寡占化した市場が生まれてしまい、結局資材部門が苦労することになってしまいました。
それでもコストダウンを行うことは必要
じゃあこれからの資材部門はコストダウンをしない方が良いの?
資材部門にとって、コストダウンは必要不可欠な仕事です。
コストダウンを頑張らない資材部員は、資材部員じゃありません。
例え自分がコストダウンをしなくても、ライバル会社は値下げ交渉を続けます。
自分が損をする結果になるので、おすすめ出来ません。
僕が言いたいのは、「コストダウンは重要、でもやりすぎは良くない」ということです。
そして、「コストダウンの反動=生産中止、業界再編に備えよう!」ということです。
今までは、仕事の100%の時間をコストダウンに注いでいました。
これからはBCPなどの仕事を増やしていくべきです。
コストダウンにばかり注力していると、5年後に痛い目を見ます。
コストダウンはもちろん頑張りつつも、それ以外の調達の安定にも目を向けるべきです。
まとめ:コストダウンの業務比率を少し下げしょう
本記事のまとめです。
・競合のやりすぎが、市場の寡占化・調達難を招いた
・資材部員は、今よりもBCPに業務比率を割り振ろう
競合によるコストダウンは、調達品の値段を下げる最適な手段です。
しかし、やりすぎると生産中止・値上げなど後で困ることが起きやすいです。
今の市場は寡占化が進んでおり、今後より一層調達難になると想像されています。
そうなる前に、BCPを進めていく必要があります。
「コストダウンも大切だけど、BCPのことも考えよう!」
資材調達の業界でも、この考えがもっと浸透してくれると、取引先とよりWIN-WINの関係が築けるのでは無いかと思っています。
このブログ( Corosuke blog)では、僕が働く「資材・購買業務の紹介」や「日々の生産性向上による生活の質UP」「投資を通じた自己実現」などをまとめています。
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