日本製鉄は今後どうなる?つぶれる?|このままではやばい理由を解説

日本製鉄は今後どうなる?つぶれる?|このままではやばい理由を解説株/ETF/投資信託
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この記事では、日本製鉄が今後どうなるのかを解説しています。

      

日本製鉄が今後どうなるのか知りたいな。

     

こんな疑問に答えます。

    

日本製鉄は、売上6兆円を超える日本を代表する鉄鋼メーカーです。

直近は業績が好調であることから、日本製鉄への投資を検討している方も多いと思います。

      

一方で日本製鉄には、大きなリスクがあるって知っていましたか?

安易に投資すると、含み損を抱える結果になるかもしれません。

    

そこで本記事では、日本製鉄は今後どうなるのか?を解説していきます。

日本製鉄への投資を考えている方に、役立つ情報をお届けします。

       

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日本製鉄は今後どうなる?つぶれる?|このままではやばい理由を解説

高炉

     

日本製鉄は、2019年・2020年に赤字に転落しました。

    

     

しかし2021年度は、見事なV字回復を遂げました。

まずは、V字回復した要因を分析していきます。

      

・供給過剰の見直しによる需給均衡化

・紐付き価格の値上げによる採算改善

・固定費削減による損益分岐点の改善

      

日本製鉄は、なりふり構わない構造改革により最悪期を脱する事ができました。

具体的な構造改革の内容を振り返ります。

      

供給過剰の見直しによる需給均衡化

日本の鉄鋼市場は、長らく供給過剰の状態が続いていました。

     

製造業の海外移転、住宅着工件数の減少など、需要が右肩下がりの状況となっています。

一方で供給量は全く変わらない状態だったので、供給過多が常態化していました。

     

【出典】日本製鉄_国内鋼材消費量推移
【出典】日本製鉄_国内鋼材消費量推移

      

上記グラフの通り、ピーク時に94百万トンもあった消費量は、55百万トンへと減少しました。

しかし生産量は100万トンを維持し続けており、輸出で補うとしても明らかに供給過剰な状態であった事が分かります。

      

供給量が過剰だと、買い手が有利な立場になります。

そのため、日本製鉄はこれまでずっと買い叩かれ続けていました。

     

この状態を解消するため、日本製鉄は大規模な設備構造改革を実施しました。

具体的には、以下の通り高炉(鉄を生産する大規模な設備)の停止を行っています。

これにより、生産能力は約20%(年間1,000万t)減少します。

        

【出典】日本製鉄_生産設備構造対策
【出典】日本製鉄_生産設備構造対策

      

高炉の停止など、過剰な供給を見直した事により2021年は供給がタイトになりました。

      

紐付き価格の値上げによる採算改善

高炉停止など供給量の制限を背景に、日本製鉄は紐付き価格の是正に取り組んでいます。

そもそも鉄の販売価格は、以下の2通りの決め方があります。

      

店売り:問屋経由で販売。価格は市況価格をベースに日本製鉄が決める

紐付き:日本製鉄と大手需要家(トヨタなど)が交渉によって決める

      

日本製鉄は、トヨタなどの紐付き価格では「市況価格より安い単価で供給」していました。

従来は日本製鉄は、トヨタに価格交渉で押されっぱなしでした。

   

しかし、経営危機により日本製鉄も本気になりました。

トヨタなどの紐付き価格の「是正=大幅な値上げ」を強行に進めました。

    

その結果、トヨタ向け紐付き価格も大幅な値上げに成功しました。

     

トヨタ自動車は2021年度下期の部品会社に卸す鋼材価格の引き上げを決めた。上げ幅は1トン2万円と10年度以降で最大だ。背景にあるのは値上げで決着した日本製鉄との価格交渉だ。その過程で日鉄は「供給制限」を示し、不快感を強めたトヨタは輸入材などの調達拡大も検討する。価格交渉をリードしてきた両社の間で亀裂が広がっている。

【出典】日本経済新聞_日本製鉄とトヨタ、鋼材値上げ決着 広がる亀裂

    

これにより、日本製鉄の利益はV字回復を果たしました。

     

【グラフ】日本製鉄EPS推移※著者作成
【グラフ】日本製鉄EPS推移※著者作成

      

過去の利益額と比較しても、大きく改善している事が分かります。

    

固定費削減による損益分岐点の改善

製鉄業は、設備産業です。

高炉と呼ばれる巨大な設備を使って、24時間稼働を続けます。

    

日本製鉄の高炉は、稼働から何十年も経ち老朽化が進んでいます。

その結果、固定費がかさみ、景気が少しでも悪化すると経営が苦しくなっていました。

    

現在日本製鉄は、固定費の圧縮に取り組んでいます。

具体的には、利益に貢献しない設備や老朽化した設備の休止を進めています。

     

【出典】日本製鉄_単独鉄事業の損益分岐点の抜本的改善
【出典】日本製鉄_単独鉄事業の損益分岐点の抜本的改善

       

上記グラフの通り、固定費を大きく削減することに成功しています。

固定費が下がると、景気変動にも強くなります。

    

こういった取り組みが、21年度のV字回復へとつながっているのです。

     

日本製鉄は今後どうなる?利益増でもこのままではやばい理由を解説

やばい

      

21年度、日本製鉄はV字回復を達成できました。

しかし、今後の見通しを楽観視するのはまだ早いです。

    

・鉄鋼の需給は、中国の粗鋼生産量次第

・人員をリストラしておらず根本的な改革に踏み込めていない

・日本の鉄鋼需要は今後も減り続ける

     

日本製鉄は、厳しい状況が今後も続きます。

V字回復にあぐらをかくようだと、再び経営はヤバくなる可能性があります。

     

鉄鋼の需給は、中国の粗鋼生産量次第

世界の粗鋼生産量の「約6割」は、中国で作られています。

そのため、中国の動向が鉄鋼の需給バランスに大きな影響を与えます。

   

2021年後半から、中国はオリンピックを意識した「環境規制」が進められました。

その影響で、鉄鋼の生産量が大きく減少しました。

    

【出典】日本製鉄_中国日当たり粗鋼生産推移
【出典】日本製鉄_中国日当たり粗鋼生産推移

      

その結果、鉄鋼の供給がタイトになり、市況価格は大きく上昇しました。

トヨタとの値上げ交渉でも、市況がタイトになった事が有利に働きました。

    

ですが中国が増産に転じると、市況価格は下落していきます。

そうすると、日本製鉄の利益率にもマイナスの影響が出てきます。

    

特に日本製鉄と喧嘩別れとなったトヨタは、今後日本製鉄への発注シェアを減らすことが予想されます。

今の売り手有利の状況が逆転すると、日本製鉄は再び苦しい状況になる可能性が高いのです。

     

現在の鉄鋼市場は、中国の需給動向に大きく依存しています。

鉄の価格も需給動向によって、大きく変動する構造です。

   

つまり外部要因によって、経営状況が大きく変わるという難点は変わっていません。

「自力では安定経営が難しい」という難点を克服しない限り、日本製鉄の土台は安定しないのです。

     

人員をリストラしておらず根本的な改革に踏み込めていない

高炉の停止など設備の見直しを進める日本製鉄ですが、実は「人員」の改革には手をつけていません。

    

例えば、呉製鉄所は2023年に閉鎖される事が決まっています。

現在呉では3,000人ほど働いていますが、工場の閉鎖により半分の1,500人は余剰人員になります。

    

一方で閉鎖にあたって、日本製鉄はリストラをしない事を明言しています。

      

福田副社長は「製鉄事業で培った稀有(けう)な技能を持った社員たちは(引き続き)我々のグループで活躍してもらいたい」と話した。自社の社員は県外への配置転換を進め、協力会社についても他の製鉄所などで新しい仕事ができるよう支援

【出典】日本経済新聞_日鉄幹部、雇用維持を「最大限支援」 呉製鉄所の閉鎖で

     

実際、日本製鉄の従業員は全く減っていません。

    

【グラフ】日本製鉄_連結従業員数推移
【グラフ】日本製鉄_連結従業員数推移 ※有価証券報告書を参考に著者作成

      

せっかく工場をスリム化したのに、余剰人員は全く整理していません。

工場で働く人は嬉しいと思いますが、日本製鉄の競争力という観点では明らかにマイナスです。

      

今後日本製鉄は、海外向け事業を伸ばしていく必要があります。

そしてそこでは、中国・韓国などの大手鉄鋼メーカーと価格競争しなければなりません。

   

グローバルで戦う時に、明らかな余剰人員を抱えている現状は普通に考えてヤバイです。

     

業界は違いますが、大手3社が合併してできた半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスも最初はリストラをしませんでした。

ですが最終的には経営が悪化し、血も涙もないリストラを繰り返す事になりました。

    

今の日本製鉄の判断は、痛みを先送りにしているだけのように思えます。

「人員の整理に踏み込まない限り、日本製鉄が大きく復活する事は無い」と予想しています。

     

日本の鉄鋼需要は、今後も減り続ける

日本は、今後少子高齢化が加速します。

住宅・ビル・自動車など、鉄を使う製品の需要も減り続けていきます。

    

加えて日本は津々浦々に、インフラが整っています。

新興国のようなインフラ需要の伸びも期待できません。

    

つまり今の状況では、日本製鉄はジリ貧です。

10年後には再び高炉の停止など、構造改革をする事になるはずです。

    

日本製鉄が勝つためには、国内の人員・設備を思い切って捨てる必要があります。

そしてリソースを全て海外に振り向ける事が必要です。

    

未だに日本製鉄は、日本で鉄を作って海外に輸出するという事をしています。

ですが普通に考えて、重たい鉄を輸出するのってコスパが悪いですよね。

     

通常原料系は、地産地消が望ましいとされています。

今後鉄鋼需要が伸びる地域に工場を立てor買収し、そこで鉄を作る事にコミットすべきです。

    

このように、日本製鉄は「日本の高炉に余力があるし人が余っているから、日本から輸出する」というマインドから抜け出せていません。

      

21年度V字復活したこのタイミングこそ、更なる構造改革のタイミングです。

日本市場に依存しないビジネスモデルを作らないと、ジリ貧で徐々に潰れていく事になります。

      

まとめ:日本製鉄は今後どうなるのか?潰れないけどヤバイです

本記事のまとめです。

     

・市況の好転&構造改革により、日本製鉄はV字回復!

・しかし、抜本的な解決にはなっておらず、長期的にはジリ貧

・抜本的なリストラをして、海外にリソースを振り向けるべき

     

直近の日本製鉄は、見事なV字回復を遂げました。

売上・利益共に回復し、株価も上昇傾向にあります。

   

ですが、本質的な日本製鉄の経営リスクは何も変わっていません。

経営が悪化する前に、先手で次の1手を打ってほしいと思います。

   

最後まで読んでくれてありがとうございました!

    

     

    

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