この記事では、東邦ガスの株価が暴落している理由を解説しています
東邦ガスの株価が下落傾向にあります。
東邦ガスは、経営が安定しているイメージがあるので、投資を検討している方も多いと思います。
でも最近は株価が暴落しており、安易な投資は危険なのをご存知でしょうか?
身近な企業だからと言って、安易に投資すると大きな含み損となる可能性もあります。
そこで本記事では「東邦ガスの株価はなぜ暴落したのか?」を詳しく解説していきます。
投資を検討している方へ役立つ情報をお届けします。
東邦ガスの株価が暴落!【株価が下落している要因を詳しく分析】
東邦ガスの株価が下落している要因は、以下のとおりです。
・優待バブル終了により株価が下落
・元々の株価が割高過ぎ
・暴落後の価格でも、そこまで割安感は無い
東邦ガスの暴落の一番の要因は、優待バブルがはじけた事にあります。
株価は暴落しましたが、それでも割安感はあまりありません。
暴落=割安と判断すると、思わぬ失敗につながるので要注意です。
詳しく解説していきます。
東邦ガスの経営概況
東邦ガスは、中部圏(愛知県・岐阜県・三重県)を中心に、都市ガス(天然ガス)の製造、供給、販売をしています。
東邦ガスの最近の売上・営業利益推移は、以下のとおりです。
過去9年の推移を見ると、売上・利益は「横ばい・微減」であることが分かります。
ガス代は、原料価格を売価に転嫁できる仕組みがあります。
そのためガス代の市況価格によって、売上高が大きく変わります。
次に、ガスの顧客数とガスの販売量を見ていきます。
ガスメーター取り付け数は、毎年少しずつ伸びています。
三大都市圏の愛知を抱えている事、単身世帯が増えている事が、増加の背景にあると思われます。
一方でガス販売量は、横ばい・やや微減となっております。
2019年以降、コロナの影響で企業活動が制限された事で、ガスの販売量も減っています。
(ガスの販売量の約8割が企業向け)
ガス事業の強みは、原料価格を売価に転嫁できる事です。(原料費調整制)
資源価格の変動リスクを基本的に受けないのは、大きなメリットです。
一方で原料費調整制度にも、デメリットもあります。
・燃料の変動はすぐに価格反映されない(適用ズレが起きる)
・急激な値上げの場合は、全額を売価に転嫁できない(上限)
燃料の価格転嫁には、2ヶ月のズレがあります。
原料の価格をタイムリーに売価に反映できない事で、損をしたり得をしたりする事があります。
また、原料価格の上昇を転嫁できる幅が決まっています。
そのため、全ての値上げを売価に反映できないケースがあります。
原料価格の大幅な上昇時の需要家に対する影響を緩和するために、自動的に調整される幅に一定の上限を設定し、 原料費が高騰しても、需要家料金への反映には一定の抑制をします。
【出典】経済産業省_ガスの原料費調整制度について
経営環境の変化(電力・ガス自由化)
従来、電気・ガスは独占企業によって運営されていました。
しかし、近年電力・ガスの自由化となり、経営環境が大きく変化しております。
【電力自由化】電気の売上増が見込めるため、大きなビジネスチャンス
【ガス自由化】シェアが奪われる可能性があるため、大きなリスク
自由化と聞くと、既存の企業にはマイナスのイメージがあります。
ですが東邦ガスは、電気の自由化以降、電気ビジネスの売上を伸ばしています。
このように右肩上がりで、販売量を増やしている事が分かります。
ガスとのセットで売る方法が、功を奏しているようです。
その結果、2020年度時点で売上の11%が、電気事業となっています。
更に今の所、ガス自由化による経営への影響は無さそうです。
(ガス販売量・決算資料から、競争激化によるマイナス影響の報告は無い)
一方で、電気事業は現時点ではあまり儲かっておりません。
電気事業が利益に貢献するのかが、今後のポイントになるかと思われます。
東邦ガスは優待バブルで割高だった
2016年以降、日本では優待目当ての投資が流行りました。
優待がある銘柄は、長期保有者が増え、株価が上昇しました。
東邦ガスも、優待制度を設けております。
具体的には、ガス代への支払いに使える「がすてきポイント」もしくは「商品・雑貨」を選ぶ事ができます。
その結果、東邦ガスの株価は大きく上昇しました。
当時は、類似企業の「東京ガス」と比較しても、割高であった事がよく分かります。
(東京ガスには優待は無い)
【東邦ガス5,000円時】PER:30~50倍前後、配当利回り:1%前後
【東京ガス3,000円時】PER:20~30倍前後、配当利回り:2%前後
PER、配当利回りどちらの観点でも、明らかに割高な水準であることが分かります。
優待バブルが終了し株価が大きく下落
2021年になり、優待バブルは終わりを迎えました。
その結果、優待企業の株価も下落傾向にあります。
東邦ガスもその影響で、株価が急落しました。
ピーク時に7,000円近い株価が、何と3,000円を割っています。
たった1年で株価が半値以下になってしまいました。
この間、株価が半分になるほどの経営上の問題は起きておりません。
(利益が減少傾向にあるくらい)
東邦ガスは、優待バブルの崩壊と共に、株価が大きく下落したのです。
株価の暴落後も割安感はあまりない
株価が半値以下になったので、反発狙いの人も増えているかもしれません。
ですが、以前の株価は割高過ぎでした。
そのため、株価が暴落後にようやく適正価格になりました。
【東邦ガス:株価2,800円】PER23倍、配当利回り2.0%
※2021年決算予想値
東京ガスとほぼ同じ水準まで落ちてきた感覚です。
そのため、競合と比較してもそこまで割安感はありません。
また個人的に「売上横ばいor微減」の企業でPER23倍は高すぎの気がします。
他にも割安で配当が多い企業が沢山あります。
なので今が底値と考えるのは、リスクが高い気がします。
花王のように、想像以上に株価が下げるケースもあるので、要注意です。
東邦ガスの今後の見通し【今後も暴落・下落する可能性あり】
本記事のまとめです。
・優待バブル終了により株価が下落
・元々の株価が割高過ぎ
・暴落後の価格でも、そこまで割安感は無い
東邦ガスは、優待バブルの終了と共に株価が暴落しています。
元々が割高だった事もあり、暴落後でも割安感はあまりありません。
東邦ガスへの投資をする際は、上記リスクを踏まえた上で慎重に投資するようにしましょう。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
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